2024年10月5日土曜日

北海道

姉の娘が札幌に居住しているが、まだ家に行ったことがないと姉がいうので、弥次喜多道中が始まった。私は姪のMが飼い始めた犬を見るのが目当て。ジャックラッセルテリア。私が飼いたいと思っていた犬種の長毛種らしい。旅の手配は長年の仕事での経験で馴れたものだから、さっそく旅のサイトでやすいツアーをさがす。秋の紅葉シーズン、北の国はさぞ紅葉が見事であろうと期待しながらパソコンにむかった。

あった、ん? なに?なんでこんなに安い?往復の飛行機、ホテル3泊、レンタカー付、これでエッというほどのやすさ。家でスーパーで買い物してうだうだ過ごしてもすぐにこのくらいの金額になってしまうから、ずっと旅していたほうが経済的。ただしウイークデーに限るけれど。

私はもっと長い旅がしたいけど、おいていかれる猫の、のんちゃんが可愛そう。姉も庭の植物が心配。だからこのくらいがちょうど良い。姪の家に泊まらないのは好き勝手できないからで、それなら観光は札幌周辺に限られてしまう。本当なら十勝岳や旭山動物園にもいきたいところだけど。しかし姉はもう87歳、あまり旅慣れてはいないしこのくらいがちょうどよい。

快適な飛行機の旅が始まった。空港に到着してレンタカーの営業所までの迎えの車に乗る。少しは肌寒いかと思ったけれど、半袖のシャツでも十分。借りた車はダイハツのなんとやらいう四角い小型車。最近の車はよく走るからまあ我慢しましょう。しかしこの車がよく走った。

ホテルはあの帽子を被った女性社長経営のホテル。このホテル、最近よく利用する。最初は外見にちょっと怯んだけれど、なに、寝るだけなんだからと思って泊まったらたいそう居心地が良い。ベッドは寝心地抜群。部屋には必要なもの以外何もなく徹底的に無駄を省いている。それは女性社長の視点からなのか、とても共感できるところがある。

長期滞在ならまだしも数泊で観光をしていればこれで十分。ツインルームは十分な広さもあり、しかも姉も私も寝付きが良く、相手が何をしていようと眠れる。物価高騰の昨今にはこの廉価はありがたい。朝食はこれでもかというほどの種類の料理が提供される。昔ながらのホテルの静かな朝ご飯を望む人ならちょっと怯むと思うほどの人混み。時々朝ご飯に贅沢をしたいときには私はホテルの朝食を食べに行く。けれど、お腹が満たされていれば十分で、さっさと観光したければこれで結構。

車もよく走る。山道もなんなく走れる。ただ私の体型にはすべてのものが大きくて、運転席の背もたれの後ろになにか挟まないとアクセルやブレーキに足が届かない。

初日は姪の家に行ってランチ。ワンコは期待通りの可愛さ、私もずっと飼いたいと思っていたのでしばらく夢中になって遊んだ。家は新しくこぎれいでなんか広々していると思ったら、周辺の余計な塀がなく、眼の前は原っぱ、空が遮られていない。空気が澄んでいる。地球温暖化の今、北海道は狙い目かも。

しかしその北海道も10月というのにこの暖かさで先が思いやられる。ここでは紅葉もまだまだ始まっていない。二日目は小雨模様だったので遠出せずに札幌市街お決まりの観光。北大の植物園を見たくて北大構内に車を乗り入れたら追い出された。ここは観光客の来るところではないと。テレビ塔に上り公園通りを上から眺め、中央卸売市場場外へ。

雨模様だしウイークデーの午後だったから人出は少ない。こういうところに来るとワクワクする。威勢のよい人たちが・・・しかし、なにか沈んだ雰囲気。天気が悪い、時間帯が遅いだけ?一軒だけ人が集まっているから昼食をここで摂ることにした。テレビで宣伝しているような海産物店で壁には有名タレントたちの色紙がずらりと貼られていた。けれど、料理はそれはひどいもので魚は不味くご飯もうちのよりもまずい。こんなこと滅多にない。我が家のご飯を下回るほどまずい店は。あっぱれじゃ!

がっかりして店を出てホテルに帰ることにした。ホテルは定山渓温泉のそばにあるから温泉に入りに行こうかなどと相談していたけれど、天気も悪いし昼ご飯はまずかったし、結局ホテルの大浴場で我慢。ちょっと残念な一日。

次の日は、さて、どこに行こうか。あてもなく車を走らせていると羊ケ丘公園の案内が。そうよね、北海道なら馬か羊。馬ならもっといいけれど羊で我慢しよう。途中の道路標識に支笏湖の案内が。支笏湖?近いのかなあ。

羊ヶ丘に登り、まずはクラーク博士の銅像の前でしばらく立ち止まってあたりを見回す。小高い丘の上の白い建物は記念館。有名なボーイズ ビー アンビシャスの由来などの書かれた説明板を読んだり散歩したり。心地よい風に吹かれ羊乳をのんだりソフトクリームを食べたりして過ごした。小一時間も過ぎて、さあ、これから何しようかと言ったら姉が支笏湖に行こうといいだした。

ちょっと待ってよ、なれない車でずっと運転しているしもう少し近場でどこかと思っていたから怯んだけれど、姉ももう年だから(私もだけど)途中まででも行ってみようかしら。疲れたら途中で帰るからねと釘を刺すと、知らん顔。都合により耳が聞こえたり聞こえなかったりするのだ。往復約百キロ。仕方がない行こうか。

しかし山道を登リ始めると面白い。本当に最近の車はよく走る。私が初代カローラでさっそうと女ドラデビューした頃は女性であるというだけで珍しがられたものだった。当時の車は横浜ナンバーだったから地方に行けば必ず話しかけられた。九州では「女性でここまでよう走りますなー」なんて。今どき言ったらセクハラですぞ。

乗り気ではなかったけれど支笏湖までの山道が面白くて、ついに湖畔に出たときは感激。湖はいつでも神秘的に思える。海の開放感とはまた別の良さがある。この世の自然物にはすべて神が宿ると思った古代人たちの感性は正しい。神様は寺院や教会ではなく山や草木につつましくおわすものだというのが私の気持ち。力の強いものは優しいのだ。

帰り道はもっと面白くて、姉が助手席で眠ってしまったのをいいことに車は飛ぶように走った。いちいち「この辺は停れの標識がいっぱいあるねえ」なんて遠回しに遠慮がちに注意を促されずに済む。困ったことに姉にとって私はいつまでも妹なので。その夜は姪とその娘の高校生がホテルまで来て一緒に食事をした。

こうして穏やかに何事もなく旅はめでたしめでたし帰途に・・・とはいかないのは私の運命なのだ。無事羽田到着。駐車場においた車の場所がわからない。いつもそうだから今回はちゃんと覚えたつもりだったけれど、甘かった。わかりやすいように入口に対面した奥の方において、これで大丈夫。ちゃんと階も覚えたつもり。でも覚えていなかったので・・・あはは、案の定。

第3駐車場は7階まである。車は見つかったけれど、ここにいてねと釘を差した姉が移動していたり。それはもう!!!


























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