2014年5月5日月曜日

クライスラーの嘘

5月の後半、東日本大震災復興支援コンサートで使うのは、例の生き残りの木で作られたヴァイオリンとヴィオラ。
どういうシステムになっているのかはわからないけれど、主宰者が楽器を借りてくれる。
その楽器はコンサートの2日前にしか貸し出してもらえないので、1日だけ手慣らしして弾かなくてはならない。
ヴァイオリンは長年同じ楽器を使っているので、もう自分の体の一部のようになってしまっている。
それで、違う楽器を使うと微妙に「ツボ」と言うのだが、音程のスイートスポットが違う。
勿論鳴り方も全然違うと思うので、馴れるのに1日では短すぎるけれど、そういう約束で借りるらしいので、仕方が無い。
さて曲目はどうしようか考えて居たのだが、長すぎず気難しすぎず、それでも格調高くとなると適当なものが思いつかない。
ヴィオラはFUMIKOさんが弾く。
いつもはチェロの代わりにヴィオラとピアノとヴァイオリンでトリオを弾いているので、その編成のレパートリーがある。
復興支援と言うことなので、なるべく日本の曲を多めに入れてと考えて居た。
それでトリオとしては日本の曲、それぞれのソロは自分の好きな曲となった。
最近生徒達が何故か、我も我もと弾いているクライスラー「プレリュードとアレグロ」が大変素敵な曲なので、それを弾くことにした。
この曲は先日ロンドンアンサンブルのタマーシュが目も醒めるようにあざやかに弾いた曲。
彼は「この曲弾くのは6才の時以来かな」と言っていたそうで、私はそれに遅れること8年ほど。
その時にはこんなに面白い曲だとは思わなかった。
訳もわからず弾くと、なんてへんてこな音型の連続なのかと思ってしまう。
ところが、早いパッセージを猛スピードで弾くと、なんとそこに浮き上がってくる旋律がある。
まるでパズルのようなのだ。
初めて弾いた時にはワケが分からなかったので、ただ早く弾けば良いのだと思った。
先生も別になんの説明もしてくれなかったし。

この曲、クライスラーが演奏旅行中にイタリアの図書館で見つけた、プニャー二という旧い作曲家の楽譜、そのテーマを元にアレンジしたという触れ込みで発表された。
ところが数年後クライスラーは、実はあれは自分の作曲であると告白しセンセーションを巻き起こしたという。
いわゆる偽装。
何故そんなこと言ったのでしょうね。
クライスラーって、ものすごくIQが高かったのだと思う。



























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