ヨッコラショと階段を上がってきた姉がぼやく。最近たったこれしきのことで息切れがするのよねとドアが開くなり言い募る。私と2番目の姉は7歳違い 。最近までとても元気だったのに、このところ続けてコロナに感染して弱ってきた。
ちょうどお茶に良い時間だったからお気に入りの紅茶を淹れた。この紅茶おいしいでしょう?と言ったら「あら、これ紅茶なの」ですって。私は嗅覚障害があって匂わないから、いつも食べ物の匂いを嗅いでもらうくらい姉は鼻が利いた。それがコーヒーか紅茶がわからなくなってしまったのかしら。コロナの後遺症で一時的に弱っているのかもしれないけれど、ちょっと心配なのだ。
私はある時鼻炎を患って病院で検査をした。医師が鼻スコープ?なんというのか鼻の中を覗く内視鏡みたいなものを覗いたとたんワッと声を上げた。中が化膿してひどいことになっていたらしい。それ以来後遺症なのか匂いがわからない。それ以来というか先天的に鼻は効かないのかもしれないけれど、ある種の人格障害(主に自己愛性人格障害)と嗅覚障害はマッチングしているとなにかの本で読んだ記憶がある。私の場合は人格障害からくるものかもしれない。
そういえば私達って変わってると言われるよね。姉と私の会話は5時のお茶にはふさわしくないけれど、我が家では普通のことが社会に通用しない場合が多々あるということについての考察。
姉が放送局の見学で、老人向けのボケ防止の作業を体験した時の話らしい。折り紙と塗り絵の班に分かれて、姉は塗り絵を選んだ。人目を気にせず好きなように塗っていたら他の人が来て「あら、中まで塗らなくてもいいのね」と言ったらしい。姉はというか私の家族はなんでも自分の思い通り人目を気にせず行う野蛮な家族だから、どこでも気ままに振る舞う。
姉は全部塗りつぶさないほうがスッキリして良いと思ったのか、はたまた単にめんどくさかっただけなのか外側の輪郭だけを思うままに塗っていたので、その人の言葉に驚いたそうなのだ。何かが決まっていてその通りにしなければいけないという発想がなかったという。なぜ周りと同じにしないといけないのかしらとしきりに呟いていた。私の家族はあまりにも人目を気にしないからよく変わり者と言われる。
私はファッションにもたいそう興味があって、変わった服や靴を見ると欲しくなる。先日も美容師さんから「nekotamaさんはビビッドカラーもよく着ますよネ」と言われた。ビビッドというと聞こえはいいが、派手なごちゃ混ぜの色合い。雪の日に尻尾付きの毛皮の帽子、フランスの国旗のような三色の防寒着、薄紫のブーツで仕事に行ったら、NHKの楽屋口の守衛さんが目を見張って上から下までじろりと見られたことがあった。
いつも歌手やタレントさんの華やかな衣装を見慣れているのに、ヴァイオリン弾きがぶっ飛んでいるのは許せないらしい。私の言動もいささか変で、事務所の社長から「nekotamaさん、そういうことはしないでよね」と何回も言われたことがある。それなのに社会通念を超える年齢までたくさんお仕事ありがとうございました。お元気でしょうか?社長!
本当に多くの方たちのお世話になって、何一つ恩返しができていない。申し訳ない。歳を重ねてもう少しマシになって(来世は)生まれ変わって戻ってこようと思います。しかし、この地球規模の天候の変動、妥協せずに戦争にまでもつれ込む国々の指導者たちの言動を見るにつけ、もう戻らないほうがいいと思うのです。
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