三鷹市芸術文化センターでリサイタルのお手伝い。
ピアニストからベートーヴェンの連続演奏会のリハーサルのために会場をとったけど、ヴァイオリンが来られないので代わりに弾いてくれない?と頼まれてホイホイと承知した。会場に到着するともうステージからはピアノの音がする。
ベートーヴェンの連続演奏会で今回が最後になる。曲目は第5,6,7,8番の4曲。ベートーヴェンのヴァイオリンソナタは全10曲、1,2,3,4,、9,10番も練習の代理人として弾かせてもらった。有名な5,9,10番は今までよく弾いていたからいいけれど、1,2,3番などはご縁がなくて弾いたことがなかったので喜んでお付き合いさせてもらうことになった。これで私も今まで弾かなかった曲を含めてベートーヴェンのソナタ全曲を弾いたことになる。
若い番号の曲は素敵だけれどなんとなく弾きにくい。そこへいくとテクニックは難しくなるけれど9番のクロイツェルのほうがずっと弾きやすい。理にかなっているというか構成がはっきりしているというか、やはり若い頃の曲より自然な動きで進めることができる。クロイツェル・ソナタは王者の風格があって難しさから言うと他の曲の上を行くけれど非常に弾きやすい。
ベートーヴェンをリサイタルのプログラムに載せるとするとやはり後半の番号が人気だから、5番以後になることが多い。連続演奏会のお陰で私もすべての番号が弾けたのだから感謝感激。しかも三鷹市芸術文化センターのステージで弾けたのもラッキーだった。朝一番の音出しは調子が悪いけれど、ここのステージではのっけからいい音が響く。わお!気持ちいい!
私は結婚当初は三鷹市上連雀に住んでいた。大きな芝生の庭の片隅に持ち主の奥さんのアトリエが建っていた。奥さんが亡くなってそのアトリエが空いていたのでここが良いと私が選んだ。ボロボロで使いにくいけれど、大きな芝生の庭付き、車が止められる、大家さんは年取ったおじいさんで小うるさくない。夜中に友人達が一升瓶抱えて来て騒いでも周りが離れているから迷惑ではないなど、良い条件が揃っていた。時々人恋しくなったおじいさんが家賃の催促に来てぐちをこぼすのに付き合えばいいし、催促もお金持ちの大家さんにとっては形ばかり。おじいさんも私達もうまく付き合っていたのに、私の母が小屋のあまりのボロさに驚いて私たちは実家のそばによびもどされてしまった。
本当は上連雀にずっといたかった。井の頭公園や深大寺に近い三鷹の独特の文化的な雰囲気が大好きだった。大家さんが亡くなって跡地に行ってみたら百坪の芝生はズタズタに分断されて見る影もないのが悲しかった。
練習とはいえ、良いホールで弾くのはこの上ない喜びで、時間がなく練習不足ながら4曲弾かせてもらえたので本当に満足。音が延びるから余計な力はいらないと思っていたけれど、終わってみると本番でなくてもかなり緊張していたらしく、疲労困憊、帰宅してからよろよろとベッドに倒れこんで眠り続けた。時々目が覚めて食事を摂ってはまた眠り、やはりベートーヴェンは手強い。
今日は本物のソリストが出演するので、聴く側になって客席で楽しませてもらう。どちらがいいかというとやはり弾いている方がいいけれど、流石に体力・気力ともに衰えて1ステージでこれほど疲れるとは以前になかったから、もはや退け時とは思うけれど。
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