昨日は1年半ぶりの再開となった「古典音楽協会」定期演奏会。一昨年3月のコンサートがコロナ感染拡大のため中止となって次もその次も流れて、これではもう私達高齢者はこのまま朽ちてゆくものとおもっていた。しかししぶとく生き残っておりましたぞ、我が古典のメンバーたちは。誰ひとり欠けることなく集まりました。
驚いたのは、これだけブランクがあったにもかかわらず誰の音も生き生きと、むしろ以前より張りもありリズム感も若々しくなっていたこと。幼少時から辛い練習に耐えて黙々と練習を重ねた習慣が身についていたのが幸運の源。
上野の東京文化会館の小ホールは、いつもの入りよりはすくなかったものの、ステージに出ると客席からの熱いエール、こちらから見るとどのお顔もニコニコと歓迎の表情で、嬉し泣きしそうになった。「古典」は自分たちだけでできていない、聞いてくださる方々と一緒に長年歩んできたその結果であると感慨深いものがあった。
今回は全面解除とはいかないのでお知らせは控えめだったので、いつものように満員御礼とはならなかったものの、次からはまた座席を探すのに苦労するという嬉しいお小言を頂戴したいと思う。とにかくこの小ホールのステージに戻ってこられたのが何よりの幸せだった。しかし元気な高齢者集団だなあ。コンマスの角道さんは83歳、信じられない若々しい音で協奏曲を弾く。
ヴァイオリンという楽器はゼロ・ミリ単位の指の動きで音程を作る。耳も運動機能もよほどの訓練をしていないとすぐに衰える。私は1年半、コロナが流行り始めてから8つものコンサートが中止になってがっくりとして練習に身が入らなかった。その間も着々と練習をサボらなかった我がコンマスは、全く変わっていない。恐れ入りました。
再開がきまってからメンバーが集まって練習ができたのがたったの一回。だから当日のステージ練習はあちらこちら破綻だらけ。いつものさっさと終わるゲネプロと違って時間がかかった。これで本番?しかし、数十年来の団員たちの絆は強く、本番はいつもの音、いや、いつもよりもずっと力強い音が聞こえた。全員の顔が生き生きと弾ける喜びで輝いていた。
文化会館は馴れているせいもあるけれど、とても弾きやすい。小ホールの舞台に立つと「ただいま」と言いたくなる。厳しい審査を通らないと立てないこのステージで「古典」のメンバーであるということで毎回演奏できることはこの上ない幸せだとおもっている。私達メンバーも高齢化が進み、あと何回できるかわからないけれど、来年の創立70周年までは頑張らないといけない。しかし、自分でも驚く。こんなに長いあいだ所属した団体は「古典」が初めて。
私は今までいくつかの団体に所属しても長続きしたためしはなかった。どこに入ってもなにかしっくりこない。「古典」は競争の激しい業界を生き抜いてきた人たちなのに心底優しく、うちに秘めた強さが忍耐につながっていく。そこに私は深く共感を覚えるのだ。思いは一つ「いい音出したい」そろそろ天国の入り口に到着するので浄化作用が働いて、音はこれからますます良くなるでしょう。乞うご期待!