2025年4月12日土曜日

芹澤英雄さんのこと

 コチャが死んでその後にハチワレの、のんが家に入ってきて、しばらくするとその兄弟猫のグレがだんだん長逗留するようになってきた。ふたりとも幸せそうに昼寝したり喧嘩したり。やっと安定した家に入ってきても野良は.野良気質が抜けない。我が家にいても警戒心は忘れず必ず逃げ道の確保をしている。安全点検が済んでこれで大丈夫と言うまでは、私に窓を開けるように促してくる。

窓を開けたままではセコムの警報がセットできないので、夜は表に出されてしまうのに。寒い夜、しょんぼりと出ていくのは可哀想だけど。かといって窓をしめると開けて開けての大騒ぎ。朝私が起きて早速窓を開けると、冷たい猫が待ってましたと入ってくる。少し我慢して一晩うちで寝ていけばいいのに。

寒い時期には可哀想だからベランダには段ボールにキャッツシートを敷いておいてある。かろうじて風雨がしのげるくらいで、大風の日には吹き込んでくるし、雨が強ければ濡れてしまう。だからもう覚悟を決めてうちの子になってしまえばいいものを、野良生活はなかなか捨てられないらしい。何でしたっけ、役者と乞食は3日やったらやめられない、でしたっけ?

楽隊も3日やったらやめられない、多分自分の仕事を3日やったらやめられない人が多いと思う。好きなことが仕事に出来る人は全体のどのくらいの割合かはわからないけれど、逆に言えば仕事を得たら、好きになればいいだけのこと。それで赤貧洗うがごときの生活でも幸せだと思って長年生活してきた。別にヴァイオリンが好きだったからではなく、ヴァイオリンが近寄ってきただけのこと。・・・と思って引退してヴァイオリンを弾くのをやめた。

去年の9月から私はヴァイオリンを捨てた、皆に宣言して楽器のケースはとじられたままだった。しかし、雀百まで、業ですねえ。というわけで古い仲間に声をかけられたらもうその気になっちゃって、いそいそと練習を始めた。

そして古い楽友であり先輩である元東響の打楽器奏者の芹澤英雄さんの訃報が届いた。この方こそ、まさに楽隊は3日やったらやめられなくなってしまった人なのだ。博識、多才であり薬剤師の資格を持っているのにもかかわらず、途中で学業か楽業になってしまったという。音大に入り直し打楽器奏者となり、オーケストラで活躍。引退後は税理士の資格をとってしまう。普通の人ならそのうちのどれか一つの資格を得るのも難しい。人生を三回生きたような人だった。いつも穏やかで誰がどんな質問をしても回答の用意があるほどの博識。

毎年のように彼を囲んで飲み会が開かれていたけれど、数年前から足が弱って介護施設に入り、ここ数年お目にかかっていなかった。オーケストラの生き字引だったから私は彼の話を書き取っておこうと思っていたのに、できなかったことが悔やまれる。

芹澤さんの御冥福をお祈りします。

今度お目にかかるときには、ビールですか?日本酒ですか?おや、ワインですか。この銘柄なんていかがですかなんて、またご一緒に。ハスの花が綺麗に咲いた天国でね。














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