2024年3月22日金曜日

治癒

今朝目が覚めたとき、昨日までの体調とは明らかに違うことに気がついた。「あ、治った」そう感じた。 体の中から力が湧いてくる。背筋がシャンと伸ばせる。

昨日はまだコロナが私の鼻腔の中にわずかに残っていると感じていたから、何処ぞの病院で治療を受けねばと病院を探していた。19日の午前中、眼瞼下垂手術のために抗体検査を受けて陽性の診断がくだされた。けれど病院側はコロナ患者が自分の病院にとどまることを恐れて現場での検査結果を直接本人に言わない。これは上手く考えたもので、もし結果が陽性ならばその場で患者は入院を希望すると思う。患者を受け入れたくないので本人が帰宅してから電話で結果を報告するという姑息な手段が取られているのだ。

私は自覚症状が軽かったので花粉症くらいにしか思っていなかった。帰宅したら留守電に医師からの報告、すぐに折り返したら陽性を告げられた。一体その治療はどうしたものかとぼんやり考えてもわからない。その病院にいればすぐに診察が申し込めたのにと恨めしい。

とにかく次の日に「古典」の会合があって準備をしなければいけないので、どうしたものか。合奏団のメンバーに相談をしていろいろ考えた結果、やはり中止となった。そのままベッドに倒れ込んでぐっすりと眠る。寝ても寝ても起きていられないほどの眠気に襲われた。たまに目が覚めても水分の補給のみ。食欲はまったくないものの食べないといけないと思ってきゅうりをかじってまた寝る。今朝、珍しくココアが飲みたいと思った。甘いココアは喉に優しく落ちてゆく。そしてふと思った。「治った」

昨日検査や治療を受けようと医療機関に電話してみた。ネットでPCR検査をしてくれるところを探して治療の相談をするともはやコロナでは儲からないと思ったのかけんもほろろの対応。明らかに院長らしき女性が拒絶の気配濃厚で来るなという。何をしたいのか、うちでは治療をしていないからと。それでも医者ですか?

それではと高齢者医療保険の役所に電話してみた。すると身近な区役所に相談しろと。そして最後に救急医療センターへとたらい回し。そこで自宅住所を言って近隣で治療が受けられるか、せめて自分がそのような状態なのか知りたいと思った。すると自宅付近のクリニックでコロナの治療をしてくれる病院を探してくれた。

その中の一つが我が家から徒歩5分、先月初めて診察をしてもらった病院だった。その時初めて会った医師は初対面だったけれど、なんという良い人だろうという印象だった。髪はボサボサ飾り気のない風采の男性医師、しっかりと話しを聞いてくれた上、私が足を引きずっているのを目ざとく見つけて事情を聞くなど、鋭い観察眼があった。何よりもその先生自身がとても幸せそうな表情なのだ。こんな医者は初めて見た。

その病院を教えてくれた役所の人に思わず「ああ、良かった」と私はお礼をいった。すぐに電話で相談するとテキパキとした看護婦が対応してくれて私の杞憂はすべて吹き飛んだ。私の症状からみて軽症だしもう治りかけている、だから今から5日間過ごせばもう大丈夫と言われてすべての心配は吹き飛んだ。最後にちょっと怖い声で「でもやたらにウロウロしてはいけませんよ」釘を刺された。

それで今日はまだその待機期間だから表には出られない。具合の悪いときにはいくらでも眠れたのにもう眠るのも飽きた。食料は差し入れが多かったからまだ十分に備蓄がある。いい気になって食べると体重が増えてしまうから未だにダイエット中。なにもすることがない。狭い家の中を檻の中の熊のように歩いたりして動物園の檻の中の猛獣たちに同情の念を抱いた。

しかし年齢が高くなってから良い医者に会えたのが私の強運の賜。本当にこの先生にホームドクターになってもらおう。聞けばコロナ患者を受け入れるのを躊躇う病院がほとんどだったのにこの病院では受け入れてくれたそうなのだ。

今日は本当に気分が良く久しぶりにコーヒーが飲みたいと思ったけれど見当たらない。もうジタバタして禁断症状と戦っている。いつもなら夕方ふらりと近所のカフェに出かけるのに出られない。自由自在に出入りを繰り返している我が家の野良猫が羨ましい。








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