2025年2月8日土曜日

野良たち、やっと遊び始める

元というか今でも野良なんだけど、うちに入り込んできたのんとグレの二匹。

のんは殆ど家猫になり、かなり落ち着いてきた。甘え方もすっかり家猫らしくなって可愛い。グレの方はやっと家に入ってきても警戒心が強く、ベランダの窓を少しだけ開けておかないと、ソワソワし始めて逃げ道の確保に努めるので家中が寒い。彼がいるうちは窓を10センチほど開けておくので寒風がヒュウヒュウと部屋を横切っていく。以前はそのうち猫の通り道を作ってやろうと思っているうちに猫が全滅したのでそのままになっていた。

一時期私が死んだら猫たちが取り残されて可哀想と思い、もう飼わないことにしてあったのに、いつの間にかまた増えてしまった。これはやはり猫の持っている類まれな魅力と、野良の環境の悪さへの同情とがあるので仕方がない。それでも二匹は片時も警戒を怠らない。いくらかわいがっても私に対してさえも気を許さない。

近所の人に聞いたところではこの二匹は兄弟で、ある日その人の家に母猫が連れてきておいていったそうな。母親が毎日餌をもらっているうちに大きくなった子猫たちは、そのうち兄の方だけ母猫から邪険にされて追い出されたという。近親相姦を避けるため?かもしれない。

女の子はその後も母猫と一緒にいたけれど、母親はいつの間にかいなくなった。そしてずっと兄弟で地域の人達から可愛がられて大きくなった。けれどいくら優しい人たちが多くても中には意地悪な人もいる。猫の嫌いな人がいるのは当然のことで、さんざん辛酸を舐めたに違いない。

のんはすっかり甘えん坊になって可愛いけれど、未だに私が急に手を動かすと怯えてしまう。だから私はのんの前ではあまり体を動かせない。その代わり抱っこしてほしいときには膝に乗ってくるのでぎゅっと抱きしめても怖がらないようになった。

二匹とも今まで猫の遊びをしたことがまったくなかったらしい。猫はどの子も遊ぶものだと思っていた私は、朝の散歩の帰り道にすすきの穂や猫じゃらしを摘んできてお土産にしたけれど、のんは怯えて逃げ出してしまった。これはショックだった。

そのうち男の子のグレが来るようになっても、二匹とも遊びをしない。紐やアルミホイルを丸めたものを投げると怖がるのでびっくりした。以前は常に4.5匹の多頭飼いだったから、おもちゃには家中を猫が走り回って壯觀だったけれど、こんなに怯える猫がいたのにはショックだった。

彼らは毎日、餌を探すのと安全な寝床にありつくのに一生懸命で、こんな意味のないことをやっていられなかったのではないかと思う。のんは飼い始めてからもあまりの警戒心の強さにがっかりさせられた。私にも明らかに敵意を見せたりする。

それでも毎日同じベッドで寝るようになってからは随分警戒心が溶けたようだけど、目が覚めると私の腕や足には引っかき傷が絶えない。こんなに引っかかれても目が覚めない自分にはびっくりする。

先日ペットショップで猫のおもちゃを買ってきた。すると、それには二匹とも激しく反応して大喜び。ずっと遊んでいる。そして交代に遊ぶのがどちらかが待ちきれず取っ組み合いになる。初めてこの子達が遊び始めたのだった。さすが人間の悪知恵はすごい。

遊び疲れて夕方になった頃、グレがその玩具を口に咥えてベランダから逃げようとしているのを発見した。「こらっ!」と言うと慌てて飛び降りて隣家の塀の中に落として逃げていった。お隣さんへ行って拾わせてもらって奥さんと立ち話をすると、皆この子達はよく知っていて、特にグレは人気者らしい。兄弟猫でものんは頭が良くて警戒心が強く、グレは太って巨大になりのっそりとしているけれど、気が良くて可愛がられている。

二匹で遊ぶにはやはり2つ必要なので、次の日ペットショップに行ってもう一つ同じ猫じゃらしを買った。これで安心と思って外出して帰ってきたら2つともおもちゃが消えていた。どうやらグレがどこかに持っていったらしい。それではとアルミホイルをボールにして転がしてみたけれど、二匹とも反応しないばかりか、少し怯えてしまうのだった。やれやれ、猫のおもちゃって結構高いのに。私はやすいシャツを着ているのに、猫は随分お金ガかかるのよね。

でもこの二匹が遊び始めたのは大した進歩。衣食足りて余裕が出てきたのか、人間への信頼ができたのか。







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