2025年1月13日月曜日

コーラスライブ

3人の女性コーラスグループのライブを聽いた。ライブハウスは六本木の「keysuton」

    ヴォーカル 齋籐裕美子 内田ゆう 山下由紀子

    ピアノ:小野孝司 ベース:岩切秀磨 ドラム:丹寧臣 

    サックス:今尾敏道

メンバーはずっと以前からの仕事仲間たち。

私は地方で仕事のときには本番の前日に現地に行くようにしていた。交通の遅れの心配と体調を整えることなどのために。メンバーはそれぞれ自分のスケジュールに合わせて自分で行動するけれど、時々申し合わせて一緒に行動するときもあった。仕事日の前日に行って現地の観光をするのも役得の一つ。

浜田に仕事があった。一番近い空港は萩。今は沢山飛んでいるけれど、その当時の萩空港への飛行機便は、朝7時ころの出発便一本しかなかった。仕事当日は早朝自宅を出てその便で行って、それから10時間近い仕事をこなしてというハードスケジュールになる。それを避けると前日行ってしまえばその一日遊んで、次の日はホテルで昼近くまで寝ていられる。それから仕事をするなら随分楽になる。

コーラスさんたちのお誘いで私も前日行く仲間に入れてもらい、朝一番の飛行機に乗った。萩空港に到着してレンタカーを借りて、さてどこへ?なんの計画もなかったけれど、この辺、見どころはいっぱいあってどこでも立派な観光地。津和野は画家の安野光雅さんの生まれ故郷なので美術館がある。そしてプラネタリウムもあるけれど休館日で開いていなかった。私達が入り口付近でウロウロしていると、係の人が気の毒がってわざわざ開けてくれるという。

私は少し困ったなと思った。今まで何回もプラネタリウムに入ったけれど、一度もまともに見たことがない。最初の数分はきれいだと思うけれど、夜になって星がきらめくともういけません。あっという間に眠ってしまう。ようやく目が覚めるのは全部終わった頃。せっかく開けてもらってもねえ。

案の定、私はあっという間に眠ってしまい、気がつたら天井には朝がきていて全員起きた様子。自分だけかと思ったら皆ぐっすりだったようだ。早朝家を出て羽田空港に行き、飛行機で萩まで、それだけでもかなりきついのだからもっともなことで、せっかく見せていただいて申し訳なかったけれど、誰一人起きていた人はいなかったようだ。後ろめたい気持ちでお礼を言って、津和野、秋吉台にも行って、おそばを食べてなどなど。次の日は体力十分で仕事に勤しんだ。こんなふうに楽しく仕事をしていられたのも彼女たちのおかげだった。

というわけで久しぶりに六本木に行った。私がまだ仕事を始めたばかりの頃、六本木でニコラスという当時流行っていたピッツァのお店で遊んで夜明けに家に帰ったら、母が起きて待っていた。これはまいった。夜通し心配させてしまったらしい。昔はよく遊んでいた六本木なのに今は駅に降り立つこともなくなった。どんなに変貌したかもわからないからネットで地図をゲット。歩きのコースをスマホに挿入して万全の用意ででかけた。

しかし六本木はあまりにも変わってしまい、駅の中さえ右往左往。やっと会場付近にたどり着いたけれど、見た目があまりにも変わっていて、見当がつかない。困ってあたりを見回したら、ウーバーのお兄さんがバイクに乗り込むところだった。のがしてなるものか、走り寄ってスマホの地図を見せて「ここはどこ?」思いがけないほど穏やかな声で「あ、惜しかったですね、ここまで来て、すぐそこですよ」すごく優しく慰められた。

田舎のおばあさんが初めて六本木なんかに来て、泣き出すのではないかと心配してくれたのかもしれない。場所はもう目と鼻の先。どうしてわからなかったかというと、道路の真ん中が立体になっていて歩道は上、車道は下、反対側の歩道から見ると目印の建物が見えなかったのだった。

私達が昔、散々来ていた六本木とまるで様子が変わっていて、立派なオフィスのようなビルが立ち並んでいる。狸穴という地名が直ぐ側だけれど、あそこには本当にムジナが出たそうで、そのくらいのんびりとしたところだったようだ。大きな古いお屋敷もまだ残っていて、そこに私のヴァイオリンの先生が住んでいた。けれど今は開発の手は隅々まで行き届き街中ピカピカ。

客席はほとんど埋まっていてわずかに残った相席だった。前の席には若い女性が二人。向かい合わせに御夫妻と思しきカップルのテーブルに無理やり割り込んで肩身が狭い。けれど少しずつ会話をしていくにつれて、どんどん共通の仕事場と関係者の話題で盛り上がってしまった。面白いなあ、こういう場だから業界人が多いのはもとよりだけれど、あまりにも近い知り合いに近い人達だった。次回お会いしたらぜひまたご一緒にと言われて胸が踊る。

ステージは言うまでもなく楽しい。ベテランのコーラス・ガール3人が老眼鏡をかけて歌う素晴らしさ。3人それぞれ持ち味が違い、声の質も違い、ちがうからこそ素敵なハーモニーになる。人生の深味を感じる。若さだけでは味わえない心の琴線に触れる味わい。生きるって素晴らしい。どんなに苦労や悲しみがあってもそれが表現に豊かさとなって人の心を打つ。私がこういう人たちと知り合ってどれほど幸運であったかと思うと感謝の気持ちしかない。

珍しくしんみりとなって会場をあとにした。
















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