2013年8月1日木曜日

哀れ

山口県の連続放火殺人事件で逃げていた男が逮捕された。限界集落という本当に狭く高齢者だけが暮らす小宇宙の中での悲惨な事件は、外から窺い知ることも出来ない。それぞれ言い分はあるとおもうけれど、いったんねじれてしまった人間関係をなんとか修復できなかったのだろうと胸の痛む思いでニュースをみていた。その中で犯人が飼っていた犬のことが可哀想でならない。見れば手入れもよく、性格も穏やかそうで、かわいがられていたのが一目でわかる外見をしている。そんな動物を大事に出来る人がどうしてあのような悲惨な事件を引き起こしてしまったのか。犯人が逮捕された1分後に犬が急死したそうだ。まるで飼い主の一大事の身代わりにでもなったように。まだ7歳か8歳、大型犬の寿命にしては早死にといえる。飼い主が山に逃げるときに大量の餌を置いていったらしい。それでも犬はなにか大変なことが飼い主に起きてしまったと察知したにちがいない。何日もかえってこない飼い主をひたすら待っていたのに、もう永遠に会えなくなったとわかったのかしら。保護された時には久しぶりに人に会えて嬉しそうに尻尾を振っていた。せまいケージにとじこめられてもおとなしく期待に満ちてひとの方を見ていた。まだ飼い主に会えると思っていたのだろう。でも飼い主が逮捕された瞬間、犬にもなにか伝わったとしか思えない。待っていた数日間の寂しさと、なにかとんでもないことが起きたと感じたショックが命を終わらせたに違いない。この犬を巡って以前住民の一人から処分してしまえと言われたことがあるという。罪のない犬が哀れでならない。

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