2018年8月22日水曜日

ついにダウン

家の後片付けや亡くなった家人の事務処理をやっていたら、ついに熱を出して寝込んだ。
もともと事務的な能力の欠如が甚だしい。

オーケストラを辞めて間もなく、フリーの仕事が入ってきて見知らぬ人たちと一緒に仕事をするようになった。
初めて会ったヴァイオリンの男性。
最初から気難しげに見えたから、なるべく話しかけないようにしていた。
途中の休憩でお弁当を食べながら、私は顔見知りの女性と話をしていた。
ちょうどギャラの領収書を書いた後で「私はねえ、事務能力がなくて、必ず住所の欄に名前書いちゃうのよね」と言ったら、傍らでお弁当を食べていた男性が「ブホッ」とかなんとか変な声を出した。
「可笑しいこと言わないでよ、むせちゃうよ」
え、私なにか可笑しいこと言ったかなあ?

続きの仕事だったから、それ以来かの男性とも和気あいあいと仕事した。
不器用が幸い?して親近感を持ってもらえた。
あんまり名誉なことではないけれど。

それでここ数日は地獄。
どんな書類を用意するのか、一体だれがこんな事務的なことをやってくれるのか。
兄に泣きついた。
だれか専門家を頼みたいけど紹介してもらえない?
すると兄は「そんなことくらい自分でやるんだよ。区役所に行って受付で訊けば親切に教えてくれるよ」
ドキドキしながら区役所の列に並ぶ。
いったいこの列で良いのかどうかもわからない。

役所の人は親切に教えてくれるけど、いまだかつてこんなことは未体験だから言葉の意味がわからない。
本当に馬鹿だと思われたにちがいない。
それでもしつこく、これでいいの?と訊きながらやってみれば、なあんだ、結構簡単じゃない。
もし世の中に私に勝るおバカさんがいたら、得意げに教えてやろうと思っていたのに、どうやらそんな人はめったにいないらしい。
皆サクサクと手続きを済ましていく。

やっと郵便局関係、保険関係などの手続きを終えて、それはもうくたびれた。
いったいこのネット時代に、こんなに個々の手続きをする意味がわからない。
個人ナンバーを取り入れたのはなんのため?
ナンバーを入れて死亡届を入力すれば、すべての手続が終わりそうなものなのに。

区役所や銀行、郵便局などは近くにあるから良いけれど、保険事務所は電車に乗っていかないと行けない。
私よりも高齢で足が不自由な人は、どうやってこんな煩雑なことを処理するのだろう。
暑い中自転車で走り回って出来たのは、手続きのほんの一部。
今日は昨日の続きをするつもりでいた。

今朝目が覚めたら世の中が歪んで見えた。
昨日の夜から体に痛みが出て、ゴミの片づけのせいだと思っていた。
でも気分が悪い。
熱があるのかしら?
体温計を取り出して計ろうとしたら電池切れ。
肝心なときに役に立たないものに溢れた家なのだ。

その時友人から電話。
私の家にチューナーを忘れてないかと言うからあるよと言ったら、取りに来るという。
あれがないと明日困るのでと。

私は実は体温計が壊れたので計れないけど、少々熱っぽいことを伝えた。
すると彼女は2時間ほど後にやってきた。
まず体温計、トマトジュース、ポカリスエット、インスタント味噌汁などなど、たくさんの差し入れがダンボールにいっぱい。
これで又1週間は生き延びられるくらいの量。
体温計をもらって早速計ると、いつもの平熱よりも2度高い。

たぶんチューナーは口実。
私を助けに来てくれたのだ。
おばさんたちはいざというとき何が必要かを心得ている。
さっさと冷蔵庫に持ってきたものを入れて、ちょっと喋って帰っていった。
ありがたいなあ、友人は!




















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