2021年5月24日月曜日

可哀相なヘビさん

気持ちの良い日曜日、素敵なカフェでのコンサートは無事終了。開け放った窓から爽やかな風が吹き渡り、気温も湿度も申し分なく、お客様からの温かい拍手を頂いた。帰宅して聞いたのは網戸を開けて逃げ出した巨大ニシキヘビが捕獲されたというニュースだった。随分探し回ったのに結局自宅の天井裏にいたという。

アミメニシキヘビはやっと保護された。あんなに大きな蛇と同居するには どれだけ平常の生活を我慢しなければならないのだろうと、飼い主に聞いてみたい。案外無口な蛇は飼いやすいのかもしれない。保護された映像では少しグンニャリしていて元気がなさそうなので、逃走中は食事も摂れず寒さは寒しで飼い主がすぐ下にいるのに帰れず怯えていたかもしれない。とりあえず元気で近所の動物にも被害がなくてよかった。

しかし天井裏から音がするのを聞いた隣人は怖かったろうと思う。ちょっとした隙間からチロチロと舌が見えたりしたら心臓麻痺を起こしそう。爬虫類好きの気持ちを理解したいけれど、私には全くできない。蛇を飼うのが子供時代からの夢だったという飼い主さんは、夢を叶えたおかげで今後色々罰金の支払いとか大変だと思う。しかし彼のことを悪く言う人は少ない。それは最初からの彼の態度が心底反省しているように見えたからであり、蛇への愛情がよく汲み取れたからであり、どこぞの国の政治家さんたちの態度とは月とスッポンだったから。

平気で嘘をつく人たちがいる。厚顔無恥、どの面下げて、白を黒と言い急に物忘れをしたりするのか。国民の過半数から疎まれいるのに、命よりも経済が優先される。私達の命はオリンピックよりも軽いのだ。それに比べて蛇の飼い主さんは仕事も休み、毎日謝りながら必死で捜索していた。ただ自宅の天井裏を探さなかったのはなぜなのか知りたい。隣人は蛇が逃げてからわりとすぐ、上から物音がすると言っていたらしいのに。

蛇は温かい密林あたりでのうのうと暮らすはずだったのに、狭い日本の小さな部屋のケージの中で過ごす毎日。本当に蛇が好きなら飼い主があちらへでかけて、密林で一緒に暮らせばよかったのだ。まず、命の保証はないとは思うけれど。3メートルを超える長いものが部屋をズルズルと歩くことを思うと、鳥肌がたつ。それでも飼いたいと思うなら、動物園の飼育係とか爬虫類専門の水族館に勤務するとかではいけなかったのかしら。やはり自分ひとりの所有蛇でないと我慢できないのか。

だから私は蛇に同情する。不思議なのは、あんな長くて手足のないものになぜ他の動物は恐怖を覚えるのか。見ればきれいな模様もあり、シンプルで毒さえなければ別に嫌悪する理由がないのに。私は本のなかの挿絵に蛇がかいてあったら、その本に触れなくなるくらい怖い。子供の頃は蛇を掴むこともできた。それがいつごろからか恐怖と嫌悪の対象となってしまった。

だから最近は蛇を見ても、これを好きな人もいるのだからきっとなにかいいところがあるに違いないと思おうと努力している。顔を見ると小さな目にチロチロと細い舌、ヌメヌメした肌・・・きゃあ、書いているだけで鳥肌がたつ。子供の頃に何が原因で蛇が苦手になったのか思い出せない。

ところで蛇さん自身は飼い主のことをどう思っていたのだろうか。冷凍のネズミが餌だそうだけれど、それをくれる人だと認識していたのかどうか。目の前に美味しそうな若者がいるのにまずい冷凍ネズミで我慢していられたのはなぜか。ちょっと巻きつけば温かい食事ができたものを。来世には捕まらないようにして暖かいボルネオで暮らすのだよ。

なにか今回のアミメニシキヘビには情が湧いてしまった。これからどこかへ売り渡されて優しい飼い主さんとお別れ。飼い主も反省してすべての蛇を手放すらしい。今後の人生を蛇なしで過ごせるのかな?

時々猫が気持ち悪いという人がいる。私も気持ち悪い。しっぽの長い猫がそれをくねらせるときに猫嫌いの人の気持がわかる。それでも毛がふさふさしているから平気でいられる。それなら蛇も毛があったら可愛く思えるのか。どうだろうか、巨大な毛虫のようなものが向こうから近づいてきたら・・・ウワ~!











2 件のコメント:

  1. 蛇蝎の如く・・・、なんて言うけど
    政治家・官僚の如く、と置き換えるべきかも?

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  2. それ賛成!
    蛇蝎に悪いかな、比べては。

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