2021年4月10日土曜日

蔓延

 まんえんの蔓の字、それほど難しい漢字でもないのにテレビのニュースなどではなぜか平仮名、延は漢字で書かれる。熟語なんだからどちらも漢字で書くべきではないの?よくそういう例があって、ではどれがそうかね?と聞かれると、すぐには思い出せないのが最近の私。数日前から超有名なピアノの巨匠の名前が出ない。その代わりその人とトリオと組んでいたハイフェッツとピアティゴルスキーの名前はすぐに出る。ハイフェッツなどは、私が完全にボケても寝言で出ると思われる。

いつの頃か当用漢字というものが決められて、それに当てはまらない漢字は熟語の中でも平仮名で書かれるようになった。子供の頃それを聞いた私はなんてことをするのかと思った。当用漢字が決められたのは私が生まれたかどうかわからないくらい古いときだから、なんでそう感じたのか。たぶん小学生のころ先生から聞いたのかもしれない。日本語の良さは漢字にある。「漢」字というのだから輸入物だけど、日本に入ってきてからの長い歳月ですっかり日本人のものになっている。それなのに、熟語に使われるものにまで常用漢字をあてはめるとは。

たぶん2000語に満たない数の当用漢字、子供の柔らか頭ならなんの苦もなく覚えられようものを。ゆとり教育なるものを考えだしたお役人は何を考えているの。子供の頃に詰め込まないでどうする。音楽教育なんかは3,4歳から始めるのが普通。私みたいに小学校に入ってから始めたのでは、本当のところ手遅れ。私が教育関係の役人なら、小学校に入る前に「万葉集」「古今和歌集」「古事記」「平家物語」などを暗記するように指導する。子供の頃ならなんなく覚えられる。「源氏物語」は子供向きではないけれど、今どきの子供なら耐性があるかも。ゲームなどやっている時間を少し回せば苦労しないで覚えられるはず。意味はともかく暗記だけすればいい。子供の頃の暗記の力はすごい、教養という立派な財産になります。

それによって大人になってから日本語の美しさに気がつこうというもの。ハリー・ポッターの作者のローリングさんは、語学力がすごい。英語の古典的な言い回しとかフランス語、ラテン語にも精通。それによって子供向け(?)の読み物が格調高く仕上げられている。彼女の語彙の数が半端ではないらしい。同じ語彙が使われる回数が極端に低いという。だから絶え間なく辞書を引かないといけなくなる。その間に前に引いた言葉を忘れてしまい、同じ単語を何回も引くはめになる。

英語の先生に、いつか北軽井沢に遊びに来て!と言ったら「それではハリー・ポッターの合宿にしましょう」どこまでも真面目な先生。それにひきかえ遊ぶことしか考えない生徒の私は、この先生でなければとっくに挫折していたと考えられる。今まで読んだ本はすべて斜め読みの速読だったけれど、ハリー・ポッターは生まれてはじめて重箱の隅を突く読み方なので、遅々として前に進まない。なにもわからない英語だったおかげで人生初めての熟読になった。1作品でも良しとしよう。只今最終巻の7巻突入。流石に大人向きの書き方になってきて難しさは増すばかりだけれど、面白さも倍増してきた。もし私が中学生でこの本に出会っていたら、英文学を志していたかもしれない。

私はひょんなことから音楽の道に進んだけれど、本当のことを言えばなんでもよかったのではないかと今でも思っている。そのくらいなにもかも面白いことだらけ。日本文学でも良かった。数学でもよかった。物理学でもよかった。一番なれそうもないヴァイオリンなんか弾いて失敗したかな。

面白いことに小学校では体育が苦手、泳げなかったし走れなかった。それなのに年取ってもなおスキーだけはやっている。スキューバダイビングのライセンスまで持っている。走るのは本当に苦手だから馬の背中で走ったつもり。時々落馬したけれど怪我もない。中学校では英語はさっぱり興味がなかった。それなのに今頃になって毎日英和辞典をひいている。何事にも逆らわず周りに流されていたらこうなった。

普通の家庭では子供の将来は親が決めてレールを敷く。けれど私の両親は子供任せでなんの手引もしなかったけれど反対もしなかった。おかげでなろうと思えば何にでもなれたなあと、今軽く後悔している。もっとなにか夢中になれるものがあったのではないかと。

例えば?密林でゴリラの研究をして一緒に暮らすとか、海洋生物学者になってクジラやイルカの言語の研究、動物行動学者になってコンラート・ローレンツ博士の後継者になるとか・・・あはは、むりむり。

そういえば放送大学の動物行動学の試験のとき、前の年に受けた人からここは絶対に出るから勉強しておいたほうがいいですよと言われて、そこだけ暗記していったら完全に外れて次の章が出た。その前の章を完全に暗記していたからそれをつらつらと書いて「ここから次の流れに入る」と締めくくったらまんまと単位がもらえたことがあった。ヤマかけて外れたのが教授にはミエミエだったけれどお情けということで。










2 件のコメント:

  1. 漢字もイヤな"感じ"の扱いだけど、横文字略語も目に余るものがある。
    ついて行けないというより、ついて行きたくもないね。

    返信削除
  2. 漢字博士のyamaseichanとしては昨今の事情は面白くないでしょう。
    少しむずかしい方が何でも面白いのにね。

    返信削除