2023年8月18日金曜日

荒れ狂う地球

6号台風が日本列島に居座っており次の7号台風が出番待ちというころ、姪Nとその娘Rと一緒に北軽井沢に行く予定だった。しかし台風は日本列島を離れず何回も強い風雨で西日本や沖縄を苦しめた。私達が行く北軽井沢は群馬県なので暴風圏を少しズレていたけれど、それでも台風の東側には強い風が吹くと言われるから覚悟してでかけた。

出発日の早朝、関東地方は雨風もほとんど影響がなく曇り空ながら無事に現地到着、時々雨がぱらつくけれど森の中は穏やかで木々の緑が心を癒やしてくれる。いつものようにここは平穏で空気が美味しい。

3世代の欲求を満たすのはどこを標準にするかというと、やはり若者である姪の娘Rにと思ったけれど、私がそのパワーについて行けるかどうかわからないから独断で物事を進めることにした。姪のNは物静かであまり口をきかないけれど、意志の強さで周りに影響を与える。娘のRは頭の回転が早く知識で周りに影響を与える。私は思いつきで動くから即決即断だけど時々素っ頓狂。面白いトリオになった。

早朝出発したので軽井沢のインターを出たのは9時過ぎ、通り道のカフェ「春木」に寄って朝食を摂ることにした。ここは元群馬交響楽団のコントラバス奏者の経営するお店で、私が北軽井沢に通うようになった10年ほど前から気になっていた。なんだかコンバスのようなものが看板になっているあそこはなんだろう、前を通るたびによってみようとは思っていたけれど、あるときやっと寄る機会があって店主の顔を見ると見覚えがあった。私がオーケストラで弾いていた頃、よくエキストラで来てくれた人だった。音楽の世界は限られた世界だから、いたるところに知り合いがいる。

山小屋到着と同時に私はキャベツを刻み始めた。頭の中ではもう食事計画が出来上がっていて、手はじめがキャベツの千切り。連れの二人は驚いていた。なにをしはじめたのかわからないらしい。もちろんわからないさ、冷蔵庫の中身、持ってきた食材と合わせて一番経済的になる食事を考えているのだから、他人にはわかるわけがない。なにかお手伝いをと言われても指示するより自分でやったほうが早いからベッドの支度をしてもらった。

半月くらいこないと寝具はやや湿気を含むからさっそく布団乾燥機の出番となる。私は家を閉めるときに寝具をすっかり変えて布団乾燥機をセットして帰る。だから次の時に家に到着したときには乾燥機のスイッチを入れることが最初の仕事となる。乾燥機は2台、電気敷き毛布が4枚、エアコンのドライを合わせると乾燥機だらけ。普通の環境なら必要ないけれど、森の中は湿気が多いしヴァイオリンがあるから小さな部屋に強力な乾燥機を入れてある。だから乾燥室に前日着たものを洗濯して干しておくと、次の朝にはカランカランに乾いてくれる。

到着した日は皆疲れているし雨模様だから家のお風呂に入ってもらって休んだ。NとRには庭仕事をやってもらおうと手ぐすね引いていたのに雨で目論見が外れ、ダラダラと食べたり飲んだり、Rにヴァイオリンを教えたり、穏やかな一日を過ごした。Rは母親のピアノ伴奏で初心者の曲が弾けて至極満悦の模様。次の日はもし7号台風が直撃なら猛烈な勢力で通過する予定だったけれど、その夜は静かに過ぎていった。・・・と、思ったけれど現実は凄まじかったようだ。

早朝目が覚めていつものように窓やドアを開け放すと、驚いたことに庭の枯れ木が倒れていた。この木は以前枯れ木を切ってもらったとき、お隣との境界線上にあってトラブるといけないからはっきり境界線が決まったら切りますと言われ、立ち枯れになっていたものだった。その木は建物の3階くらいの高さで硬いから切るのは大変だといわれていたもの。その木が5箇所くらい引きちぎれて車の停めてあるところスレスレにバラバラに吹っ飛んでいた。どれほどの風が吹いたのか想像もできないけれど、3人と猫が全く気づかずにいたのは驚きだった。小さくてミノムシのような木肌の小屋は、思ったよりずっと堅牢だったようだ。

朝食はウッドデッキで、ランチは今まで気になっていたけれど入る機会がなかったカフェで。土砂降りの雨の中車からお店に行くまでもずぶ濡れになりそうな。夕方近所の温泉に行ってからお気に入りのハコニワ食堂で晩ごはん。小さいながらご主人の手抜きをしない調理で常に味が変わらない評判の良い食堂は私が最も推薦する店。連れて行った人たちがいつでも喜んでくれる。

Rは仕事の都合で次の日に帰宅することに。Nはもう一晩泊まるという。Rにどこか行きたいところは?と訊いたら群馬県と長野県の県境の渋峠にあるロッジに行きたいという。そこに大きなセントバーナードがいると私が言ったので興味津々らしい。私も大型犬がまだ健在かどうか知りたいと思ったので曇天の山道を走った。草津から山に向かうと酷く霧が発生し始めた。山頂につく頃には数メートル目の前の道路の白線しか見えない。しかし怖いけれど面白がる自分がいる。それが一番怖いところなんだけど。最終的には向かい側から来る車のボデイすら見えなくなって諦めて引き返すことにした。時間にしてあと数分くらいのところだったが、自分だけでなく将来ある身内を巻き込んではいけないと思ったので。

下山すれば霧が晴れて草津温泉スキー場がある。そこで気分良く過ごして帰宅後Rにヴァイオリンのお稽古。ざわざわした日だったので集中力にかけてレッスンはあまりうまくいかなかったけれど軽井沢の駅からRは新幹線に乗って無事に帰っていった。姪と二人、日頃無口なNもその夜はよく話をしてくれた。せっかく北軽井沢に来ても浅間山はまだ姿を表さず、分厚い雲の中。翌朝も見えず。

テレビのない北軽井沢から戻ってテレビを見たらハワイのマウイ島やカナダの山火事のニュースで持ちきりだった。海では様々な海中生物に異変が起こっているという。氷山は溶けて崩れ落ちる。いるはずのない魚がとんでもないところで繁殖していたりするという。マウイ島の火事の原因は外来植物の枯れ葉に強風で切れた送電線が接触したことだとか。地球がいまや早急な温暖化防止を迫られている。トランプさん、これでもまだ温暖化防止に反対ですか?お金持ちは火星にさっさと移住できるけれど、私達庶民はどうすればいいのか、将来の子どもたちが本当に心配でならない。









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