2014年5月9日金曜日

兵士の物語初合せ

ストラビンスキー「兵士の物語」
今年の新年会で酔っ払った勢いで音楽教室の同僚のピアノ、クラリネット、ヴァイオリンでトリオ版を演奏することになった。
酔っ払っていたから忘れているかと思ったら、先日クラリネットの講師のUさんからメールが届いた。
そろそろ始めませんか?と。
それまで放置してあったので、慌てて譜読みを始めた。
ストラビンスキーらしい不協和音と変拍子の連続。
しかし、それほど難しくはない。
少し安心。
所々、これどうやって弾くの?というところもあるが、色々考え方を変えれば、なんとかなることもあった。
ガクタイの頭が柔らかいのは、こんな訓練するからかなあと、言い換えればいい加減、良く言えば柔軟思考。
今日初合わせは、教室に3人集まって、狭いところにひしめき合いながら、音だし開始。
楽譜の見かけが真っ黒(音符が沢山ある)なので休止符を落としたりするものの、考えていたよりも手こずらず、初めの楽章を終った時に「あ、一緒に終った」と思わずつぶやく。
こういう曲を弾くとアドレナリンがドッと出て、生き生きしてくる。
面白い。
重厚なブラームスなども素敵だけれど、時にはこうした現代物も楽しい。
ストラビンスキーと言えば、オーケストラでは「春の祭典」「火の鳥」「ペトルーシュカ」などが定番で、よく弾いたものだった。
初めて春の祭典を弾いたのはオーケストラに入団して間もなく、
最後の部分の変拍子の連続に泣かされたけれど、一度覚えてしまえばそう難しいことも無くて、若くて反射神経も抜群だったから、かえって得意の曲の一つになった。
ある時の定期演奏会の曲目が、武満徹「ノベンバーステップス」そしてストラビンスキー「春の祭典」の2曲だった。
武満さんの曲は大変上手くいって、指揮者の秋山和慶さんから後日聞いたのは、その時武満さんが舞台袖で待っていて、秋山さんに「どうしてこんなに良い音がするの」と言ってポロッと涙をこぼしたそうだ。
作曲者自身が涙をこぼすほどの、出来栄えだったらしい。
気を良くしたメンバーは次の「春の祭典」に取り組んだ。
最後の最後まで上手くいっていた。
さあ、最後のクライマックスの変拍子、だれもが大成功と思ったのに・・・休符のところでギャンと飛び出した人がいた。
全員がっかりだけれど本人が一番がっかりしたらしく、しょげ返っていて、しばらくしたらこれが原因では無いかも知れないが辞めて故郷に帰ってしまった。
でも本当のこと言えば、そんなことはすごく小さな事で、本気で弾いた結果飛び出したなら、皆は許してしまう。
聴衆だってそれほど気にはしない。
でもやってしまった本人はそうはいかない。
しばらく悪夢にうなされる。
オーケストラ独特の恐怖感は、いまでも夢に見るほど。
「春の祭典」の日本初演は山田一雄指揮のN響だったらしい。
噂では、最後の部分がひっちゃかめっちゃかになり、指揮者もグチャグチャ、最後にホルンがエイっと終って無事終了した。
でもやんやの大喝采だったそうな。
まだ日本のオーケストラの黎明期、どれほど難しく思えたか。
今時の若い演奏家たちはなんなく変拍子をこなす。
我が家の楽譜の墓場はピアノの上。
いつか弾こうと思って買った楽譜が積んである。
その中にストラビンスキーのヴァイオリンとピアノのための「Divertimento」がある。
ついでだからと言ってはなんだが、そろそろこの曲にも取りかかってみよう。


























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