2014年5月19日月曜日

ノラの失踪

もう1週間にもなるけれど、ノラのチャアが姿を消してしまった。
毎朝駐車場に行くと、私の足音でわかるらしく、待ち構えていたのが居ない。
チャアの寝床は大きな白猫に分捕られ、その白猫もここ2日ばかり姿を見せない。
恋人獲得の旅にでもいったのか。
それならそれで良いけれど、最近やっと人間不信を脱皮しつつあったので、悪い人の罠にかかっていないといいけれど。
2年前、うちの駐車場に現れたチャアは、電信柱に張ってあった尋ね猫のポスターの写真そっくりだった。
書いてあった電話番号に連絡すると、探し主が飛んで来た。
このあたりから引っ越したときに姿を消して、もう4ヶ月も探し回っているという。
車の下に蹲って出てこないので、そっくりだけど確信はないと言って、毎日通ってきた。
前の飼い猫の名前はチャノ。
チャノと呼びながら、仕事の前後スーツ姿で来て、ストッキングが伝線しそうなのも構わず、コンクリートに膝をついて車の下を覗き込む。
しかし、まだ4ヶ月ならいくら猫でも、元飼い主を覚えていないのは不自然。
全く反応しないから、諦めてはと思ったが、可哀相で言えない。
そして休日ご主人まで連れてきて、やはり男性は論理的で、色々理由を挙げて奥さんを納得させて帰って行った。
それからチャアと名付けられて、うちの物置の住人となったノラは、冬は電気あんかを入れてもらい、エサは1日2回、食べ放題。
すぐに丸々としてきたけれど、人間に対する警戒心がすごくて、私に顔を見せるどころか、立ち去るまではエサに口を付けないほどで、この警戒心の強さがあって、今までノラとして無事で過ごせたのだと思った。
2回目の冬が過ぎ、今年に入ってから私の突き出す指のにおいを嗅いだり、ほんの一瞬触れるようになった。
最近は車の屋根に乗って、全身を見せるようになってきた。
これで、もう少し馴れて触れるようになったら、次に冬が来る頃には内猫になれるかもしれない、そんな期待をしていた。
なんとかしてケージに入ればこっちのもの。
そのまま泣こうが喚こうが部屋に閉じ込めれば、我が家の先輩猫たちと一緒に安楽に出来る。
ところが1週間姿が見えないとなると、これはなにか異変が起きたに違いない。
物置に行かなくても様子が見られるようにと、取り付けてもらった監視カメラのモニターを、いつ見ても写っていない。
前にいたノラもそうだった。
3年目に忽然と姿を消した。
心配でも猫のことだから捜索願も出せない。
その子もようやく私になれてきて、やっと触れるようになった矢先だった。
人間が関与するのは、ノラ世界には迷惑なのかも知れない。
そうは言っても痩せこけて打ちひしがれたノラ猫を、放ってはおけない。
猫をすごく嫌う人がいて、ノラにエサをやると非難されるけれど、大体この地球上で多種多様な生き物が共存するのが、バランスのとれた世界といえる。
そこにいるからと言って、捕まえられて殺されるような理不尽があってはならない。


























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