2026年5月20日水曜日

時々集合

女子会というほど華やかな集まりではなくて、もう半世紀も前に終わった仕事の集団なのにいまだに会いたくなるオーケストラのメンバーたち。昨日はその中の四人が なんとなく集まってなんとなく一緒に弾いて、楽しいんだなあ、これが。

少しだけズレはあるけれど、ほぼ同年代の仲間は今でも時々お互いの情報を持ち寄って健在を確認し合っている。なかでもほんの少しの間しか接触がなくても特別に想い出深い人達がいる。私たちのオーケストラの先輩たちは戦前は海軍軍楽隊などで活躍した人もいる。

ゴツいおじさんたちが海軍式の勇壮な音楽を奏でて、時には暴走、指揮者に向かって怒鳴る人もいるとか。たとえばトランペットのNさん。おしゃれでダンディーで指揮者たちも気を許して接していると逆襲を食らうこともあって。

「Nさん、もう少し大きな音で吹いてください」するとその返事が「これが給料だけの音だ」団員たちは笑う。指揮者は困って苦笑する。ある時指揮者がいった。「N さん、そこは物語の始まりですから、昔々おじいさんがいました・・・みたいに語りかけるように吹いてください」すると血相を変えたNさん「おじいさんとは何だ。おじいさんとは!俺は爺さんじゃない」

N さん、指揮者は悪気でいったんじゃないのよ。多分世界のオーケストラでもこんなおしゃれな男はいないと思うほどのおしゃれさんはむかっ腹を立てて怒鳴る。でも数秒後にはけろりとして、なんともなかったように練習が進行する。そのN さんと私たちはよく一緒に演奏旅行にでかけ、日本中の都市をまわり、楽しく演奏して回った。血の気が多いけれど、限りなく優しく家族を大事にしたN さんとは、中木十郎さん。名物トランペッターだった。

昔のハリウッドの俳優で、皆さんはご存じないかもしれないけれど、アドルフ・マンジュウという男優にそっくりだった。古い資料に載っているかもしれない。大きなヒゲと当時、男性が履くのは稀な刺繍の入ったブーツ、真っ白な毛皮でトリミングしたコートに、新聞紙にくるんだトランペットを横抱きにして、さっそうと現れる。なぜ?新聞紙?軽いからだそうです。

そんな話まで話題になった今回の集まりは、何を話しても通じる。これらの記憶にも自分たちで驚く。皆、幼児期の思い出も鮮明に忘れていない。こんなに昔のことを覚えているのに、なぜ、今しがた目にしたことを忘れてしまうのかしら。

昨日はヴァイオリン二人、ヴィオラ、コントラバスの4人の弦楽器奏者が集まって、軽く音合わせ、定番のパッヘルベル「カノン」タンゴの名曲「エル・チョクロ」初見で楽しんでカレーライスを食べて昔話。ニコニコして皆楽しそうに帰っていった。

皆無事に我が家に集まれるのもいつまでかなあ。最近我が家に来る道筋を説明するのに苦労する。道筋は、ほぼ真っすぐ。だからと言って皆さん、ちゃんと来る人ばかりとは限らない。この説明のどこで間違えるのかと思うほど、反対方向に行ってしまったり、迷子になる人もいるのだ。なぜ反対方向に行けるのか、それこそが謎なんだけれど。うちは駅から真っ直ぐですよ、みなさん。














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