2014年4月24日木曜日

桜子


嫋やかな若きヴァイオリニストは6才でうちに来て、それから6年間私が手塩にかけて育てたお嬢さん。
名前は桜子。
名前の通りのはんなりとした、日本的な美人になりました。
初めからオーケストラプレーヤーを目指すというので、それなりの訓練をすることになった。
まず初めは音楽を好きになるために、あらゆる曲を自由に弾かせ、どんどん合奏に参加させ、初見力のためのトレーニングも沢山した。
それで、初見は自由自在になった。
すっかりヴァイオリンに取り憑かれたところで、最初の難関は音階練習。
初めからカール・フレッシュの音階をガンガン弾かせる。
子供のうちに音階は可哀相だからとやらせない先生もいるが、私はそれには絶対反対。
子供のうちにやらないでどうする。
彼女は相当きつかったらしく、レッスンの帰り道母親に「この世に音階が無ければ良いのに」と言い、母親は「先生、このハ長調の音階、もう1年もやっています。まだ、だめでしょうか」
「まだまだ」私は冷たく突っぱねる。
それでも音階の訓練の結果はめざましく、今では重音の音階も蝶々が飛ぶように楽々弾く。
全ての基礎になるのだから、ないがしろにしてはいけない。
最近ロンドンアンサンブルが来る度にアンドラーシュ・タマーシュに聴いてもらっているが、彼からはテクニックは問題なしとのお墨付きを頂いた。
問題は音楽性。
見かけの通り、たいへん落ち着いた穏やかな性格なので、今音大で師事している先生からは「貴女の音楽は京都よね」と言われるそうだ。
おっとり、礼儀正しい、今時珍しいお嬢様に育っている。
内面のパッションを、どう表面に出していくかが今後の課題。
彼女の校外でのデビューコンサートです。
お近くの方はどうぞ聴いてやってください。













0 件のコメント:

コメントを投稿