2014年4月16日水曜日

肺がんの脅威

2月に受けた人間ドックの結果が一ヶ月後、ようやく届いた。
2週間後に郵送と言われたのが半月も遅れたので、これは何かあるのかと思っていた。
ほとんどの項目が基準値内であるのに、一つだけ引っかかったものが、肺の怪しい翳。
アミノインデックスの数値も高い。
3月末の古典音楽協会定期演奏会の2日前に、郵送されてきた書類は、肺がんが疑われるので、至急再検査との指示。
ただでさえ、本番を2日後にひかえ一番緊張の高まる時だから、その上肺がんとなると、これは七転八倒もの。
一番なりたくない病気が肺がん。
手術後の5年生存率が30%強。
手術しても3分の2は5年もたないということだから、これに罹ったらもう死ぬことを覚悟しないといけない。
私はまだまだ死ぬつもりがなくて、この先どのように楽しく生きるかを模索していたので、5年は想定外。
文化会館のステージでよれよれになってしまい泣きじゃくる自分の姿を想像したり、私が居なくなった後のノラが悲惨なニャン生を生きる姿を思い浮かべては、心の中は大パニック。
ところがこういう修羅場であっても、良く食べ良く眠れるのが私の特技で、5年かあ、5年でもいいか、と不思議に心が落ち着いてきた。
なんたって、好きなことだけしかしなかった人生だった。

検査を受けようと思ったきっかけは一つのだった。
数年前に亡くなったクラリネット奏者の小田部ひろのさん。
彼女が急にある夜、夢に出てきた。
暗い広い部屋の中に一カ所だけ明るく輝く場所があって、そこに小田部さんが座って、こちらを見てニコニコしている。
目が醒めた時に、これは小田部さんがなにか知らせてくれているのだと思った。
以前、乳がんになった時は、亡くなった古い友人たちが次々と週替わりで出てきた。
その時に霊感もなにもない私が、こんなに立て続けに5人の逝去した人達の夢を見るのはおかしい。なにかある。
それで検査をうけたら、ガンだったという経緯。
今回もなにか外に現れていたのか、うちの不思議猫モヤがその日から、私の枕元にピタリと座るようになった。
この子は9年前私が乳がんになっておびえていたときにも、私の顔にそっと手を当てて慰めてくれた。
ここ数年ずっと私のベッドには来なかったのが、この数日、頭の上でゴロゴロ優しく喉を震わせている。
さて、文化会館での演奏は無事終り、私は泣きじゃくることもなくみなさんから祝福された。
一つは無事解決。
コンサート後はお花見の準備に追われて、このことを考えるヒマがなかった。
お花見の次の日は、友人との楽しい1日だったし、次の日は食べ損なったチラシ寿司を食べに、上野池之端までお出かけ。
面白く日々を過ごしていると、気分は上々。
そもそも病気かどうかもハッキリしないのだから、気にすることはない。
次の週、CTスキャンを受けに行くことになった。
そこで万一病気が発覚したら、それはその時に考えよう。
予約のため病院に行って周りを良く観察してみると、入院患者の着ている病院お仕着せのパジャマが冴えない。
自前のパジャマで良ければ、素敵なパジャマを着たい・・・とすでにその気になっている。
入院する前に髪の毛をベリーショートにすれば、万一抗がん剤の副作用で髪の毛が抜けても、枕を汚すことも少ない。
結構楽しみになってきている自分に気が付いて、唖然とする。
どこまで能天気なのかしら。
今から何十年も前だけど、肝炎で1ヶ月半入院した時は、これで買ったまま読んでない本が読める、ラッキー、と思った。
今回、これで何でもなければ幸運だし、なにかあっても受け入れて病気とお付き合いしよう。
実は何回も大病しているから、病気は子供の頃からのお友達。
虚弱なわりに気持ちが元気なのが、アンバランスなところ。
体が丈夫なのに気持ちが暗いよりはいいのかもしれないが、体の耐久力以上の事をやってはひっくり返る。
もう少し我慢ということが出来ないのかと、我ながらあきれている。

そして今日、判決が下された。
ガンは見つかりませんでした。
肺の怪しい影は、いつの間にか罹って、いつの間にか治った炎症、すなわち肺炎でしょうと言われた。
肺炎が知らない間に治るって・・・あるのかなあ、そんなこと。
でも良かった。
肺がん宣告されたら、弁護士さんに遺言状を作成してもらおうと思っていた。
なんたって術後5年生存率30%だから。
しかし、あるいはということで、どんな治療をするのか、少し好奇心はあった。
病室に花をいっぱい飾って、みんなに遊びに来てもらおう、髪が抜けたら今までしたことの無い髪型のウイッグをかぶってみよう、なんて考えたり。
昨日手に入れたdtabが早速役に立つ、ラッキーなんてことも。

これが不思議猫もやちゃんです。







































2 件のコメント:

  1. あのねぇ・・・最初の方読んで本当に心配して、何でもないってわかってほっとして、最後はnekotama様の脳天気ぶりにあきれてしまいました。 長生きしますよ、きっと!

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  2. すみません。
    ちょっと脅かしてしまいましたか。
    さすがに私もびびりましたが、土壇場での開き直りが早いので、自分でもあきれています。

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