私には残念ながら子供がいない。
いや、一人女の子がいるけれど、毛深くてひげまで生えているので、世間様には見せられニャイのだ。
しかもしっぽが生えているから服が着られず、ヌードで生活しているいわば裸族。
裸族のわりには毛深いので露出度は低い。
夏の暑い日にまで同じ服装でいるから、時々この毛皮はそろそろ脱いだら?と言ってファスナーの在り処を探しても、見つからない。
ファスナーを探すためにお腹を触ったりすると、妙にくねくねして喜ぶのがいささか気味悪い。
ファスナーもないのに、一体どうやってあの毛皮のコートを着たのだろうか。
今日も又、私は役所めぐり。
遺産分割協議書というものに相続人と見られる親族の署名と実印をもらったので、やれやれ、これで凍結されている亡夫の銀行口座が使えると思ったら、そのさきが大変なことがわかった。
協議書の他に、相続人それぞれの戸籍や現住所、子供の有無、亡くなった子供の有無、司法書士への委任状やら、何代も前に遡って関係を調べないといけない。
中には、聞いたこともない名前の、たぶんもう亡くなっている人の名前が見つかったり。
うちに子供がいないので、相続人はぜんぶで9人になった。
子供のいない人の相続権を有するのは、亡くなった人の兄弟姉妹、兄弟が亡くなっているとその子どもたち。
全国にバラバラに散らばって住んでいる。
最初に印鑑証明書を集めた時に、義兄は脚がわるいと聞いていたから遅くなるのは予測したけれど、結局全員のものが集まるまで2ヶ月以上かかった。
その間私は胃が痛くなる思いで、毎日過ごしていた。
もう一つの書類は戸籍謄本。
自分の本籍地がわからないという大変呑気な人がいて、私はそれを追跡するために、その人の居住区の役所や出生地に電話した。
なんとか所在を突き止めたけれど、このへんでもう精根尽き果てた。
遺産協議分割書さえあればだいじょうぶと言う税理士に乗せられて、書類集めが後手に回った。
今ごろになって後で相続人がでてくることがあるんだよね、とか、亡くなった兄弟に子供がいないことを証明しないといけないとか、法定相続人の両親に遡って、ほかに子供がいないことを証明しないと、とか。
聞くだけでゾッとする。
今回は法定遺産相続人の数は九人。
それは私が知っている亡夫の親族だけであって、ほかに知らない相続人がいないとも限らない。
亡夫の兄弟姉妹も本当の続柄であるという証明がいるから、その父親の12歳位まで遡った戸籍を調べるのが必要。
それから、私は子供がいないけれど、ほかの女性にうちの夫の子供がいることが無いとはいいきれない。
そうなると今まで苦労して集めた夫の兄弟の書類は、ぜんぶ無に帰す可能性もある。
だから、印鑑証明などを集める前に、法定相続人の調査から始めないといけない。
そしてこれですべて揃った時に、遺産分割協議書に実印をもらう・・・これが手順だけれど、私の依頼した税理士さんは、それをすっ飛ばしてまず協議書に実印を集めさせてしまったというわけ。
もちろん集めたのは私で、電話口で頭下げたりして頼み込んだ。
もし事実が違っていたら、又やり直し?
寒気がする。
印鑑証明書の期限は半年だから、半年以内に使わないと又取り直し。
税理士さんは実に呑気に言う。
まあ、ゆっくりやりましょうや。
それでおこがましくも、子供のいない人の遺産相続の手引きを伝授しようと思い立った。
1)法定相続人の特定
知っている限りの主だった相続人の戸籍調べをする。
地方などに散らばっている場合、その人の居住している
地方の役所のホームページから委任状をプリント。
電話をするとたいていは親切に教えてくれる。
相続人に郵送して委任状と印鑑証明ををもらう。
これを最初にやっておけば後が楽。
委任状を手に入れたら、本人でなくてもご当地の役所に
戸籍謄本などの請求が依頼できる。
金融関係の数だけ手に入れておけば安心。
必要な書類の請求書と手数料の印紙を入れて(これらは
電話で訊ける)役所に郵送。
司法書士に頼むと調査してひとまとめにしてもらえるから、ここはプロに任せたほうが良い。
このひとまとめにしたものを「法定相続情報証明」と言う。
これがあればぜんぶの金融機関で通用する。
そのために委任状は不可欠。
2)相続人の印鑑証明書を本人に依頼して送ってもらう。
これは委任状と一緒に送ってもらえばいい。
3)金融機関の口座を調べる。
銀行口座の特定は所在すると思われる金融機関に行けば
調べてもらえる。
口座が漏れていると又出直しになるから、聞いて聞いて
聞きまくる。
3)これらがぜんぶ出揃えば、遺産分割協議書に実印をもらう。
私は生まれてこの方、一切こういうことは知らなかった。
初めて相続の手続きに入った時、雲をつかむような話で呆然とした。
それで弁護士に依頼しようと思ったら、自分がやりますと名乗り出た税理士がいて、やれ助かったと思ったらそれがとんでもない人で、クライアントを残して杳として行方知らずとなった。
次の税理士はかなりの高齢で、呑気でとてもじゃないけど任せておけない。
それで今回司法書士に頼んでやっと少し前進。
私は呑気な税理士に感化されて、もう相続の最終段階に入ったと思っていたけれど、司法書士から「まだまだ、これからです」と言われて眼の前が真っ暗になった。
もう勘弁してほしい。
こんな難しい手続きになったのは、銀行の陰謀だと思う。
自分の銀行に頼めばぜんぶやります。
そのかわり手数料はこれだけと言うから、それだけの資産がない人からも同じ金額とるの?と訊いたら「そうです」
銀行を儲けさせるのは癪だから、なるべく自分でやっているけれど、この半年間地獄だった。
なにも知識も興味もないことに努力をしたくはないけれど、片手間でできるような生易しいものではない。
仕事にも精神衛生上にも悪影響ばかり。
一時期ヴァイオリンが全く弾けなくなった。
時間がないというより、ストレスがひどくて少し鬱状態になった。
私と鬱は結びつかないかもしれないけれど、私はこれでもとてもデリケートなのだ。
それでも、その間コンサートはちゃんとやってきた。
頑張るニャンnekotamaちゃん。
子供がいない人は早めに遺言書を作っておくほうが良い。
すべてnekotamaに遺すと書いて。
それがあれば話はもう少し簡単になる。
生活をシンプルにして、家具や係累をへらす。
それを寂しいと思うなら悟りが足らん!
nekotama様
返信削除先日、銀行で亡母の口座の処理をしようとして、私も大変な思いをしました。
「被相続人の出生から死亡までのすべてが戸籍謄本が必要」という銀行が三井住友で、そこの相続担当者に何回も電話して、「こんな少ない金額しか入ってない口座で、戸籍は福島と静岡と九州にあって全部を取りにいけない、三菱UFJ銀行は死亡時の戸籍謄本だけでいいというのに、なんでお宅はだめなの?」と粘って、やっと担当者から「死亡時の戸籍謄本だけでOK」の言葉をもらって、口座処理できました。
今思うと、電話で担当者がOKといえば、その銀行の規定で必要とされる書類が無くてもOKになってしまうって、銀行のシステムもいい加減だと思いました。
nekotama様も大変だと思いますが、頑張って。
おお!同じ思いをされましたか。
返信削除夫が亡くなった時いち早く対応してくれたのは信用金庫などの街の金融機関。
一番ひどかったのがみずほ銀行。
権高でひとを見下して遺族の悲しみなんかこれっぽっちも気にもとめない。
それはすごかった。窓口のひとにも寄るのでしょうね。
銀行によって対応が違うというのは困り物です。
せっかく取り寄せた書類がどこも違うとなると、様々な書類を揃えないといけないのでその煩雑なことは、私をじわじわ蝕んでいます。
只今nekotamaは超鬱です。