2014年5月17日土曜日

生傷が絶えない

食事をしていると、いつもテーブルの隣の食器棚の上に座る猫がいる。
地震の時に倒れると怖いから、家具は全て腰の高さまでの物をそろえている。
食器棚の上はテーブルより30㎝ほど高い。
ちょうど私の肩の高さに猫が居ることになる。
その子は、不思議猫の「もーちゃん」
人の心が分かる賢い子で、食い意地は張っていないのだが、食事に参加しているつもりらしい。
それで私の手のひらにのせた、刺身や煮魚のかけらなどをほんの一口食べると気がすむらしい。
一種の儀式みたいなもので、それ以上は騒がない。
私が食べ終われば、サッと飛び降りていなくなる。
今日その子は、食器棚の上にあった猫のカリカリを入れておくプラスチック容器の上に乗っていた。
それが、なにかの拍子にグラッとゆれて、落ちまいとして私の肩に取りすがった。
そのまま私の肩に爪を立てて、ズルリと落ちていった。
首回りの大きく開いたシャツを着ていたので、私の肩は無残にも、長ーい引っ掻き傷が数本残ってしまった。
来週土曜日には、背中が思いっきり開いたドレスを着るのにゃ。
どうしてくれる。
動物を飼っていると、こんな騒動は日常茶飯事。
数日前にはたまさぶろうが、いきなり私の左目の下の涙袋の辺りをひっかいた。
いったいどういうつもりかは分からないが、最近耄碌したらしく、やたらDV男になってきた。
前は穏やかな子だったのに、最近は大音量で悲鳴のような鳴き声を上げる。
別に機嫌が悪いのでも、恐怖に怯えているのでも無く、ただ声がやたら大きくなった。
毎晩彼は私のベッドで寝るのだが、ベッドに飛び乗る前にもかならず大声で叫ぶ。
何故かわからないけれど、叫んでからよいしょとベッドによじ登り、私の左腕を枕にするとさも満足げに喉をゴロゴロいわせるから、ご機嫌は麗しいらしい。
ところが私の寝付きは寸殺もので、電気を消すと同時に眠ってしまう。
そしてしばらくして目を覚ますと、ベッドにはもう、たまさぶろうの姿はない。
ブスッとして後ろ向きに足元で寝るか、隣の部屋で寝ているか、どちらか。
どうやら、寝相の悪い私が邪険に手足を動かして、虐待しているものと思われる。
それで腕や頭に爪を立てたりしているらしい。
それでも呼べばいそいそ来るし、足元に座って私の顔を見あげる表情は、うっとりと愛おしげ。
たまさぶろう、君だけだよ、そんな風に私を見てくれるのは。
人間の男たちは、ほんとに見る目がないねえ。



















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