先日飲んだコーヒーの味が忘れられなくて、ここ3日間ほど飲んでいないのでますます飲みたくなり最後には渇望感に襲われた。ちょうどコーヒー豆を切らしていたのでどこぞに紛れ込んでいないかと探したら、あった!少し古くなっているけれどまだ封を切っていないから大丈夫、ミルも使われなくなってから所在なさげにぽつんと台所の片隅に立っていた。カリタの濾紙もまだ存在している、これでコーヒーを淹れられる。コーヒーミルは古いコーヒーのカスがついていたのできれいにしてお湯を沸かし始めた。
すっかり準備ができた・・・。しかし、さっきまでちゃんと存在したコーヒーの袋が消えていた。なんで?今までその辺にあったのに。雑然としたテーブルの上を探す。テレビのリモコンや眼鏡のケース、エアコンのリモコン、手紙の山、領収書の類、文房具などが山になっているけれどその中にはない。
まさかと思うけれど寝室、トイレ、風呂場、パソコン周辺・・・ない。レッスン室にヴァイオリンと一緒に持っていくことは考えられないけれど、でも私のことだからもしやと行ってみる。しかし消えてしまった。
お湯が先に沸き始めてしまった。猫の餌をやりに出たときに一緒に持っていったかとおもい駐車場まで探しに行く。まさかねえ。
喉をかきむしりたくなるほどコーヒーが飲みたくなったので台風の影響で雨脚が強くなっていたけれど、傘をさしてドトールまで買いに行った。豆を買ったついでに店内でコーヒーを飲んだけれど、ドトールさんには申し訳ないけれど、あのコーヒーとは勝負できない。と言っても私が淹れたコーヒーがドトールより美味しいとは思えないけれど、少なくとももう少し濃い目にはできる。昨日飲んだコーヒーはすごく濃いのに苦味が少なくなんとも言えない風味があった。よほど良い豆かブレンドの妙かも。私が淹れたら単に苦いだけの代物になるに決まっているけれどでも試みてみたかった。
普段はドトールのコーヒーが好きで、あの濃くも薄くもなくスッキリした呑み口が無難に美味しく感じていたのだが、あまりにも美味しいものを飲んでしまったので当分は自分でしっかりと淹れてみようと思った。色々試してみようと。家に帰ってからも、どうしても納得行かない。さっきのコーヒー豆は本当にどこに消えてしまったのか。新しいコーヒー豆を眺めても封を切る気になれない。
洗濯機の中にもないから絶望的なことはわかっている。それでもしつこく探す。なんてこったパンナコッタ。信じられない。翌日早朝に目覚めたけれど買ってきた豆をミルでひくのは大きな音がするので集合住宅では差し控えておこう。じっと夜明けを待つ。
最近は北軽井沢に行くと逗留する日にちが長くなってきた。うちの野良たちはその間他に保険をかけている家に行って餌をもらって生き延びている。かなりのお宅にお世話になっているらしくうちの餌場に来る頃にはもうお腹いっぱい。ゲップでもしそうなほどなのに、それでも出されたものは残さず食べる。先日も少し長めの留守のあと帰宅したら、いつも白黒模様のメス猫とカップルで現れるオス猫が何日も来ないので心配になった。縞トラの立派なオス猫と白黒のメス猫は兄弟だと先日近所の人から聞いたばかり。なにかアクシデントがあったのではと心配して近所を探し歩いた。
名前はグレ、多分グレーだから?「グレ、グレ、グレちゃーん」猫なで声でそこかしこ探し回っても反応なし。でも私の声はちゃんと聞こえていたらしい。しばらくするとひょいと家の玄関に現れた。「さあ、撫でたまえ」と言わんばかりにごろりと地面にひっくり返ってニコニコしてこちらを見ている。
コーヒー豆も呼んで出てくるようなら世話はない。家の鍵もパスモカードも診察券もあれもこれも・・・