最近私の身辺はにぎやか。準備が整って新生「古典」の最初の定期演奏会がまもなく開かれる。長い間の闇から抜け出して本番が実現した裏にはメンバーたちの聞くも涙の物語があって、本当にご苦労様でした。しかし序の口が良くても継続するにはもっと大変なエネルギーを必要とする。この先、誰がそれを支えていけるかが重要になる。
それでもやっと無事に演奏会が開かれる見込みができたことで私の気持ちはぐっと上がった。そしてやっと笑顔が出てくるようになった。ニコリともせずいつも暗い顔をしていた頃、人はやはり気まずい思いで私を遠巻きにいていた。気楽に話しかけるのも怖いので恐る恐るというように。
今年に入ってから声を出して笑えるようになった。以前はいつもコロコロと笑っていたのに笑い方を忘れてしまったかのように塞ぎ込んでいた私は、人生の最後のときにつまらないことになってしまったこと、それが私の人を見る目のなさを暴露するものであり、それによって残り僅かな人生が寂しいことになってしまったという後悔や悲しさで毎日胸が痛んでいた。家にこもり猫と二人っきり、もうこのまま沈んでいこうかとも。
それがやっと目の前が開けて前進する気持ちが生まれてきたことは、周りのひとたち、特に「古典」の一部の頑張り屋さんたちのお陰とそれを喜んでくれる友人たち、そしていつもに変わらず私のもとに集まってくれる教え子たちのおかげと言って良い。ごく少数だけれど長年我が家を訪れてくれている生徒の一部でアンサンブル結成の気運が芽生えてきた。今はまだ3人だけでも将来は弦楽アンサンブルの発表会ができたら嬉しい。
私の機嫌が良くなったので生徒たちがホッとして余裕ができたらしい。ちいさな曲を合奏してもらったら・・・それがいい音するのよ。彼らに長年、音は力ずくで出すものではないということを教えてきた。響きを殺してはいけない、無駄な力はナンセンスというと不思議そうな顔をしていた彼らも、今では響く音がいかに遠くに届くか、増幅された音がどれほど美しいかをよく理解するようになった。これからが楽しみ。
午前、午後、と個人レッスンやアンサンブルを教えたら、夕方には音楽教室で以前教えていた生徒たちがやってきてビールを飲み始めた。楽器のこと、音楽のこと、他のグループでの活動など話題は尽きず。千客万来は大げさだけれど、この2年間塞がっていた私の心に合わせるように沈んでいた生徒たちも開放されて久しぶりに楽しい時を過ごした。
やっと抜けた暗い道の向こうに穏やかな夕暮れの光が見えるように明るい気分にさせられた。ありがとうみんな。あなた達が私の行方を照らしてくれているのよ。
心は明るくなっても足の状態は一向に良くならない。このままだとステージでも足を引きずって歩くというみっともないことになりかねない。去年1年間ご無沙汰していた高周波振動による施術室に治療を受けに行くことにした。久しぶりの治療を受けて先生とお話してやっと希望が持てるように感じた。たった一回の施術で椅子から立ち上がったあとあるきはじめるのが困難だった足の具合が見違えるようにスムーズになった。もう2.3回は治療が必要かもしれないけれど、なんとか3月12日の大事なコンサートには間に合う。よかった。
今朝目が覚めると、昨日の夜薬を飲まなくてもは足が攣らなかったし、歩きはじめにもたつくこともないことに気がついた。なんとか大事な日に間に合うようだ。残念なことにドレスに合ったハイヒールはもう履くのは無理なようでぺったんこのサンダルを履くことになると思うと憂鬱なのです。もう少しおしゃれをしていたいのに。