2016年2月6日土曜日

手違い

寒くなってからも暫くは手袋をしないで過ごしていたけれど、お正月にスキーに行くことになって、慌てて手袋を探した。
あんなにゴロゴロ、タンスの抽出に入っていたはずの手袋が、見当たらない。
マフラーや帽子の間をかき回していると、やっと手袋が片方。
なおも探すと、もう片方。
やれやれ・・・と思ったら、なにか微妙に色が違う。
両方とも茶色なんだけど。

片方はバーゲンでワゴンに積んであって、行き当たりばったりに安いから買ったもの。
もう片方は色と素材が気に入って、買おうかどうしようか迷っていた時に、売り子さんが「これは***のですよ」と得意げに言う。
その***というブランド名は、あいにくブランドに疎い私には通じなかったけれど、赤茶色でとても深みのある色合い。
柔らかく手にフィットして、着心地も上々。
それで買ったのだが、片方がどうしても見付からなくて、捨てようと思っていた。
ところが今回見付かった二つの違う手袋。
なんと幸いなことに、右と左が一つずつ。

両手にはめてみたら、微妙に色違いだけれど、なに、他人にはわかりゃしないさ。
よかった、新しいのを買わなくて済んだ。
それではめて出て外の光の中で見ると、同じ茶色でもずいぶん違う。
世の中が私みたいにボンヤリした人だけなら良いが、世間の人はすごく目が鋭い。
絶対ばれるに決っている。

そう思うけれど、両手が違う手袋というのが妙に気に入って、未だに手違いのものをはめている。
電車の中などでつくづく眺めると、面白い。
左手に比べて右手の素敵なこと。
さすが何とやらのブランド品。

私が盛大に仕事で全国を駆け回っていた頃の話し。
早朝の新幹線に乗らなければならないので、前の晩狭い玄関に靴を揃え、次の朝両足を入れれば即出発出来るようにしておいた。
次の日、靴を履いていざ出発。
ちょっと片足を見たら、昨日揃えたはずの靴と違う。
あ、こちらを揃えておいたんだっけ?
ま、似たような物だから、どちらでもいいわ。

東京駅到着。
そこでほっとして気がついた。
なんだか右足と左足のバランスが悪い。
足元を見たら、片方ずつ違う靴を履いていた。
似たようなデザインで、早朝ボンヤリと履いたために左右違うことに気がつかなかったし、チェックしたときは片足しか見なかった。
しかし、もう遅い。
それから2泊の旅行中、文字通り足元を見られないように苦労した。

仕事先に到着したら、メンバーから受けまくって写真を撮られた。
ずいぶん経ってから、あの写真まだ持ってるよ、と言われた。
早く消してくれ~、私の恥はまだあちこちで晒されているらしい。

それよりももっと凄かったのは、末長富貴子先生。
武蔵野音大の教授で、退職後に末長富貴子弦楽四重奏団を結成。
他のメンバーの都合が悪い時に、私が代理で参加していたことがある。
いつも、チェロのメンバーの家で練習をしていた。
練習が始まろうとしたとき、彼の奥さんが現れた。
いつも声も態度も物静かなその人が、いきなりドアを開けて爆笑するので、皆何事かと思った。
玄関を指さして、笑い転げて声も出せない。
玄関へ行ってみると、左右色違い、赤い靴と黒い靴。
きちんと並んでいた末長先生の高級なお靴。
ご本人はそこで初めて気がついたようで、カルテットのメンバーと奥さんは玄関で大笑い。
先生はカルテットのことしか頭になく、靴が左右違う色とは思わなかったらしい。

この方は私のはるか上を行く。
私はボンヤリでそうなるのだけれど、あの方は集中力が強すぎて、そうなったのだ。
今頃天国で「いやねえ、人の恥を晒さないでよ」なんておっしゃっているかもしれない。



















2 件のコメント:

  1. 私も、履いている膝下ストッキングの左右の色が違うのを、同僚に指摘されたことあります。まあ、気にしないきにしない (^ ^)

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  2. そうですね。生まれつきおっちょこちょいなんだから、今までのうのうと生きてこられた事も奇跡と思わないと。まだヴァイオリンと弓を逆さまにしたことはないので、うん、大丈夫!

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