2025年5月14日水曜日

工事がはじまった

レッスン室の防音と防熱、防犯のためにドアや窓をより強化したいというのは以前からの計画だった。いつもリフォームをやってもらうのはOさんの会社。信頼できる工務店が見つからず方々に依頼してもなかなか満足がいかなかったのが、たまたま姉の知り合いが近所に会社を立ち上げたというのでお願いしたことから、ずっと長いお付き合いが始まった。

Oさんは口やかましく、職人さんの仕事にずっとつきっきりで文句を言う。それをもの柔らかく受け流して黙々と作業をする職人さんたちは陽気で時間にきっちりしていて、もちろん仕事もバッチリ。だからOさんはガミガミ言う割にはもしかしたら優しいのかもしれない。あんまりうるさいときには私が口を出す。「そんなガミガミ言いなさんな。私が怒られているみたいじゃない」とか。

そんなチームできっちりとスケジュールが決まったとおりに進行するので私も行動の計画が立てられる。

初日はピアノや楽器類に工事のホコリや傷が及ばないように蔽いする。作業が終わるころ行ってみたら床にはシートが敷かれ、ピアノや家具類はすっぽりとビニールで覆われ、お化け屋敷風に様変わりしていた。これだけでも大変な作業ということがわかる。普通私のアパートくらいの安普請ならここまでやらなくてもと思うけれど、社長がうるさいので手を抜かない仕上げになっている。

今日はドアの交換、サイズが変わるのでドア周りの壁を切り取り新しいサイズの枠を作る。コンセントの位置や分電盤の位置をずらすため天井まで切り取ってあった。しかもまんまるに。この作業見たかったなあ。どうやってこんなに丸く切り取れるのか。本当はずっと見ていたかったけれど、外野がいると作業がやりにくいから迷惑だと思って遠慮していた。私はこういう現場を見るのが本当に好きで、建築現場を見つけるとしばらく足を止めて見ていることがある。大抵は警備員に追い払われるのだけど。

外の現場ならずっと見ていると思うけれど、狭く足元が悪い室内では職人さんたちのじゃまになる。いつも思うのは私が建築に関わる仕事でなくて良かったということ。ネジ一本、足りなくても危険なこともある。私のようにうっかり屋で、最後の一本の釘を打たなかったために建物崩壊に繋がりかねない。

以前、大きなマンションの土台のコンクリートの柱の寸法が足りず、地面に打ち込まれていなかったという信じられないようなことが報道されていた。その為にしばらくすると建物に亀裂が入りはじめ壁が落ちたりしたようだけれど、その後あれはどうなったのかしら。きっと私みたいないい加減な人間が計算間違ったか、経費節約で故意でやったのか。故意なら随分ひどいことやってくれるじゃないの。大手の不動産会社なのに。

今日の最後の作業が終わって覗きに行ったら、新しい綺麗なドアがスッキリとはめ込まれていた。ものすごく重たいらしい。アルミか何かで表面は薄茶の木目っぽい仕上がりで、今までの周囲の壁紙が安っぽく見えるから、ここをアラビア風の模様にしたらいいわねと言ったら、なにを馬鹿な!ふうな目でみられた。私なら思い切り派手な色で陽気に飾りたいところだが。クソ真面目に、ほかが白い普通の壁紙ですので合わないと思いますと返事がきた。わかってるわい、そんなこと。

困ったのは、せっかくヴァイオリンを弾き始めてやる気になっていたのに、練習ができない。もはや私の生きるエネルギーの元は音楽しかない。引退したらもう一度放送大学に行こうなどと思っていた。絵をおかきになったらなどと唆す人もいた。うん、それもいい。これからゆっくり本を読もうと思ったけれど目が言うことをきかない。旅に出たいけど猫が足を引っ張る。体力気力ともに新しいことに挑戦できる時期はとっくに過ぎている。

もう一度算数からやり直して数学を勉強するのもいいなとか、だいそれた事も考えた。私はショベルカーなどの特殊自動車の運転もしてみたい。欲深で結局一つものになったことがない。一番おもしろかったのがヴァイオリン?指がこんなに曲がらなければもう少しステージに立てたのに。

ピアノは指が曲がっても音程に関係ないから、モーツァルトのニ短調の幻想曲を練習している。でも工事中は練習できない。歌も歌いたいけれど、そのうち我が家にはホラー現象が起きると噂がながれるかもしれない。夜な夜な絶叫が聞こえるとか。ただでさえ評判の悪いうちなので。













0 件のコメント:

コメントを投稿