2013年8月28日水曜日

ヴァイオリンだって非対称

元気が良すぎる生徒が弓を壊してしまった。大慌てで楽器やさんに行って新しい弓を買うというから、見てあげることにした。夕方仕事帰りの彼女と落ち合って楽器屋さんへ。その楽器屋さんにはかなり以前に1,2回行ったことがあって、少し気難しい(職人気質の人が多い)人の印象だったけれど、年齢を重ねてすっかり陽気な人になっていた。弓選びは楽器屋さんと私と本人の意見が一致したので、終了。その後楽器やさんのYさんが情熱を込めて滔々と楽器の話を始めた。弦楽器の渦巻きの部分は決して左右対称ではないこと。弦を巻き取るペグの部分が4本交互になっているために弦を張る長さが違う。それで張る力のかかり方も違うから少しだけどちらかに傾いている・・・とか、スクロール(渦巻き)の裏側を少し削ると音がよく響く・・・とかやたらに指板を厚くするのはいけない・・・とか。なるほど、ヴァイオリンは全く完成された対称形だと思っていたけれど、そうでもなかったらしい。人の体だって左右対称ではない。心臓はほんの少し左にあるから、左周りは右回りに比べて楽だとかそんなこともあるらしい。筋トレに行くとよくわかるが、私の体はバランスが悪い。左肩が前に出て、右肩が下がってみたいな、その人の演奏する楽器に依って色々な姿勢になっている。あるとき、これは体に良くないと思ってヨガ教室に行って直したことがあった。体は真っ直ぐになったが、楽器が持てなくなってしまった。ヴァイオリンを肩にのせようとすると、するりと逃げる。何回やっても同じ。結局人間は左右対称でいるのも考え物との結論に達して、今は直さないことにしている。むしろ楽に楽器を構えられる体型になっていることを喜んでいる。
ちなみに私の楽器はスクロールの裏側が削ってある。長い年月(300年近い)のうちにすり減ったのかと思っていたが、人為的にそうなっていたのかと、目からうろこだった。専門家の話はいつでも本当に面白い。







4 件のコメント:

  1. なんか奥深い話ですねえ。長く演奏していると楽器がもう身体の一部になってしまって、そんな身体を調律するのは本人の感覚しかないということ。自分の身体の声に耳を澄まさないとならないということ、ですよね?

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  2. そうですね。体はほんとうに楽器の一部、声楽家と一緒で体調管理にはものすごく気を遣います。その割には夜ふかし食べ過ぎがやめられないのですが。インナーマスルを鍛えて姿勢を保とうと筋トレ始めました。老いとの戦いです。

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  3. ストレスを持たないことが一番ですよ。夜更かしして楽しく食べて、いいじゃないですか。私は飲みすぎですが。老いなんてまだまだですよ。今の平均寿命、86歳だけど、それって早く死んだ人もカウントしての数字ですよ。つまり、いまそれなりの歳まで生きているひとって当然86以上生きるはずで、100までいっても不思議じゃないんですって。がんばりましょう!

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  4. 周りの人達からはストレスを受ける方ではなくて与える方だと言われます(苦笑)ストレスのない生活なんてありえないから、どうやって付き合うかが問題ですね。時々ストレスが全くない状態になるとイライラするので、ストレスが好きなようです。

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