2023年3月16日木曜日

ほんとに大変

古典音楽協会の定期演奏会は、角道さんのコンサートマスターの分は今年の秋の回でピリオドが打たれる予定。しかし残った団員で継続の道がひらけてきた。 今その準備で年中会議が開かれ、今までになく活発な意見が交換されている。それはそれで今まで練習と本番だけしか会えなかったようなメンバーがお互いを知るよい機会となった。

私はこの秋で一応引退するということになっているけれど、来年の春の定期演奏会のプログラムの最後の曲がメンバーだけでは人手が足りないから臨時雇いで手伝うことになった。皆さんにやめると言ったから今回にはたくさんの方が訊いてくださった。やめやめ詐欺になるといけないので本当はきっぱりと辞退すればいいものなのにやはりどこかに未練がある。これでもう一回もう一回といっているうちに足腰が立たなくなってもまだ執念で這い出して来るなんていうとホラーだから本当にあと一回の延長。

今日はベートーヴェンのヴァイオリンソナタの6.7.8番の音合わせをしてきた。どこで演奏するのかというと実は会場練習のエキストラ。ソリストのために本番前日の会場を押さえておいたらその日彼は他の本番が入ってしまってできなくなった。それでピアニストが私にソリストのエキストラで来てもらいたいと依頼してきたのだった。ラッキー!こんな本格的な会場でちゃんと合わせられるなんて願ったりかなったり。二つ返事で引き受けた。まずはピアニストの自宅の音楽室で数回合わせる。もちろんその間ピアニストはソリストとも合わせて2倍練習ができるというわけだし、私はまだ弾いていなかったベートーヴェンの6番のソナタが弾ける。

ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタはもう全部弾いたような気がしていた。今回初めてまだ弾いていないことに気がついた。もしかしたら譜読みくらいはしたかもしれないけれど、とにかく記憶がない。今回弾かせてもらえるのはラッキーだった。

私はこのように今まで勉強してきた。大抵の人は他人の代りに弾くなんてプライドが許さないとか自分のコンサートの曲目でもないのに弾く必要はない、あるいはそんな暇はないとか言って断ると思う。けれど、それはチャンスなのだ。たとえ一回でも譜読みをしておけばかならず後で役に立つ。合奏団の定期演奏会が終わったばかりだったから他の曲を弾く余力はなかった。それでざっと楽譜に目をとおしただけ、美しいけれど他のベートーヴェンの曲とはなにか雰囲気が違う。ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタといえば最初の3曲はともかくとして4番、5番のスプリング・ソナタ以後名だたる名曲が並んでいる。その中でやや印象が薄いという感じは否めない6番、しかし弾き込んでいくうちになんとも魅力的な曲に変化していく。

私が最も数多く弾いたのはクロイツェルソナタ。ピアニストがお好みの曲のようで注文が多い。ずいぶんたくさんのピアニストと弾かせていただいた。その次はスプリング・ソナタ、4番、7番、8番などがそれに続く。そして6番を弾くというのは今回が初めて。御本人たちはベートーヴェンのヴァイオリンとピアノのソナタの全曲演奏をやっていて今回が最終回。そのおこぼれで私が6番のソナタを弾かせてもらえたというわけで。

私が断らない人だと皆さん知っているからこういうチャンスが訪れる。こういうのを「ひとのふん**で相撲をとる」というのかしら?相撲取りにしては超小型ですが。


















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