2025年2月26日水曜日

引退してから

本当に何もしない日々。本を読むでもなくヴァイオリンを弾くでもなく、ひたすら時間を無駄に過ごしている。

7年前から生まれて初めての一人暮らしが寂しくもあり嬉しくもあり、どのように自分の生活を構成していくか心細い思いもあった。けれど今までの自分の生き方を考えると、なにもせずにいるのが一番というところに落ち着いた。ぼんやりとしているとあちらからなにかやってくる。

音楽家になるつもりは一切なかったのに、周りから押し上げられるように音楽の道に進んだのも、自力ではなく目に見えないなにかに道筋を辿らされたかのように思える。両親も私にヴァイオリンを強要したわけでもなく、自分の意思が働いたわけでもない。特に母は猛反対。死ぬ間際まで、もうヴァイオリンはやめなさいと。

これも極端な話だけれど、こんな下手くそでは業界で生きていくのはさぞ辛かろうと思ったのかもしれない。特に女の子は家庭に入るのが一番と考える人だったから。私の低い鼻を喜ぶような人だった。「女の子の鼻が低いのはいいことだから」なぜかというと人相学的に見ると、家庭に波風立たないから・・だそうで、何を根拠にそういうのか。兄弟で私だけ特に鼻が低いのを憐れんでフォローしてくれたのかも。

そんなこと言う割に母は女学校時代、ハイフェッツを聞きに行ったとか言う。私のヴァイオリンはいけなくてなんでハイフェッツはいいのよ。それはそうだ、あのハイフェッツのヴァイオリンは人類の宝、私のは、うーん残念。わかっていたのね。

母は常日頃、私の姉や兄たちに私の面倒を見るようにと言っていた。なぜなら私は末っ子で、両親と一緒にいられる時間が誰よりも短いのだから可哀想だと。だから兄姉で面倒見るようにと。私の立場は他の兄姉よりも一段低く、姪や甥のガキ大将的立場だった。それで次兄からは私が中年になっても毎年お年玉をもらった。時々お小遣いももらったし。

最近家にいる私のところに姪や甥が集まるようになった。彼らもその親達から言われているのだろうか。おばちゃんはおばかちゃんだから面倒見るようにと。そのまた子どもたちもくるようになって、今月の末に「ほーむこんさーと」が開かれた。

きっかけは今までおよそ音楽には関係のない甥が、最近ギターを始めたというのでみんなで聞いてあげようではないかということに。それに姪の娘がヴァイオリン初心者でチイチイパッパやっている。その子の母親である姪は、最近沖縄の三線をはじめて、涙そうそうが弾けるとか。ドラムもやっているしピアノも弾ける。私もちょっとだけヴァイオリンが弾ける。メンバーがそろった。

他の関係者に連絡すると、その日は来られないけど次は絶対に行くから決まったら教えてという諏訪に住んでいる甥の息子からのメッセージ。私はまだその子にあったことがないから初お目見え、というわけで親戚の2世代年下の子どもまで来るようになるかも。するとその両親も来ると思えるし。世捨て人しているつもりが、なんだか賑やかになりそう。

第一回目はつい先日、甥のYはギターを下げて登場。姪のNは三線、その娘二人はリコーダーとヴァイオリンを持ってきた。

まず言い出しっぺのYがサザンの曲。いとしのエリー?かな。私はよく知らないので多分ということで。聴いたことはあるのでなんとか一緒に歌えた。あれほど仕事で音楽番組をやっていたのに、何にもわからない。けれど、こういう曲も素敵だなあと思う。いつもベートーヴェンだのバッハだのでは長すぎて気軽には歌えない。甥が音楽に目覚めてくれたのは何より嬉しい。

三線は涙そうそう、ヴァイオリンはメヌエットと楽しき農夫。

今「のうふ」を変換したら納付とか納付期限とか、どこまでも確定申告に追い回されている。姪とその娘二人はリコーダーで合奏。驚いたことにすごくうまい。音も音程もしっかりしていて、聞けば今どきの小学校ではリコーダーの授業があったらしい。これはすごくいいことで、楽器が安くて手軽に持ち運べて技術は易しいけれど、かなり高度な曲も演奏できる。いいところに目をつけた小学校教育はでかしたと言いたい。もちろんフランス・ブリュッヘンのような名手になるのは恐ろしく大変だけど、最初の楽器演奏の入門としてはなかなか優れた考えだと思う。

姪は子供の頃ピアノを習っていた。ショパンのエチュードくらいまでは行ったらしいから簡単な伴奏なら弾ける。ジャズで愛のあいさつを弾いたけど、根が超生真面目だからクラシック弾きで超真面目。これからグズグズにくずしていかないと、ジャズっぽくならない。姪の娘にはきちんと弾けと言って、姪には崩せといって、たいそう忙しい。

皆で合唱したりしたあとは一斉に昼ご飯。飲んだり食べたり、話しが弾む。夕方少し気温が下がってきたので暗くなる前にお帰りと言って帰らせた。近所に住む姉とその長男も次男坊のギターデビューを嬉しそうに見ていた。

姪のNのドラムがそのうちこれに加わるなら、部屋の防音をもっと強化しないと近所迷惑になる。防犯も兼ねてもう一度防音の見直しをしないといけない。








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