2014年4月29日火曜日

伊藤恵ピアノリサイタル

紀尾井ホール
ベートーヴェン  ピアノソナタop.13「悲愴」
武満徹      フォー・アウェイ
ベートーヴェン  ピアノソナタop.31-3
シューベルト   ピアノソナタop.78「告別」

伊藤恵さんのピアノを聴くのはこれで3回目。
私はこの方の弾くシューベルトが大好きで、ご本人も本当に楽しそうに演奏する。
なにが良いって、音程が良い。
ピアノの音程は調律だけのことではない。
どの音をどう響かせるかによって、和音がガラッと変わってくる。
まるで弦楽器のハーモニーを聴いているような鳴らし方・・・純正調で調律されているかのような、響きが聞こえる。
私たち弦楽器奏者からすると、重音は一緒に鳴ればいいってものでもない。
ピアノはせっかく音程が決まっているのだから、それをどうハモらせるかというところまで追求したらいいと思うけれど、中々ここまでハモらせることが出来る人は少ない。
殆どピアノを弾かない私ですら、季節毎の調律は欠かさない。
アンサンブルの練習が始まる時には、必ず調律する。
弦楽器奏者は少し神経質だけど、毎日毎日レッスンでも仕事場でも、音程、音程と言われて育ってくるから、しかたがない。

今日一緒に聴いていた美智子さん(弥生人のほう)も帰り道で真っ先にそのことを言い出した。
やはり同じ事を考えていたのだ。

伊藤さんは演奏中の手と体の動きが、見るからに美しい。
ベートーヴェンの時も少し聞こえたけれど、シューベルトは特にピアノの音に混じって、彼女自身が思わず旋律を口ずさんでいる声も聞こえた。
のめり込んで、シューベルトを呼び戻しているかのように。
彼女は演奏が終るといつもステージから、少しお話をする。
今回のプログラムの内、やはりベートーヴェンが相当手強く、彼女にとっては冒険だったこと、ベートーヴェンの合間に武満さんの曲を入れたのは、二つのベートーヴェンを中和する?様な意味だったようで、この曲はガムラン音楽に影響されて作曲されたという。
ながれる雲を眺めているような、無心な気持ちになる。
無心になりすぎて心地よく、眠らせて頂いた。
武満先生、ごめんなさい。
数回お目にかかったことのある、武満さんの思い出もあるけれど、又の機会に。
とにかく素敵なコンサートでした。















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