2025年4月8日火曜日

復帰間近?

 オーケストラ時代、というとすでに50年ほど以前、よく一緒にアンサンブルをしていた音楽仲間の・・・あれっ!名前がでない。

そうそうHさんでした。

先日電話で話をしていたら、昔のようにデュエットしようよという話が出た。最近名前が出ないのは序の口、時には全く顔も思い浮かばないことが多い中で、彼女だけは流石にそういうことはないと思っていたのに。日々物忘れが激しくなっていく。

それでHさんの好きな曲を選んでと頼んだら、早速楽譜を送ってきた。そのまま知らん顔して忘れてしまえばヴァイオリンは弾かなくてすむなとしばらく逃げ腰だったけれど、結局、練習日が決まってしまい仕方なく楽譜に目を通すことになった。

ぶよぶよになった指がはたしてうごくのか。固まってしまった上半身は楽器を支えられるのかしら。楽器は休眠状態、持ち主はポンコツ。最後のステージが昨年9月。その後ロクに練習していない。時々生徒とキラキラ星彈く程度の練習では全く仕様もないと思っていたけれど、彈いてみると楽に体が動く。これは驚いた。むしろ引退したことで緊張が取れて力みがなくなった。

長年の訓練とはなんと恐ろしいものか。楽々音が出る。楽器もリラックスして柔らかく良く響く。久しぶりに聴く我が愛器の声。本当にお前さんは美しい声だねえ。ここまでは良かった。

さてどんな曲かな?

私は初めて弾く曲の譜読みが大好きで、ワクワクしながら練習に取り掛かる。まず一度サッと目を通す。8小節間をもう一度。若い頃ならほぼ初見でもすぐに覚えられて、二度目はもう間違えないくらい譜読みの速さを誇っていたけれど、ありゃー!何回弾いても覚えられない。

何回も何回も・・・弾いても弾いても。やっと最後までたどり着くとまた初見の気分。

そしてHさんもまたぼやく。彼女の初見の速さは驚異的だった。私も負けじと頑張っていたオケ時代。その彼女が同じように嘆くとは。

しかし、引退後妙に太ってしまいぼんやりしていた私の体中の血液が流れ始めた。雀百までとはよく言ったものだわ。かと言ってもはや演奏家として復帰できるとは思えない。集中力や気迫が残っていない。これからは一アマチュアとして心底楽しんで演奏しよう。とか思っても燻っていたプロ根性が頭を持ち上げてくる。すぐにムキになる。弾けなきゃ悔しい!でも何回弾いても音が覚えられない。

ということは体に染み付いた熟練した技術は保存されるけれど、スカスカになった脳はもとに戻らないということ?









2025年4月7日月曜日

公開しわすれて

 私は仕事をやめて悠々自適、のんびりと生活しようと思っていたのに思いの外忙しく気忙しい毎日、寒暖の差の激しいお天気に振り回されて疲労もたまり、花粉で目が痒く・・・などなど毎日が刺激に満ちている。

古典音楽協会は新体制となって3回目の定期演奏会を無事終えて、順調に再出発の波に乗ってきました。これも毎回聞いてくださる皆様のおかげと感謝しております。

長年の疲れと緊張がほぐれてきたので久しぶりに健康診断を受けたら何やら不穏な動き。胃の内視鏡検査で少し問題があるようだけれど、食べ過ぎのせいと思う。再検査がないといいなと思っています。

食べすぎといえば、先日、白洲次郎さんが町田市に残した武相荘(ぶあいそう)に行ってきた。嵐を呼ぶデコボココンビのMさんと一緒だからこれはただではすまないと覚悟。江の島では強風にあおられ、中華街では南岸低気圧による土砂降りに降られ、散々な目にあっているのになぜかまた一緒。緑色の髪の乙女(元・はるか昔)と鶴川駅で待ち合わせた。車で走ること15分ほどで古民家のある庭園について、よろよろと歩き始めたけれど、風も吹かない、雨もふらない、いつもと約束が違う。このコンビニはふさわしくない穏やかな晴れた日だった。

まさか平日の昼下がり、こんなに人が訪れてくるとは思わなかったけれど、現在では高齢者が暇を持て余しているらしい。かくいう私達もその一味であるわけで、ランチにありつこうと思ったのに、すごい数の予約で待ち時間がしんどいので帰ってきた。

それで私と彼女のお墓のある霊園近くのイタリアンにと思ったらそこも満員御礼。諦めて駅前の台湾料理の店でささやかにおそばを食べてドトールでコーヒーを飲むという、毎日の生活と同じような行動になってしまった。

そう、実は彼女と私は墓友なのです。私が7年ほど前に買った樹木葬のお墓の向かい合わせに彼女も猫さんたちと入れるお墓がある。私の隣は旧友のHさんのお墓、みんな入ったらさぞ賑やかなことになるでしょう。夜中にお隣さんからほとほとと壁を叩く音が聞こえると、私はガバっとおきあがりお隣へ。その次にお向かいさんに声をかけて誘い出す。夜中じゅう騒いで夜明けとともに穴に戻るという楽しみが待っている。

場所は町田市の小高い丘の上、全山桜が咲くとそれはそれは見事な桜色の丘になる。気持ちの良い風に吹かれて庭園ごとに様々な花が咲いて、ここを見つけた時には本当に嬉しかった。早く入りたいとは思わないけれど、最後の住処が一番上等というのが良い。決して贅沢ではないけれど、理想の終の棲家ではある。

それで安心して遊んでいる。レッスン室の改装がまもなく始まる。今までは頼りない防音ドアだったけれど、それをスチール製のより防音効果の高いドアにする。窓は二重窓の間に防音材を詰め込んで、防犯も兼ねる仕様。リビングの方もベランダの防犯が脆弱なので内側にもう一つの窓を作る。ガラスを割れない三重ガラスに。猫の出入りには少し不便でも、安全第一で、工事をすればお金もなくなって、これだけでも防犯になるでしょう。今お金があるという意味ではありませんよ。更になくなるということで、うちは狙わないでくださいね。泥棒さんたち。

ここまで書いたら気が済んで公開し忘れていた。

今開けてみたらもう一ヶ月書けない日々のnekotama、職業作家でなくて本当に良かった。自分の中からものを創り出すということの辛さほんのひと欠片を味わう。私の場合日記だから何を書いても、つまらなくても、本職でないからと言い訳がたつ。けれど、公開するとすぐに読んでくださる人がいらっしゃると思うと、おまたせしてはと気が焦ることもある。

そういえば古典音楽協会をというよりヴァイオリンを弾くことを引退したら「先生が演奏しないならもういかない」と言って数十年にわたる古典の演奏会に一度も休まず来てくれた元生徒さんが言う。おやおや、私のために来てくれていたのね、ありがとう。だけど私が客席に行くから一緒に聴いてほしいなと思う。

長年ありがとうございました。今後は新メンバーによる更に進化した新たな取組をどうぞ聴いてください。よろしくお願いします。