2021年3月14日日曜日

毎年よ

毎年よ 彼岸の入りに 寒いのは  正岡子規

母の詞(ことば)自ずから句になりて・・・

いつもいまごろはこの句を思い出す。

お母さんが何気なく言った言葉、優しい言葉で語りかけた母への想い。大好きな句です。

春の和歌で一番好きなのは志貴皇子。

石走る 垂水の上の早蕨の 萌出ずる春になりにけるかも

待ちかねた春がきた。岩の上を雪解け水が滔々と流れる、流れの淵に小さな蕨が芽を出す春になったのだ。これはもちろん万葉集。

たぶん萬葉集?もしかしたら古今和歌集?にあるこちらの和歌もお気に入り。

あいみずて 日(け)長くなりぬいまごろは いかにさきくや いぶかし吾妹

しばらくあわない日が続いています、おげんきでしょうか、心をかけていますよあなた。

こんな句を贈られたら一目散に会いにいきたくなりますね。

さて富山湾に注ぐ雪解け水は、今年も魚たちを育てているのかな。

最近無性に富山に行きたくなっている。富山に長年仕事に通っていた。桐朋学園のオーケストラアカデミーに毎年エキストラで行って、仕事が終わると行きつけのお寿司屋さんでとぐろを巻いてみんなで楽しく語り合ったものだった。こういう時には全く学生気分に戻ってしまう。その他にもオーケストラの演奏旅行、鱈汁のおいしかったこと。不思議な居酒屋さんなど思い出がいっぱいなのだ。

不思議な居酒屋は超絶記憶力の持ち主。ある時オーケストラの演奏旅行の合間に昼ごはんを食べるために駅近くを徘徊していた。せっかく富山だから魚の定食が狙い目、狭い路地に飲み屋がひしめいているところがあった。その一番おくに小さな居酒屋を見つけた。調理台の前に水槽があって、そこから魚を出して調理してくれる。

その時はヒラメを頼んであとはおまかせした。出てきたのはヒラメのお造り、ヒラメのアラ汁、ご飯、小鉢、漬物など。あまりに美味しかったから夜にもう一度飲みに行った。夜は大皿にお刺身の盛り合わせ、それだけのメニュー。富山で刺し身の他になにを食べろと?これだけで完成なのだ。

それから年を経て、今度はオーケストラとは別の仕事で違うメンバーと行った。古い記憶を頼りに見つけたお店はそうだとは思うけれど確かな記憶はない。半信半疑で入ると「お客さん!初めてじゃないよね。あれは7年前だったね。今座っているところじゃなくてカウンターに座ったよね。一緒に来たのは別の人だったよね」ギャフン!

行きつけのお寿司屋さんは元々都内で営業していたのがご主人が体を壊し、奥さんの実家の富山に移住、その後富山で開業していた。彼が言うには「富山に移って幸せです。朝目が覚めて障子を開けると、立山が目の前に見える。米よし水よし魚よし、寿司屋には最高です」

実際富山に行くと、11月ころから冷たいみぞれ混じりの雨、雲が低く垂れ込めていてこの状況が春になるまで変わらないとなると鬱陶しいかもしれない。けれど、その分春になったときの嬉しさは倍増するだろうと思う。オーケストラアカデミーの休憩時間、大勢で校舎の非常階段に登って立山連峰を見るのが楽しみだった。天気の良い日は真っ白な峰々が青空にそびえ立つのが見える。そんなときには皆歓声を上げる。音楽家はとかく感激しやすい。

富山の春は美しいでしょうね。蜃気楼が見られる。以前旅行中に蜃気楼を見に行ったけれど出てくれなかった。羽田に到着したら富山の友人からのメール。今蜃気楼出ました。さっきまで一緒に魚津の海にいたのに。

私がこれらのことをこのブログに書くのは、毎年よ!これを書くのは マンネリね。書いたことは覚えているからまだ認知症の初期段階でしょうか。













2 件のコメント:

  1. 「石走る」は垂水(滝)の枕詞で、なんて高一の国語で習ったっけね。

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  2. さすが博学!私は薄学!
    垂水は岩の上でないと走れない。私のお腹のたるみでは枕詞にもならない。
    うー、情けない。

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