2024年2月21日水曜日

店頭で転倒

 1月の半ばまでは私の足は絶好調だった。ダイエットの効果もあって膝の痛みは消え、これならスキーに行けるかもしれない。今年のスキースクールは人数が少ないから行かれない?と幹事さんから問い合わせがあったけれど、返事は保留にしておいた。毎日コンディションが変わるので間際まで返事ができない。

しかし何事もなく、それでは行くと返事をしようかと思っていたらその前日いきなり痛みが始まった。結局また痛みがしばらく続き諦めるしかない。そのあと小康状態が続き毎日軽やかに散歩に励んでいたけれど、ここ数日、今までにない痛みが始まって夜明けの足攣りまで仲間入りして大騒ぎ。2日立て続けに足が攣ったのでこれはいかん、やっと病院に行く気になった。

何科に行けばいいのかわからないから家から徒歩5分の病院へ。初めて入った待合室には当然のことながら患者さんがいっぱいいて、ほう、流行っているではないか。表の看板には内科、外科と書いてある。ということは先生は二人いるのかな?病人がたくさんいるけれど診察は早めでサクサク終わる。あまり待たずに名前を呼ばれた。はじめまして、よろしくお願いします。

眼の前にいかにも機嫌良さそうなボサボサ頭の先生が嬉しそうにこちらを見ている。どうしました?「足がたいそう攣ります。なに科に行けばよいかわからないのでこちらで診ていただけるかどうか来てみました」ごきげんな先生は「いい薬があります。有名な薬ですから出しておきましょう。これを夜寝る前に飲んで様子を見てください」と言って処方箋を書いてくださった。

医師で陽気な人はあまりお目にかからないから、この病院がなぜこんなに患者さんが多いのかよくわかった。ここに来ると大抵の痛みは治るのではないかと思う。いかにも町医者らしい一家に一台ほしい医師。家族全員がかかりつけの家庭医。この次からなにかあったらここに来よう。処方箋や領収書も小さくて無駄に紙を使っていない。私は病院へ行ってもあまり長居はしない。自分の訊きたいことだけ聞いたらさっさと帰ろうとして椅子から立ち上がったら目ざとく私の足が良くないことを察して引き止められた。

その瞬間急に専門家の顔をしたのが印象的で、陽気な呑気さがすっと消えた。これはこれは、次回はきちんと足のことを相談してみよう。良い病院が見つかった。しかもこんなに近所で。今までは高層ビルの小綺麗な医院に通っていたけれど、イマイチ不満が残っていた。その日から足が攣っていない。

攣らなくなったので楽になった。少し歩度を伸ばそうと歩いた途中カフェに立ち寄って小休止と思った。入口付近の自転車が邪魔で避けようと思ったらころんだ。転びの天才のわたしは怪我はしないけれど、起き上がろうと思っても自転車やら段差やらでなにもつかまるものがないのでさあ、どうしたものかと思案していた。けれど入り口で人が伸びていたらカフェも営業がやりにくかろう。すると「大丈夫ですか」と上から声がした。

首を回して後ろ上を見ると若い男性が見下ろしている。起こしてくださいとお願いすると片方の手だけ引っ張る。それでは起きられないのよね。すると両脇を支えて起こしてくれた別の男性が。見ると入口付近にきちんとスーツを着たハンサムな男性が四人。あら、素敵!自転車も片付けてくれた。

思わずニコニコ、あちらもニコニコ。今日はいい日だわ。「皆さんありがとう」思わず舞台で挨拶している気になっている自分を見て呆れている自分がいる。こんな無様な瞬間でも演奏家気取り。日本男子も随分進化した。いい子たちね、あなた方は。それにしても気が利かないカフェの店員、と思っていたら帰り際にコーヒーカップを持って立ち上がったら飛んできて下げてくれた。いつもならとぼとぼと返却するためにあるくのに。みんな親切。

帰宅するとお隣の奥さんが訪ねてきた。話題が足の痛みになって、彼女のお孫さんがダンスをやっているので歩き方を教わったら痛みが治った話が出た。つま先を少し外側に向けるようにして歩くといいらしい。早速昨日から始めてみたら調子がいい。なるほど、これは良きことを教わりました。

同世代の仲間が「歳を取るとただ生きていくだけのためにこんなに努力がいるのね」といったのを聞いて、本当にと思った。ただ歩くだけのために歩きかたに気をつけ、筋トレに励み、でないとすぐに痛みや筋力の衰えにつながる。きっと神様がなにも仕事がなくなった老人たちが退屈しないように課題を与えているのだ。でも私はたくさんのやりたいことがあって筋トレだけしているわけにはいかない。

ところが良くしたもので楽器を弾くという行為だけでもそれが筋トレにも健康維持にも繋がっていくのだ。だから仕事はやめないほうがいい。せっかくのんびりと過ごしたいと思っているのにできないのはまだもう少し元気でいるようにとの天の声?仕方がないから生きている限りなんらかの努力は続けないといけないのです。ヤレヤレ














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