只今絶賛大不調中。
9月のたて続けのコンサートが終わって、自分としてはなんとかやり遂げたと思っていたけれど、プロコフィエフのソナタの録音聞いたら、ゲゲゲッ!
1楽章2楽章はまあまあ、3楽章もすこしテンポが速めだけれど、許容範囲内。
うん、まあまあだね。
ところが4楽章ですっかり安心したのか、調子に乗ってはずすことはずすこと、音程が見事にはずれている。
大変楽しく弾いたのでもう少しマシだと思っていたけれど、やはり油断大敵。
だいたい楽しく弾けたというときにはろくなことはない。
この曲を聴いた人が「ヴァイオリンは大変ですねえ」と言ったそうで、それを聞いて私は「分かってくれるかい?」と喜んだけれど・・・
その人はなぜ大変だと思ったかというと「4楽章もある曲を立ちっぱなしで弾くなんて」ということだったらしい。
あはは、そういうことは少しも苦労ではないの。
しかもコンサートは1曲だけでなく、たいてい3曲か4曲弾くから2時間立ちっぱなしになるけれど、それが大変と思ったことはないのです。
なにが大変かというと、音程を自分で作らなければならないこと。
それと右手の微妙なバランスが日によって変わること。
湿度や温度、手の湿り気などが関係して、少しでも条件が違うとあっという間に奈落の底に突き落とされる。
例えば、湿度が高いと、弦が伸びて調弦が狂う、音が伸びなくなる、湿度が低いと弓に張ってある馬の尻尾の毛が張ってしまう。
コンサートホールは常に一定の条件に保たれているけれど、北軽井沢のミュージック・ホールフェスティバルのときは、ひどい湿気に悩まされた。
弦が伸びて音程が下がるから絶えず調弦をしていたために、替えたばかりの新しい弦が自宅に帰った途端に切れた。
ヴァイオリンの部品は値段が高い。
金や銀の値段が弦の値段に反映される。
ガットの外側に細い銀か金の線が巻いてあるから。
それで1本切れるとあっという間に数千円が羽を生えて飛んでいってしまう。
一時期G線1本1万円近くした時期があって、そのときは死活問題だったことも。
弦は古くなると調弦が合わなくなるし音が悪くなるから、そうなると替えないわけにはいかない。
立って弾くのは少しも苦労ではないけれど、年をとって指先の水分が減ると音程に重大な影響がある。
それと体の柔軟性が失われることも大問題。
ということで、最近音程が悪くなったと感じることが多い。
若い時の録音を聴くと、自分でも驚くほどピッタリあっているのに、最近は自分で合っていると思っていたものがすごく低かったりすると、ショックで立ち直れない。
指のせいでもあるけれど、耳のせいでもある。
何回もくどくど言いますが、立っているのは全然苦労ではないですよ。
ヴァイオリンは音程が命。
今日は11月3日のコンサートのための練習でピアノと合わせていたけれど、私があまりにも神経質になっているのでピアニストから注意された。
神経質になりすぎて膠着状態、泥沼にハマって抜け出られない。
出す音がことごとく外れているようで、先に進めない。
たいてい、本番1ヶ月位前から、こういうことが起きる。
一度どん底に落ちないと、先に進めない。
もう一度初心に戻って再構成しないといけない。
これがつらい。
弾けていたはずのものが弾けなくなっているから、最初から組み立て直す。
嫌だなあ、年取ってから苦労するのって、なあんて。
誰に言われたからでもない、自分で始めたことなので仕方がない。
くどいけど・・・立って弾くから辛いのではありません。
面白いなあ、そういう見方があるなんて。
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