2025年7月1日火曜日

ワンちゃん事情

ネットで知り合いになったWさんとは滅多に会えないけれど、ふたりとも今はフリーであるので久しぶりにお目にかかることになった。

彼女は何回聞いても私にはあまりよくわからない・・・要するにまともな社会の人だから お話を聞くだけで面白い。雰囲気も落ち着いているし、時々こうして話ができると私もこの日本に居場所があるかもしれないとホッとするのだった。

昨日あのクソ暑い!中私の家に来てくださった。いつもなら客人をおもてなしするのに不味い手料理で対応するのに、連日の暑さで脳みそがパンクしているからなんのアイディアも浮かばない。幸い家近にデパートがあってお惣菜売場がある。そこで買えば少しはまともなものが食べられるかと出かけた。

開店と同時に売り場に殺到と思ったけれど、客は殆どいなくて肩すかし。売り場は活気がなくドヨンとした売り子さんたち。不景気と暑気あたりで元気がない。私も連日の暑さに寝てばかりいるから何を買っていいかわからない。

とりあえず手前から目についたものを買っていった。なんだか葉っぱばかり、サラダ類しか目に入らない。自分の食欲に合わせるとこうなってしまうので最後にローストビーフサラダを買うことにした。きれいに並んだローストビーフの下に野菜類が隠れている。注文すると店員さんはまずローストビーフを脇に避けて野菜から入れ始めた。思わず「あ、ビーフを退けないで」と言いたくなったのを我慢。

野菜がたくさん入ったところでわずかにローストビーフを上に乗せ始めた。その間私はじっと作業の過程を見つめていた。さぞやりにくかったと思うけれど、そこは慣れたもので店員さんはしれっとしている。たしか以前はこのサラダのローストビーフはこんなに細かく切ってなかったような気がする。だからそれなりに量が入っていたのに、今は細片を無理やり葉っぱの上に並べてきれいに見せている。あーあ、本当に世知辛い世の中。

全てのものが値上がりしてお米まで庶民の口には入らなくなりそうで。日本人よ、危機でござる。デパート自体いつ傾いてもおかしくない。車で駐車場の入口スロープを登りながらあたりを見た。天井に大きなひび割れの修理箇所がいくつもあり、普通ならこんなものは修理後はきれいに隠すのにその余裕もないらしい。堂々と大きなミミズがのたくっているような筋を見せっぱなし。

駅で待ち合わせた客人と暑い中家について、まずはビール。Wさんはお酒が強そうでいつかはじっくりと一献酌み交わしたいとおもっていたのに、あいにく私のほうが最近とんとアルコールに弱くなってしまった。飲むと息がはあはあして苦しいので最近はめったにアルコールを口にすることができない。残念なことに酔っ払ったときのあの陽気な世界に行くこともできない。

以前船の上で仕事をしたことがあって、仕事が終わったら何でも飲んでいいよと言われてお酒をいただいた。ところが船はいつも揺れているからか、めったにないほど早くお酒が回ってしまった。上機嫌になった私はもう何を見てもおかしくて、それを見た仲間たちのおもちゃになった。みんなで箸を転がす。「ほれ」とか言いながら。それを見た私が「ああおかしい、ケッケッケ」と笑い、最後に客室につながる階段を抱えられながら登った記憶。船室のベッドに寝かされた以後は何も覚えていない。

こんな陽気なお酒は若くて元気でないと味わえない。残念だけれど、昨日もノンアルコールのビール。せっかくお酒に強い人がいるのに。でも正気でじっくりとお話できたのが良かった。

私達は世間の道から少し脇道にそれた場所にいる。一見華やかでもその実態は練習に次ぐ練習。最後に打ち上げ花火が揚げられるからカタルシスにはなるけれど、頭の中にはずっと本番にむけての予定が渦巻いている。常に正気とは限らない。それを取り戻させてもらえるのが、冷静に着実に生きている真っ当な人たちなのだ。時々足を地につけている人達と他の世界の話ができることが、私にとってすごく重要なことだと思っている。

その貴重な存在のWさんは以前ミニチュアシュナウザーの飼い主さん。その子が亡くなったらご主人がペットロス症候群になってなどと聞いて、気の毒になった。以前コンラート・ローレンツ博士の本で、ペットを失くしたらすぐに次の子を飼いなさいと書いてあった。

そのときには随分冷静で冷たいんじゃない?と思ったけれど、それは後に全くの真実で最高の治療だと実感した。その博士の説は御本人が信じられないほどたくさんの動物と生活し、そして見送った実体験からのものだったと。Wさんの家に新しい子がいると聞いてほっとしている。

次々にペットを飼うのは動物にだけではなく人間の心の平和にも良い。汚い、うるさいなど言っていないで実際に飼ってみればよく分かること。私自身、最初に飼った猫を失くし一ヶ月間泣いて暮らした。その次の猫に会うまでの悲しかったこと。つぎの猫に出会い、それ以後隙間なしの猫との共同生活。猫を飼うデメリットよりも飼うメリットの大きさを考えて次のワンちゃんを飼う決断をしたWさんご夫妻は正しい!

















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