2014年5月22日木曜日

震災ヴァイオリン

東日本大震災による津波被害でたった1本残った松の木。
健気な姿に日本中が涙した、その木で作った魂柱をたてたヴァイオリンが、今手元にある。
魂柱とは、弦楽器の表板と裏板に接して立てられた細い柱。
この細い柱が、その楽器の音を左右する重要な働きをする。
これがないと、表と裏が一体とならず、音が出ない。
楽器そのものを生かすも殺すも、この小さな柱なので、魂の柱と呼ばれる所以。
今朝、制作者の中澤宗幸さんからお借りしてきた。
お話によると、奇跡の一本松は魂柱のみに使われている。
後は陸前高田と大船渡のがれきの山の中から、木材を選んで乾燥させた物で作ったそうだ。
制作者の中澤さんとは初めてお目にかかった。
物腰の柔らかい穏やかなお人柄とお見受けしたが、実際楽器を弾いてみると、バランスのとれた鳴りやすい楽器で、なるほどお人柄そのものだなあと感心した。
今回は、今までボランティアでよく訪問していたケアハウスが主宰の、災害復興支援コンサートで弾かせていただく。
いつもは入居者のためだけの演奏だったが、支援コンサートは近隣の人達にも聴いてもらうために、かなりの人が集まるようだ。
楽器を手に取ってみると、やや黄色っぽい薄めの色で、裏板に一本松の絵が描かれている。
初めからとても音が出しやすい。
私自身の楽器はオールドなので、非常に気難しい。
中々言うことを聞いてもらえず、時には手こずり、時には音に惚れ惚れというように、自分の体調や天候に依って、鳴り方が全く違う。
今日お借りした楽器は、当然音が若いけれど、あまり天候に左右されずコンスタントに音がでるので、非常に楽。
今朝は大気が不安定で、大雨が降ったりやんだり。
そんな時にも、あまり動じないようだ。
これなら誰が弾いても大丈夫。
どんな楽器なのか少し心配していたけれど、これで安心。
この楽器を通して復興の支援が出来れば、自分の人生、たまには他人様のお役に立つかと思えるけれど、私が出来るのはこの位。
自分がもし災害に出会って落ち込んだときに、ヴァイオリンの音色で心が和んだらどんなに嬉しいか思うと、やはりこれはやるべき事だと感じる。
機会を与えてくださったケアハウスの方々に、感謝します。












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