2021年4月21日水曜日

眠りを破るのは大変

コロナ感染が減少するどころか拡大の一途をたどっている。人々の我慢は限界に達しているようだ。徐々にコンサートも復活、先日は江戸川区民総合文化センターで行われたアマチュアオーケストラのコンサートを聴きに行った。私の教えている女性がメンバーの一人なので時々 聴きにいく。

会場に到着すると、駐車場の周りの木々の緑が新鮮で、思わず、ああ、世の中はコロナ以外はすべてちゃんと回っているのだなあと実感した。自然は裏切らず毎年の循環を繰り返し、世界中の人が苦しんでいるときにも目にも鮮やかに葉を茂らす。人だけが苦労しているわけではないけれど、今回のこの災難は人類への天からの警告だと思う。

江戸川フィルハーモニーオーケストラは何回か聽かせてもらった。今回はコロナ禍で一度流れたコンサートをなんとか再開するというので、彼らにとってもハラハラ・ドキドキの開催だったと思う。この災害の中で果たして開催していいものかどうか、話し合いを重ねたにちがいない。自分たちだけでなく聴衆にも絶対安全とは言えない。しかし、一度火を落とすと再燃させるにはエネルギーがいる。安全対策をとっての実行だったと思う。

感じたのは音が練れてきたということ。大切に長年練習を重ねてきた成果と言えよう。以前聞いたときにはどちらかというと元気すぎて時々アンサンブルが壊れていたけれど、今回はいかにも全体で共に歩いてきたという成果が見られる。はっとするほどいい音がすることがあって、これよこれよと小躍りしたくなった。指揮者は田部井剛さん。

今回はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲という名曲を、女優さんと見まごうばかりの美女が弾くというので楽しみにしていた。二上りか子さんという。演奏は言うまでもなく素晴らしい。最後の最後で突然気持ちを込めすぎて一瞬音程を外してもご愛嬌と言える。その時の気持ちは手にとるようによく分かる。今後の活躍が大いに花開くことを期待している。しかしコロナのせいで彼女たちの演奏も制限されていることと思う。若い人たちの苦労がわかるから、本当に頑張ってと言いたい。

昨日、我が家にも若き演奏家が現れて一緒に弦楽トリオを練習した。来月の小さなコンサートの初めての音合わせ。今どきの演奏家たちは私達の時代のはるか上を行くレベルだから、本当に気持ちよくサクサクと練習が進んだ。私は老眼につき音符の加線がよく見えない。特に高音部の加線が何本あるのかが見えなくて、もっとも前もって練習しておけばいいものをサボっていたのでやっと本気になって数える。そうか、ラからオクターブ上のラに飛ぶのではなくソだと気がつくまでに時間がかかる。それで失敗する。

私も長年の活動の間には仕事が全く途絶えてしまうような時期もあった。例えば昭和天皇の崩御が予想された時期は特に暗黒時代。他の業種はいつものままだったけれど、エンターテイメントはそういうときにはご法度だったからコンサート予定がたてられず、仕事がなくなった時期があった。今はフリーのミュージシャンや飲食店などに限らずすべての業種が苦労しているけれど、私達はそんな時代を経験している。でも良い運も悪い運もじっと我慢していると不思議と過ぎていくから、気持ちを大きく持って頑張ってほしい。

長年生きているとジタバタしても改善はしないということがわかってくる。ひたすら地味に勉強しているしかない。・・・と言いながら、私はこの2年ほど地味に勉強しなかったおかげで、今ジタバタしている。あんなに柔軟だった指が硬直、仕方がないとはいえ老いとは無残なものだと思う。

年齢のせいにするなよと私の陰の声がする。うるさいなあ、わかりましたよ、練習すればいいんでしょう、すれば。














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