北軽井沢の森の中の家をそろそろ冬支度。普通は水抜きをしないといけないのだが、私の家は床暖房を入れておけば水抜きは不要ということで去年からそうしている。電気代が高いから負担ではあるけれど、水抜きの費用と春になって水栓を開けてもらう費用と、どちらが経済的かはどっこいどっこいらしい。前の持ち主ののんちゃんは、お正月を旦那様と二人でこの森で迎えていたから以前から水抜きはしなかった。
私が受け継いでからはしばらく水を抜いていたけれど、ちょっと複雑なこの家は管理人さん泣かせだったらしい。とにかく建築士が全力投球で設計したので、あまりにも細かく分電盤?というのか、ブレーカーがずらりと並んだ細かく別れた暖房のスイッチ。
玄関、寝室の奧と手前、リビングとキッチンは続いているのに、それぞれのスイッチがある。お風呂場と洗面所、トイレもそれぞれのブレーカーがあってずらりと並んでいるから、どれがどこのスイッチかこと細かく、几帳面なノンちゃんの文字で書き込みがる。それがないと私にはちんぷんかんぷんで暖房を入れるにもわざわざ業者さんに来てもらっていた。やっと最近自分でできるようになった。
今年はあまりにも暑く森の中はさぞ涼しいだろうとは思うのに、運転する気にならず、冷房をガンガンつけて自宅から出なかった。運動不足と熱中症もどきの体調が続いて、本当に辛く長い夏が恨めしかった。
やっと秋が来たと思ったら一気に冬の到来。山の気温は下界の気温と-10度ほども違う。夏は本当に気持ちがいいけれど、冬は厳しい。その厳しい冬が一気に到来したので、そろそろ家を占める準備をしないといけない。暑い夏にほとんど行けなかったのに、もう閉めないといけないのは非常に残念だから、家を閉めるついでに紅葉狩りといこう。
いつもなら12月に入ってからもしばらく通っていたけれど、今年は寒さが急にやってくるらしい。追分にいる友人は早くも家をしめたらしい。それで少し早いけれど、紅葉の期待もあり、きれいな写真を送ってくれる人もいて、紅葉狩りがてら行くつもりだった。
床暖房が温まるのに少し時間がかかるので管理人さんに電話して床暖房をつけておいてもらうことにした。その時いつもすぐに電話に出る管理人さんが留守だった。しばらくしてもう一度かけ直すと、なんとなく息せき切ってというような気配がする。普段物静かで上品な女性なのになぜか慌てているような気配。
その時は熊のことは訊かなかった。試しに役所のくま情報をチェックしたら北軽井沢は情報なし。安心して出かけられる。でも今調べたら、数日前に出たという情報。私の山小屋のすぐ近くで。ちょうどその頃管理人さんに問い合わせたのだった。あの時大騒ぎだったのではないかと思う。
熊さんは可哀想というと袋叩きにされそうだけれど、生きるのに必死な野生動物にとっても今年の夏はひどいことだったらしい。人間と熊は棲み分けさえできていれば共生できる。人は自然環境を壊してもテクノロジーで生き抜くこともできる。
不幸なことに熊さんは人が環境を壊しても文句も言えないしお腹がすけば食べ物の方へ行くことは当然。それでも人に危害を加えれば人は熊さんを排除するのは当然なこと。元々熊さんがいけないというつもりはないし、熊さんと遭遇したら自分がやられてしまうほどお人好しではいられない。お互い野生に戻ったらということを考えればしぜんなこと。ごめんね、熊さん。
この際家をしめるのに自分の目で確かめようと思ったけれど、すぐ近所に熊がいるのでは猫を連れて行くには非常に具合が悪いので今回は中止しようと思う。管理人さんに床暖房のブレーカーを入れてもらうだけですむことなのでお願いした。
さて、そうすると私は引退宣言をしたことだし、もうやることはないのでヴァイオリンを弾くしかない。随分先の話なのでまだ余裕だけれど、来年弾く予定の曲の譜読みを始めた。長いブランクがあって、最初は右手も左手も他人のもののようで音はかすれ、左手は動かない。もう本当におしまいなんだと思っていたけれど、毎日毎日少し進み少し戻りしているうちにだんだん音が出るようになった。
まだ本調子とは言えないながら時々はかつての音が出る。ヤッターっと思うとすぐにかき消える。また変な音。楽器を調整に出せばもう少しマシになるかな?と考えているうちにまた時々昔に戻る。行きつ戻りつは永遠に続く。実際、引退宣言前もこんなものだったなあと思うこともある。日によって体調が変わるように音も毎日変わる。音は生き物。
でも毎日が楽しい。仕事に追われていた頃は、これほどきちんと練習時間が取れなかった。疲れ果てて帰宅すると練習する気力もなく、寝てしまうことも多かった。今仕事がなくても誰に聞いてもらえるわけでなくても、毎日弾けることに感謝している。自分では音楽をやる気はなかったのに、いつの間にか音の世界に導かれるように誘われて、性格がちゃらんぽらんだからその時々に仕方なく勉強したと思っていたけれど、本当に好きだったのだと今頃気がついた。
幼い頃、がらんとした古い家の廊下に置いてあった手回しの蓄音機が、私の運を変えたのだと思う。シャリアピン、ハイフェッツ、ルビンシュタインの演奏を毎日聞いて私の脳みそに彼らが染みついたのだった。
nekotama様
返信削除昔鳩山さんのことでお世話になったnyarcilです。
nekotama様が10月のブログに載せた円山応挙展、私も最近行ってきました。
閉展一週間前11月17日にいったのですが、月曜日(三井美術館は通常は休館日)のおかげか、混雑なく観ることができました。
私も特に見たかったのが、円山応挙と伊藤若冲の合作、応挙が鯉、若冲が鶏と、それぞれが得意な題材を描いて一対となった屏風。
これはさすがですね。 応挙と若冲が同時代人で、合作までする関係とは意外でした。 昔円山応挙というとすぐ幽霊画を思い浮かべてましたから。
応挙展で私が一番心惹かれたのは白狐図で、その絵葉書がなかったのは残念。
nekotama様のブログ、古典芸術とAIを同時に体験されていて、とても興味深いです。
これからも楽しみにしています。寒さが突然やってきましたが、お身体に気を付けて。
nyarcil様
削除ごぶさたしております。
私は若冲に魅せられて応挙のすごさを見過ごしていたバカモノです。
もともと絵画にはあまり詳しくないので時々物見遊山方々、熱海のMOA美術館や箱根美術館などで新しい発見をするくらい。
日本画といえば若冲に凝り固まっていたのです。
しかし、応挙はすごいものですね。巨大な屏風絵をみて、構図や色彩の見事さにやっときがついて。
動物の絵は応挙の優しい目と手触りまで感じられるようで、虎が少しデブなのもかわいい。
nyarcilさまは知識も審美眼も大変確かな方ですよね。いつか面白い美術展があればご紹介ください。
絵画はド素人の私の目を開けさせていただければうれしいです。
いつも読んでいただいてありがとうございます。独りよがりの中途半端な知識を臆面もなく世間にさらして生きていることをそろそろ恥じないといけませんね。
今後ともよろしくお願いします。
nekotama様 何をおっしゃいますか、こちらはコロナのどさくさでブログをやめた根性なしですよ m(_ _)m
削除今も演奏されているnekotama様に敵うはずもなく。 nekotama様のブログを読んで、ちょっとだけ「わたしももう少し何かできるかも」と思わせていただいているのです。 こちらこそありがとうございます。 またお会いしましょうね。うちに新しい犬もいますので。
新しいワンちゃん!楽しみですねえ。
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