2022年1月26日水曜日

板を持って行ったのに

白馬八方へスキーに行ったつもりだったのに、結局板は一回も雪の上を滑らず、レストランのおいしい食事と山頂から白馬三山、鹿島槍などの真っ白な峰々を仰ぎ見て帰ってきた。毎回こんな風ではスキーはそろそろ卒業かと思うけれど、それでも年に数回山の霊気にあたって心の邪気を振り払う。それでもなお振り払えないほど心の襞に隠された 沢山の卑しい思いがあるからには、なかなか悟りはひらけない。

スキーを忘れないように毎年休まずに山に行くことにしているけれど、肝心の足が覚束ない。特に一昨年から去年はひどいことになっていたので、毎日ささやかに筋トレをすること、体重を減らすこと、ウオーキングを必ずすることを心がけていたら、今年は随分と調子がいい。けれどひどかったときに味わった思うように滑れない感覚が蘇ってきて怖さが残ってしまった。

もし滑っている途中で足が急に萎えたらどうしよう。転んだらきっと一人では起き上がれないに違いない。なまじ想像力があるので、一番悪いことを想定してしまう。過去2年間、歩いているときに転ぶことが多かったので、その時の感覚が思い出されてしまうのだ。けれど、今年になってからはメキメキと調子を取り戻していた。しかし好事魔多し、最近またころんだ。

どうやら膝のお皿が傷ついているようで、右膝をつくことができない。ときにどこかにちょっとぶつけたときに結構痛い。それでも歩行は格段に改善されているから、今年思い切って滑ってみればきっとまだ滑れるに違いない。最初の一歩を踏み出す勇気が必要なんだけど、その一歩で一番怖いのは腕を怪我すること。残り少ない音楽の時間が怪我で打ち切りなんてなったら、泣くに泣けない。と、悪い方悪い方へと考えが向かう。ほんの2年前まではヨーロッパまで出かける勇気があったのに。でももう一度行きたいので訓練し直しかな。去年の暮に北軽井沢の自宅付近にあるスノーパークでゆるーいスロープを滑っただけでそれ以上はまだ滑っていないから、もう一度出かけることにしているけれど。

今回は友人のSさんが一人で八方のホテルに泊ることになっていた。そこに割り込ませてもらった。ホテルは素敵だし食事も美味しい。私達がゴンドラで山頂に行くと聞いたスタッフが、スキーの板のカバーを外して玄関の外においてくれたのに、板は置いてけぼり。スキーのブーツも履かず山頂へ。

いつもの通り私は晴れ女。天気予報の曇を裏切って快晴無風。気温はさすがに零下13度とかだけど、ほとんど寒くはない。山頂から360度見渡せる景色。初めのうちは雲もなく、光り輝く真っ白な峰々が神々しくそびえているのを仰ぎ見た。しばらくすると次第に薄い雲がなびき始めて少し風が出たけれど、それでもこんな季節には珍しいくらい暖かく感じられた。それだけで十分。胸の中に明るい灯が灯ったようで幸せな満ち足りた気分。

ここまで書いたのはコロナ感染がもうすぐ終わりそうな雰囲気だった1月の初め。

そのときには世の中は人々がすっかり安心して明るい表情で歩いていた。けれど2度目のスキーに八幡平に行くつもりでホテルにスキーの道具一式を送っていざ出ようかというときに、爆発的にオミクロン感染拡大。もう出られなくなってしまった。八方では滑らなかったので今度こそスキー感覚を取り戻そうと決心していた矢先だった。ホテルにキャンセルを申し出てとにかく謝ってキャンセル料も払いますと言ったけれど、ホテル側はそれを取らなかった。あちらも諦めの境地だったのかもしれない。気の毒なことをした。

2月半ばにさいたま芸術劇場でモーツァルトのピアノ四重奏曲を弾く予定だった。いつも忙しさにかこつけて練習がいい加減だから、今回はきっちりとパート練習をしておこうと張り切っていたところだった。それで私がここで出掛けてコロナ感染したら、他のメンバーに申し訳ない。このコンサートは一昨年、去年ともう2回もコロナのために中止になってる。今回が3度めの正直だったけれど、流れてしまった。半端なく落ち込んだ。こんなことならスキーに行けばよかった。でもこういうめぐり合わせのときは、そうしてはいけないという運なのだと諦めた。

で、うちからは食料の買い物ほかはめったに出ないのに、昨日朝、目覚めると気分が悪い。わぁー、こんなに背筋がゾクゾクするのはコロナだあ!すぐに体温を計ると35.5℃、きゃあ低体温だ。とりあえずコロナではないらしい。朝食を食べると急に元気になって1時間でコロナは治った。

最近健康診断でコレステロール値が高いことが判明、しかも悪玉コレステロールが異常に高い。他の数値は全部基準値内なのに。それで調べてみると、キャベツやブロッコリーなどを食べるといいことがわかった。この半月ほどブロッコリーはもううんざりというほど食べている。それでコレステロール値が上がりそうな肉やバターなどの食品を控えていた。その結果食欲が落ちほんの少し痩せたので、寒さに弱くなったみたい。すぐにうなぎを買いに走った。やれやれこれではねえ。

体重が減れば足は調子良い。けれどやる気とか元気とかがなくなる。コレステロールは少し高めのほうが元気でいられる。かかりつけ医に食事で治すと捨て台詞を吐いて薬を断った手前、結果を出さないといけない。医師は無口な人で「食べ物より運動をしてください」とひとこと言っただけ。

2月はじめに3回目のコロナワクチン接種が受けられることになった。そうしたら北軽井沢に行って近所のパルコールつま恋に滑りに行こうかと思っている。往復は車、宿泊は自宅だしゲレンデは屋外だからコロナの心配がない。どうせ午前中とか午後しか滑らないからランチは自宅でとれる。心配は雪道だけ。果たして運転は大丈夫だろうか。人生初の雪道運転、怖いなあ。でも人生のフィナーレを意気地なしで終わりたくはない。




0 件のコメント:

コメントを投稿