2017年8月10日木曜日

今年のランナーは?

毎年楽しみにしているのが日テレ24時間テレビ。
見るのがじゃなくて、仕事をするのが。
まず2週間くらい前に、練習用と本番用に使う曲の録音。
スタジオに入ると毎度お馴染みの顔が並ぶ。

一様に皆年を取ってきたのは、この番組が始まって40年という長い年月が過ぎているから。
スタジオミュージシャンといえば皆、中々のカッコイイ連中。
折角良い大学に入ったのに好きが嵩じて道を踏み外し、親を泣かせたに違いない連中なのだ。
バブルの頃はそれはもう仕事が有り余って、毎日お財布がパンパンに膨れるほどの稼ぎ。
良いクルマに乗り、さぞや女性に持てたと思われる。

バブルが弾けて大物歌手たちも経済的に引き締めが始まって、バックに付いているバンドの人数が減り、シンセサイザーとドラム、ギターだけなんてことになり生活は逼迫したはずなのに、相変わらず高いクルマに乗る不思議な人種。
一般社会の職種の人達とは比べ物にならないくらい若くみえる。
見える・・けれど、残酷なことに年月は平等に流れて、若く見えても若くはない。
昨日も颯爽と前を歩いていた人がスタジオの段差でつまずいてよろけたのを見て、あらら、あなたもやはりね。
心の中で同情する。

そう言っている私も、最近笑うことが減った。
以前のシワは笑いじわ、今のシワは加齢しわ。
シワよせなら手を叩こ!叩かないでこまねいている。
昨日はそういうわけでスタジオになんと8時間くらい居た。
殆どの仕事を放り投げたけれど、この番組は懐かしいメンバーが集まるので、嬉しく働かせてもらう。

最初のうちは久々の再会でお喋りが弾む。
久々といってもそれは仕事をやめた私だけ。
他の人達はまだ現役だから普段から一緒に仕事をしている(ようだ)
何曲か録音してだんだんお腹が減ってきて口数が少なくなると、スタジオ内には倦怠感と疲労感が充満してくる。
昔のスタジオは喫煙可だったから、イヤホンボックスのそばに必ず灰皿が置かれていた。
ミュージシャンたちはお構いなしにタバコを吸うので、スタジオ内はモウモウたる煙が充満した。
深夜に及ぶ録音ともなるとロンドンの霧もかくやと思われるほどの状態だった。
今はありがたいことに禁煙だからそんなことはない。
昨日聞いた話。
いつでもサングラスをしている人がいて、その人がロンドン状態になったスタジオで「電気暗くない?」と言ったという話を聞いて笑った。
「別に暗くないよ、っていうかサングラス取ったら」と言われていたとかなんとか。

そろそろ疲れが溜まってお家に帰りたいと思い始めたころ、ある曲を、書いてある楽譜の4度上の調で弾いて欲しいと言われる。
脳も疲れているし目もよく見えない。
それなのに4度上?
例えばドの音が書いてあったらファの音を出さないといけない。
そんなこと無理と思ったら周りはみんな平然と弾いている。
しかたなく私も珍しく文句を言わず弾いた。
もう皆すごいんだから。

こういうことは10年ほど前にやっていた仕事ではしょっちゅうだった。
まだ脳みそも目も良かったし。
声が出にくいから半音下げろの1音下げろのと平然と言ってくる歌手がいた。
毎回必ずというほど言うから、最初から低いキーにしておけばいいのにとお腹のなかで文句を言うけれど顔には出さず、澄ました顔で弾いているけれど頭の中は大混乱。
えーっと、シだからド、ミだからファ、シャープだからナチュラルなんて。
しかし、こういうのはパズルのようで面白い。

さて24時間テレビのマラソンランナーは誰なのかまだ聞いていない。
あんな過酷なことをしたら、その後の後遺症が心配。
誰がくるのか楽しみと心配が半々。
普段鍛錬している人でも百キロは大変だと思うのに、イモトアヤコみたいな華奢な女子が走ったときは本気で心配した。
でも彼女はやってのけた。
こんなことができるものなんですかね。
私は3キロでも無理。



















0 件のコメント:

コメントを投稿