2016年2月22日月曜日

舘野ファミリー&フレンズ逗子大宮公演

プログラム
 バッハ 「二つのヴァイオリンのための協奏曲」
   ヴァイオリンソロ ヤンネ・舘野 前澤均(逗子公演)亀井庸州(大宮公演)
 宮下秀樹「ピアノと弦楽のための幻想曲」
   ピアノ 関田桂子
 塚本一実「天界飛翔」~左手のピアニストとオーケストラのために~舘野泉に献呈
   ピアノ 舘野泉
エスカンデ「アンティポダス」~ファンタジア・コンセルタンティ
    ピアノ  舘野泉
                            指揮 舘野英司

大雨注意報の中、逗子の公演は熱の籠もった沢山の拍手を頂いた。
それに遡ること1月に一回、二月に入ってから公演前の二日間、当日のステージ練習と沢山の練習を重ねたものの、不安は付きまとった。
バッハ以外の曲は、初めて弾く曲。
複雑な音、リズム、いつも弾き馴れた曲ではない。
暗中模索する中で、舘野泉さんの息子さんのヤンネさんのリードで段々曲の筋書き・全容が解明されていくと、曲の良さが見えてきた。
こういう所が現代音楽を弾きこなす面白さ。
逗子の公演が終ると、次は大宮での公演。
2日続くのは正直言ってしんどい。
本番を弾いた夜は寝付きが悪い。
眠り名人の私でさえも。
日頃はあまり呑まないお酒を少し呑んで、神経を静める。

朝起きるとどんよりと、前日の疲れが残っていた。
大宮ソニックシティー小ホールに到着すると、主人公の泉さんはお元気でニコニコしている。
昨日あまり沢山お酒を飲まなかったから、良く眠れたとおっしゃる。
すると、お酒を飲むと、目が冴えてしまうのだろうか。
愉快なお酒で、周りを若い人達に取り囲まれ、優しくニコニコしていらっしゃる。
もう80歳にもなろうというのに、しかもあんなに難しい曲を見事に弾いた後でもこの元気さは驚異的。
やはりこれだけの気力と体力がなければ、右手が使えなくなってからの左手のピアニストとして世界を驚かせた復活は成し遂げられなかった。

新しい曲の譜読みは若い人でも大変なことなのに、病気の後でしかも高齢でもなお、嬉しそうにピアノに向かう。
特に音色の素晴らしさはどう言っても言い尽くせないので、会場に足を運んで聴いて頂きたい。
アンコールのピアノソロを聴いていたら、深い瞑想状態になった。

今回はバンドネオンが加わって、あまりの魅力的な音に、自分でも弾きたくなった。
ところがこのバンドネオンという楽器は、ひどく難しいらしい。
しかも楽器が少なく、高価。
最近又作られるようになって増えてきたらしいが、一時期は数が少なくなってしまったようだ。
この演奏技術の難しさが、原因なのだろうか。
間近で音を聴いて、すっかり虜になってしまった。

弟の英司さん、息子のヤンネさん、そして音楽仲間たちに取り囲まれ、楽しそうにピアノを弾き、美味しそうにお酒をのんでいる泉さんの姿をみると、人生を幸せにするのは本当に自分自身なのだと思う。

左手しか残らなかった時にもうピアノが弾けないと思わず、左手がまだつかえる左手だけでも良いじゃないかと考える、その見事な生き方。
そうそう出来るものではないけれど、私もそんな風に生きられたらいいなあと思う。






















0 件のコメント:

コメントを投稿