2025年8月7日木曜日

館林は40度

旧友からの電話。「館林はついに40度を超えたわよ 」

なぜか嬉しそう。それにしてもお元気ですなあ。私と同い年。中学からずっといっしょに音楽の道へ。その後の職場も一緒。彼女のほうが先に結婚して退職してからは年に数回合うだけ。彼女の子育て中は忙しく、私も仕事で日本中駆け巡りほとんど合うこともなく数十年。ふたりともやっと最近しばしば電話のやりとりや同窓会などであえるようになった。波乱万丈とは言わないけれど、お互いに自分の行くべき道に一生懸命で、やっと余裕ができて楽しみにも目が向くようになって。

「冥土の土産にベルリン・フィルのコンサートにいかない?」大抵彼女の方からお誘いがある。思いつくとすぐに実行するのはいつも彼女M子さんのほうから。グズグズして無精者は私で、今回もチケットを取る御用をしぶしぶ私が仰せつかった。これは仕方がない。実はベルリン・フィルのチケットはすぐに売り切れでやっと手に入りそうなのは私の地元のコンサートホールだった。そこの友の会に入らないと取れないので、そこは私がということになったのだ。無事にチケットゲットで11月に館林から出てくる彼女と聞きに行くことになった。

北軽井沢にも一度来てくれた。一晩泊まって沢山思い出話をして帰っていった。中学時代から全く時間が止まったように話題が尽きずおしゃべりをした。田園調布にある桜並木のそばの女子中学校は彼女の家のすぐそばで、そこの鉄筋コンクリートの立派な家に住んでいたから、私はしばしばその家にお邪魔しておしゃべりをした。

そして学校や彼女の家から帰るとまたどちらからともなく電話で小一時間おしゃべりをする毎日。彼女の妹さんが呆れていたそうだ。「学校でさんざんおしゃべりしてきたんでしょう?」よほど馬があったというかいくらでも話していられた。

色々あって私がここ数年落ち込んで不機嫌だったときに、遠巻きにして当たらず触らずの付き合いをしていてくれた友人たちも、私が元気を取り戻してくるとまたニコニコと誘いかけてくる。これからの時間はそういう長年の友人たちとの交流の時間になるだろう。長年私を支えてきてくれた人たち、そしてまだこれからも一緒に演奏していこうと誘ってくれる人たち。

今、プロコフィエフのデュオを一緒に弾いてくれる人がいて、新たな挑戦が始まった。プロコフィエフは私がモーツアルトと同じくらい好きな作曲家なので、誘われたときには二つ返事で引き受けた。

プロコフィエフのヴァイオリン二重奏曲は彼の不思議な世界観と、独特のリズムで私を魅了する。この曲が弾けるなんて!複雑に絡み合うリズムが緊張感を醸し出す。一瞬のスキもない。これは集中力のテストのような。これは認知症予防にはピッタリ。

音形が独特なので覚えないといけない。やっと譜読みが終わったときにはやれやれと思った。そして次の日、もう一度練習を繰り返すべく譜面を取り出す。弾き始めるとあれほど前日に練習したのに何も思い出せない。やれやれ、私も年じゃのうとがっかりしていたら、パート譜を取り違えていたことにやっと気がついた。道理でまるで違う曲を弾いているように感じたのは楽譜の取り違えかあ。認知症の疑惑は晴れたものの、楽譜の違いに気が付かないとは。

これは単なる認知症よりずっと重症な先天性認知症ではないかしら。困った。










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