2022年4月12日火曜日

優柔不断

 今日は夜明けとともに北軽井沢に向けて出発する予定だった。荷物は昨夜のうちに車に積み込んであった。あとは猫とヴァイオリンと私が乗って出発するばかりになっていたのに・・・

天気予報は台風の接近。明日まではお天気が良いけれど水曜日以後は崩れる予報。急に気持ちが萎えてくる。若い頃は土砂降りもそれなりに楽しめた。けれど今は手が水に濡れるだけで身震いする。すっかり安穏な生活になれてしまって、障害物を乗り越える気力がない。どうしようかと考えているうちに時間がたちノラ二匹登場。部屋に入ってくるなりゴロンと横になり「ささ、早くなで給え」と。撫でられる猫はともかく、撫でる人間は癒される。そうこうしているうちに予定の時間は過ぎ去り、今日もまたドヨンと過ごすことになりそうな。

北軽井沢に行こうと思ったのはテレビのない生活を求めてのこと。見なければすむことなのにと言うなかれ。これが見てしまうのよ。ぼんやり見ているうちに眠くなり、椅子でうたた寝。しばらくするとお腹が空いて食べればまた眠くなるの繰り返し。一日はあっという間に過ぎて「あ~あ、今日もまたなんにもしなかった」

私にはまだすることがたくさんある。ハリー・ポッターはやっと大詰めにたどり着いたのに、遅々として先に進まない。最後の気力を振り絞って読み始めると、弱った視力が頭痛となってすぐに気力が失せる。最近結成したカルテットのメンバーは姥桜4人組。緊張感がない。長年仕事で活躍してきた人たちだから楽譜を読むのも音を合わせるのもお手のもの。なんとなく出来上がってしまう。本当はそこから先が追求の場なのに、マアマアこの辺でいいんじゃない?になってしまう。若い頃の私は追求が激しすぎて、10間年続いていた弦楽四重奏団をぶち壊してしまった苦い経験から、すぐに妥協してしまうようになった。

もう一組はピアノ五重奏。シューベルトの有名な「ます」は普通のピアノ五重奏曲と編成が違う。一般的にはピアノ、ヴァイオリン2人、ヴィオラ、チェロという組み合わせ。しかし「ます」はピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。それと同じ組み合わせで知られているのは、ゲッツという作曲家の五重奏曲。

その二曲を弾こうという話が出て、今はなんのあてもなく練習に集まっているけれど、そのうち出来上がってくると生き物に聴かせようという気持ちが頭をもたげてくる。どこかでご披露するかも。こちらも姥桜軍団。もっとも姥桜とは「女盛りを過ぎてもなお色香を失わない女性」のことを言う。この中の何人が姥桜に値するかはなんとも言えない。そもそも私に女盛りなんてあったかしら?男勝りなら多少。

ハリー・ポッターの続きを読んでなんとしても今年中には終わらせたい。頑張れば数ヶ月ですむのだけれど最近頑張れない。カルテットもクインテットもパート譜の練習がおろそかになっている。それでテレビのない山の中に行けばたぶん英語も練習もはかどるに違いないと考えたのだけれど、まず出かける用意をするのがしんどい。山の家は先日水と電気を通してもらって開けたばかり。食料品や調味料など古くなったものは容赦なく処分。

それで醤油、油、マヨネーズやケチャップなども新しいものを補充するので買い物の量も半端ない。家を手に入れてからもうすでに3年以上になる。衣類やタオルなどももう少し補充しないといけない。小さい家に収納ができる限度があるからあまりたくさんのものはおいておけないから、その都度自宅から運んでくる。それが結構しんどい。かと言ってせっかくの簡素な山の家にものが溢れかえっていたら本末転倒、なんのために辺鄙なところを選んだのかわからなくなる。

結局今日の北軽行きはもう少し先に伸ばすことにした。今回なるべく早く行きたいのは、あわよくばパルコール嬬恋スキー場に雪があれば滑れるかと思ったので。たった1回先日滑ったのは手応えを確かめたいからで、これなら少し練習すれば戻れるという確信を得られた。どこかで滑りたいと思ったので八甲田行のお誘いに乗ったら、新幹線が動かない。動かなくても乗り継ぎで行けるらしいけれど、最近はあまり無理に動くと疲れてしまう。それでも行った猛者がいて、彼女はどこへでもどんなときにでも行けるという稀有な人だから心配いらない。いやみったらしく「八甲田は気温が高いから熱中症に注意してください」とメールを出そうかと思った。

森の中の小さな家の元の持ち主はノンちゃん、未だに表札は彼女の名字になっている。そろそろ私の名前に変えようと思うけれど、未だにのんちゃんの家というイメージが拭えない。彼女とご主人が二人で理想の生活を送った可愛い家の壁は、木の板で葺かれている。外見はミノムシ。だからそれにふさわしい森の木々とも調和するような表札がほしい。去年画家のTさんに相談すると、ある陶芸家を紹介された。さっそくメールを出した。こういう事情で陶板の表札がほしいのでご相談したいというと、中々お忙しいらしくインスタグラムやストアで見ていただきたいという返事だった。工房を訪問して注文できないかというとたいそう曖昧なご返事。結局何一つはっきりした手応えが無く、これは迷惑なのかな?と思い断念した。

先日自宅近所で陶芸教室を見つけた。非常に自由に制作させてくれるらしいと評判を聞いたので、それなら自分で作ってみようかと思う。さっそく訪問と思ったけれど、自分にそんな事できるのだろうかと半ば面倒くさい。手先が器用な人がいたら代わりに作って欲しい。先日北軽井沢の家を建てた工務店に行ったら、そこの知り合いの方が作ったふくろうの木彫りをくださった。せっかく頂いたのだからこれを組み込むことができないかと考えると、なんだか面倒臭い。それでこの家はまだのんちゃんの持ち物のように見える。こうして月日は流れ結局表札ができないままに私は死んでいくのかも。優柔不断、無知蒙昧、これぞ私の本質。








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