2015年7月13日月曜日

良く笑う人達

音楽教室の弦楽アンサンブルの練習の後、よく皆で飲みに行く。
昨日の練習でも誘われたけれど、ちょっとこのところ宴会続きでと、断った。
彼らとは9月初めに新潟に合宿に行くから、その時は心置きなくつきあえる。
石打丸山のスキー場にある大きなマンション。
そこの住人が音楽教室の会員で、このアンサンブルのチェロのメンバー、N氏。
N氏はスキーの名手。
スキーに専念するために早々と仕事をリタイアして、冬場はこのスキー場に籠もりっきりになる。
そのマンションにはステージのあるホールがあって、そこで練習できる。
ゲストルームは広いリビングルームと、数部屋の寝室があって、そこで寝泊まりしながら練習に励み、夜通し宴会。
発表会が近いので、各々の練習も好きに出来る。
N氏のお陰で、じっくりと最後の仕上げが出来る。

一昨日は古典のランチ。
今日は松本のコンサートの余韻を引きずっている、その時のメンバーの集まり。
もうこのnekotamaには何回も書いたけれど、ずっとお付き合いが続いている。
今回も我が家の近所のイタリアンが会場になった。
そして明日も高校のクラス会。
胃袋が悲鳴を上げている。

クラス会のもう1人の幹事Nさん。
急に身内の不幸で欠席となった。
当日がお葬式と重なってしまったのでと、昨夜電話があった。
よりによって当日とは運が悪い。
明日になっても熱中症でとかなんとか、都合が悪くなる人が出てくるのではと、ヒヤヒヤしている。

さて、今日の松本組は6人集まった。
このメンバーはとにかく良く食べる。
皆、それなりに苦労も大病もしているのに、全然めげない。
なにがあっても周章狼狽することがない。
あることを除いては。

私たちは普段肝っ魂が座っている割には、楽器を手にすると急に神経質になるという弱点を持っている。
これさえなければ天下太平なのに、うまくしたもので、やはりどこか弱点があるものだと思う。
大舞台でも、いつも堂々としているKさん。
彼女の落ち着きぶりに、あるとき「貴女って全然上がらないでしょう」と言ったら、怒ってしばらく口を利いてもらえなくなった。
ちっともそうは見えないのに、やはり彼女もナーバスになっているのだ。

私もよくそう言われるのは、緊張するとテンポが遅くなる。
どうしてかというと、手が硬直するので早く弾くとこけるから。
しばらくしてステージになれると、ようやくテンポを早くできる。
ゆっくり目で弾くと落ち着いて聞こえるようだ。
それでいつも落ち着いているわねと言われるけれど、とんでもない。
内心ガクガクしているのに。
上がるとテンポが速くなる人も居る。
そうなると収集がつかなくなってしまうので、それを避けるために慎重に弾き始めるというのが事の真相なのですよ。
こういうことを考えただけで、身体に震えがくる。

松本でのステージのプログラムに、サンサーンス「白鳥」があった。
その時のチェロのソリストはTさん。
いつもちょっと威張った風で、態度がでかい。
ステージマナーも人を喰った様子で、あまりお行儀は良くない。
ソロを弾くために、いつもはステージ上手側にいるのに、その時だけヴァイオリンの傍に来て待機していた。
突然、彼がこちらを向いて「断頭台に上る気分だよね」とつぶやいた。
あのいつもの傲岸不遜な彼が、そんな弱音を吐くなんて信じられなかったけれど、勿論演奏は素晴らしかった。

いざというときはやってのけるけれど、その前は皆緊張しまくっている。

待ち合わせ場所の駅改札口。
早い早い、まだ約束の時間の10分前だというのに、皆集まっていた。
さりげなく近づく。
呼びかけると笑顔がはじけて、再会を喜んだ。

皆気軽に出かけてくる。
良く飲みよく食べ、良く笑い、次回を約束して解散。
幸せそうに帰る背中を見送って、私もほっこりしながら、家へ。

明日はクラス会。




















2015年7月11日土曜日

暑気払い

「古典音楽協会」のメンバーが東京丸の内に集まった。
今日は京のおばんざいの店「菜な」で、「菜なの特選膳」をいただく。
こういうことのセッティングは、いつも古典の面倒見ナンバーワンのNさん。
彼女の食べ物の嗅覚は並外れていて、従いていけば必ず美味しい物にありつける。
東京駅の東京中央郵便局跡。
そこの「KITTE」5階。

丸の内界隈には来週の火曜日、高校のクラス会でもう一度出かけるので、2次会会場の下見もしておこうかと、少し早めに出かけた。
クラス会幹事の私としてはどきどき、台風が来るのでは、だれか病気でこられないのでは、忘れている人はいないかと、やきもき。
明日にでも、みんなに1度電話で確認しておこう。

ところでクラス会には何を着ていこうかと、それも悩みの種。
幹事だからあまりラフでもいけないし、そうかと言って気合いを入れすぎるのも馬鹿らしい。
いつも綿パンツ、Tシャツのいでたちで、肝心のきちんとした服は持っていない。
夏用のスーツとかキチン感のあるジャケットも、ワンピースもない。
フォーマルと言えば喪服と、ステージドレスのみ。
初めて見る人は、私の普段着とステージとのギャップにびっくりする。
ステージドレスは私の仕事着だから、驚くことはない。
汗をかけばネットに入れて、洗濯機で洗濯してしまうのだから。
KITTEは今バーゲン真っ最中。
思わず無駄遣いをしてしまった。
お店を覗くと「今日から半額です」
すかさず、スタッフが声をかけてくる。
「その半額というのは殺し文句ね」と言いながら乗せられて買い物。
あーあ、又コットンのカジュアルな服ばかり買ってしまった。
クラス会はどうするの。

それはさておいて、今日コンサートマスターの角道さんを中心に集まったのは、全部で8人。
古典のメンバーも年をとって、いつまで出来るかは保証できないけれど、とにかく角道さんが77才でとてもお元気なので、私たちももう少し頑張らないといけない。
角道さんの自己管理力はずば抜けていて、体型が若い頃から全く変わらない、毎日必ず練習を欠かさない、ゴルフも毎月数回、スクワット、ぶら下がり健康法も欠かさず。
特に人間コンピュータと言われた頭脳が全く衰えていないことが驚異なのだ。
今でもNHKのラジオ番組のレギュラーとして、週一回出演している。

そんなわけで、一番年上の角道さんが頑張っている以上、私たちもなんとか腕を落とさないように練習に励むしかない。
一時期私は随分落ち込んで、もうダメだと諦めかけた時期もあった。
それは視力の衰えによる、集中力の低下。
反射神経までもが視力のせいで、落ち込んだ。
活動を止めようかと思っていたけれど、年上の人達が頑張っているので、やめられない。
そんなこんなしていたら、又最近やる気が復活してきたようだ。
できる範囲でやればいい。
少し無理かなと思う程度に目標を設定すると、案外クリアできる。
コツコツ毎日。
だって、他にやることないし、ただ生きているだけではしょうない。

今年の後半も楽しい企画がいっぱいで、ありがたいことに色々な人が協力してくれる。
背中を押されながら、ヨロヨロと歩いていこう・・・と言いながら、真っ先に走り出す自分のおっちょこちょいさ加減に呆れている。
雀百まで踊り忘れず。
なんたって「雪雀連」のメンバーなのだから。














2015年7月10日金曜日

まったく、猫って

うちの駐車場に毎朝来るノラ2匹(時々3匹)
近所のボス猫シロリンと三毛猫のミッケ。(時々チャイロンも)
ミッケは世渡り上手で、必ずその時々のうちのノラ猫についてくる。
2代前のノラからの常連さん。

最初のノラは不細工で愛嬌があって、私はとても可愛がっていた。
それなのにある日パッタリと姿を現さなくなった。
ミッケもそのノラが本当に好きそうで、仲良く一緒にエサを食べていた。
居なくなったときは1人でぽつんと寂しそうにしていた。

次のノラは、電信柱に「探しています」と言うチラシが貼ってあった猫とそっくりだった。
それで書いてあった電話番号に連絡すると、探し主が現れた。
そして怯えて車の陰から出てこない猫を、コンクリートの床に膝をついて覗き込む。
確認出来ないので、次の日も。
又次の日も。
とうとうご主人まで同伴してきたけれど、確認出来ない。
でも元飼い主だったら、どんなに怯えていても返事くらいはしそうなものなので、やはり違う猫ではないかと冷静なご主人の言葉に、奥さんはようやく諦めた。
その猫は気が強く、ミッケは威嚇されていたけれど、しぶとくエサは一緒に食べる。
それから3年、ようやく私にだけ姿を見せるようになった矢先、突然姿を消した。

三代目ノラは、元々この辺のボス猫だった。
それがうちのノラのせいで私から追い払われていたのが、最近ノラがいなくなって、ようやく3代目昇格。
ものすごく凶悪そうな傷だらけの面構え。
甲高い声。
それが最近は甘えた声で、にゃ~と鳴く。
見れば中々愛嬌のある顔で、性格もおっとりしているようだ。
ボスだけあって、腕っ節は強そうだけど。

うちノラに昇格した最初の頃は、出されたエサを涙を流さんばかりに、うにゃうにゃ言いながら、全部平らげていった。
ところが最近・・・どこか他の家でもエサを貰っているのだろうか。

安物の缶詰を出そうものなら、「え!これを食べろと言うの」みたいにこちらを見る。
今朝も「嘘でしょう、こんなまずいの。他の銘柄にしてよ」とばかり、尻尾を立てて、すり寄ってきた。

あのねえ、私は猫のために仕事しているようなものなの。アナタたちがいなければ、もう少し人間も美味しい物が食べられるの。
いいかげんにしなさい!
放っておく。
お腹が空けば何だって美味しい。
ミッケをご覧。何を出しても美味しそうにムシャムシャ食べる。

ミッケの元飼い主が、時々我が家の駐車場の脇を通る。
「この猫うちの猫だったんですよ。それがね、仲の良い猫が出来て家から出て行ってしまって。最初は時々帰って来たので家から出さないようにしていたんですが、仲良しが外で呼ぶと大騒ぎするので出していたら、そのうち帰ってこなくなって」
仲良しは1代目ノラ。ほんとうに仲が良かった。
飼い主は物欲しそうにミッケを見て、寂しそうに帰っていく。
気の毒だけれど、この飼い主と居ても面白くは無さそうなんて、失礼なことを考えてしまう。

外で自由を謳歌しているミッケも、大分年をとってきた。
寒い日には窓から家を覗いてにゃあと鳴く。
頑張っていないで、そろそろうちの子になったら?

食欲旺盛なノラのために、缶詰をあれこれ買ってくる。
大量に届けて貰う。
それを不味いなんて言わせないからね、ノラや。

内田百閒の「ノラや」読んだことありますか?
大の大人が、居なくなったノラ(という名の飼い猫)を探して大泣きする、百閒先生、可愛い過ぎる。

















2015年7月8日水曜日

ご飯を待つ警察犬

ご飯を待つ警察犬たちが可愛い。
http://labaq.com/archives/51851583.html 
なんてお利口さん達なんでしょう。



2015年7月6日月曜日

今日も雨

子供の頃は雨が降ると嬉しかった。
体育の授業がなくなるからで、今みたいに体育館のある小学校なんて滅多に無かった頃の話し。
今なら充分問題児になっていたレベルの性格の子だった。
特に運動会などは、悪夢の内に入った。

他人と同じ事を揃ってするということが出来ない。
マスゲームやダンスなどは虫酸が走る。
行進するなんて軍隊みたいでいや。
歯を食いしばって走っている子を見ると、バカみたいと思う。

こう並べていくと、本当に可愛くない子供だったことが分かる。
3年生の時の担任の教師が大嫌いで、その先生に通信簿の通信欄に「子供らしくなくて可哀相です」と書かれたのを未だに根に持っている。

なぜその先生が嫌いだったかというと、まず体つきが超むちむち。
胸とお尻が大きくて、セクシー。
それを本人も自覚していて、真っ赤な口紅と体つきを強調するような服を着てくる。
教室で授業中に口紅を塗る。
それが不潔に見えて許せなかったのに、こともあろうかその先生に私は目をかけられていたようだ。

運動会の行進の時は先頭を歩かされる。
学芸会の開始の言葉を言わされる。
長期に休むと補講をしてくれる。
補講をしてくれると言われたときは大泣きに泣いて拒否したけれど、それでも親切に教えてくれた。

後で考えると先生も、若くて一生懸命だった。
ちょっと変わった子供がいて、それが気になっていたのかとも。
すぐに学校を休むし、しかも中々登校しない。
それで、なんとかしなければと考えたのかも知れない。
こちらは余計なお世話と思っていた。
勉強は兄弟から教え込まれて、学校で教わるような事はとうに知っている。
学校に行くと子供と遊ばないといけない。
ゴム跳び、縄跳び、缶蹴り、鬼ごっこ、全部嫌い。
うちに居れば末っ子でちやほやされて、熱でも出れば大好きな桃を食べさせてもらえる。
本が好きなだけ読める。
これは天国じゃよ。

それで3年生の時は殆ど休んでばかり。

それが長じてからは、人と一緒に居るのが好きになって、こんなに友達がいて、運動もスキーだ、乗馬だ、スキューバダイビングだとかけまわり、他人と同じ事をするのが嫌だと言いながら、オーケストラで揃って弾くのは少しも苦じゃない。
必要なときには歯をくいしばって頑張る。
これは一体どうしたわけ。

どこで運命が変わったのか、不思議に思っている。
歳をとると子供に戻るというけれど、私は今の所、子供の頃のように気難しくならない。
陽気で気楽で、こんな大人になるとは自分でも思ってもいなかった。
今の私は、そう、これは周りの友人達のお陰かな。





























2015年7月5日日曜日

Lazy cat



こんな不精者見た事ない。
なんて言いたいところだけれど、実は今の私そっくり。
毎日雨模様でくさくさするので、動くのも嫌になっている。
しぶしぶ仕事には出て行くものの、終ればさっさと家に帰ってゴロゴロ。
早く梅雨が上がってくれないかなあと思っていても、その後の暑さを考えるとぞっとする。
ヴァイオリンもお義理に決めた時間だけ弾くと、さっさとケースをしめてお茶を飲む。
なんだか身体がだるいから、どこか悪いところがあるのではと思って検査すれば大抵は異常なし。
人間は贅沢で、寒ければ暖房、暑ければ冷房と気儘に気温に逆らっているようで、実は逆らえないでいる。
ちゃんと季候の影響を受けてしまって、ただ今私もLazy girl・・・
おや誰?言いすぎだって言うのは。
なにが?girlが?図々しいって、そんな。
それではgをbにしてbirl(バール)ではいかが?

毎日重ったるい湿気の多い空気の中にいると、水の中で生活しているような気がする。
それでも私はこんな季候が好き。
草木が思い切り湿気を帯びて、その後の生命力に溢れた夏を迎える。
暑さにはからきし弱いけれど、夏が過ぎれば大好きな冬の到来が近くなるというもの。
夏場はじっと我慢。

雪国の人達には申し訳ないが、早く雪の季節がこないかと・・・ちょっと気が早すぎ?
今年はスキーブーツを新しくしたので、それを履くのも楽しみで。
足首が悪く、最近は歩くと後で腫れてしまうのだけれど、スキー靴は足首が固定されるので、そうはならない。
但し、着脱は非常につらい。
特に脱ぐときは悲鳴を上げたくなる。

足首を傷めてからは、ハイヒールが履けなくなった。
私はとても小柄なので、ステージでは非常に高いヒールを履く。
でないと、ドレスの裾を引きずってしまう。
せっかく素敵なドレスを買っても、裾をバッサリ切らなくてはならない。
それでハイヒールが履けなくなると、もっと切らなければならないから、ステージの時は我慢して痛みを堪え、顔で笑って心で泣いて、いや、泣かない。
ステージに立つと、痛くなくなる、咳もくしゃみも出なくなる。
これはいつも不思議に思うけれど、どうしてなのかしら。

1度だけ、どうしてもダメだったのは花粉症の鼻水。
リハーサルが終ってうっかり外に出てしまったあと、本番で鼻水が止まらなくなって、往生した。
しかもマーラー「交響曲5番」の、あの有名なアダージオで。
あまりにも静かで鼻水をすする事もできないし、鼻をかむことも出来ない。
ほんの数秒の休止符でハンカチで抑える。
今までのステージで、あれが一番辛かった。












2015年7月2日木曜日

コンサート会場下見

8月25日北軽井沢の「ルオムの森」という施設での、ミニコンサートが決った。
人形作家のノンちゃんこと田畑さんは、私のスキーの仲間。
人形制作で、ニッセイバックステージ賞を受賞した。
この賞は、ステージの裏方で功労のあった人を対象とする名誉ある賞で、我が「雪雀連」から二人の受賞者が出ているのは、本当に目出度い。
もう一人の受賞者は調律界の大御所、雪雀連会長の山田氏。

福間さんは映画のプロデュースをする傍ら絵を描く。
森の中で遊ぶ生き物たちがテーマとなっている、大変愉快な絵が特徴。

小形さんは元雑誌の編集長。リタイアしてから織物を始め、持ち前の几帳面さで、コツコツと織り上げる。

その3人が、北軽井沢の庭続きの別荘に住んでいる。
そこへ時々私が遊びに行っては、ご飯を食べさせてもらう。
このご飯は、そんじょそこらのレストランのシェフをしのぐ素晴らしい腕前の3人が、腕によりをかけて作ってくれる。

いつもお世話になっているし、今回この3人が「ルオムの森で」展示会と人形劇を開催するというので、お祝いに駆けつけることにした。
今回はヴァイオリン2人、ヴィオラ、コントラバス、ピアノとメンバーが揃った。
これが全部「雪雀連」のメンバーなので、この会の人材の多彩さに改めて感心する。
まずコントラバスのHさんが「雪雀連」に私を誘い、そこからヴィオラのKさん、ピアノのOさん、ヴァイオリンのIさん・・と芋蔓式にメンバーになり、今回のコンサートの実現に続がった。
懐の大きな山田会長のお陰で、人脈の多彩さは類を見ないほどの広がりとなっている。
ほとんど同じ職種の人がいないのも驚き。
会長の専門の調律士はさすがに数人いるけれど、あとは全く畑違いだったり、年齢もバラバラ。
そのバラバラさ加減も下は10歳くらいから上は85歳くらいまで。
驚きの年齢差。

その中でもノンちゃんは最高齢なのに、いつまでも童女のように素敵な笑顔で魅了される。
私は今回この3人展の話しがあった時に、1人でお祝いの演奏をするつもりだったけれど、せっかくだからと声をかけてみたら、あっという間にこれだけの人数が揃ってしまった。

今回ヴィオラのKさんの別荘に遊びに行くついでに、コンサートの会場であるルオムの森に行ってみた。
広い森の中にこの土地の有力者の迎賓館だったという、由緒ありげな建物があって、そこにストーブやハンモックなど、別荘生活に欠かせない品物が展示販売されている。
レストランやアウトストレッチなどの遊具、樹上ハウスなど、様々な設備が点在している。
そこの洋館の広間が今回の会場となる。

古い木造の天井の高い広間は窓から木々のそよぎが見え、いかにも古き良き時代を彷彿とさせるような造り。
高名な建築家の設計らしいが、とんと無知なので名前を訊いたけれど、もう忘れてしまった。
窓の枠が鳥居の形をしている。
今の技術ではこの形の窓枠を作るのは難しいと、オーナーの解説。
ピアノは、アップライトの音の狂った酒場のピアノみたいなので我慢するしかないけれど、調律はちゃんとしてくれると約束したので、当日に期待している。

今回泊めててもらった家には3匹のきれいな猫が居て、私には天国だった。
寝て居ると布団の傍をスーッと通るものがいる。
手を伸ばすと柔らかい毛皮に触れる。
この瞬間に、幸せ感がドッと押し寄せてくる。

コントラバスのHさんと私は3日前に車で軽井沢到着、Kさんと合流して夕飯を作った。
3人とも忙しい仕事をしていたお陰で、何をするのも素早い。
あっという間に沢山の料理がテーブルに並んだ。

ご主人を若くして失くし、2人の男の子を育てたKさんは本当に苦労したらしいけれど、今こうしてゆったりと生活を楽しんでいる姿を見ると、苦労した甲斐があったというもの。
友人の幸せそうな笑顔を見るのは、心底嬉しい。
話しをしていると、経済能力に優れ、頭脳明晰、こうでなければ別荘なんて持てない。
私の様なザル脳みそでは、お金は貯まらない。

次の日は朝からコンサートのための練習開始、と言っても初見での合わせだから、あっち行ったりこっち行ったり。
これも又楽しい。
午後からは温泉に行って、露天風呂を楽しんだ。
風呂上がりにピザを2種類注文した。
しばらくしたら、頼んだ物と違うピザが来た。
私はそう言うとき全く気が付かずに食べてしまうけれど、あとの2人はちゃんと気が付く。
そしてKさんがスッと立ち上がって食券売り場で値段を確かめ、払った値段より安いものが来ているといってクレームを付けてくれた。

そう言うときにちゃんと対応出来るのが偉い。
私は殆どボンヤリしていて、おそらく何をされても分からないと思う。
値段を確かめると言う事にも気が付かない。
2人ともたいそう苦労したのに、明るくて大らかで太陽のよう。
私だったらすっかりふてくされて、鬱状態になっていたと思う。
活き活きと生活している力強い友人達を見ていると、パワーを授けられる。
私が子供も居なくて寂しいと言ったら「私たちが居るじゃない、ちゃんと面倒見るから心配しないで」とニッコリされた。
嬉しいなあ。
だけど、猫のように私は可愛くないから・・・
今から猫力を磨いておかないと。