2017年10月24日火曜日

サンマは目黒でなくても

先日帝国ホテルの和食レストラン「なだ万」でいただいたサンマが、忘れられない。
関東地方を台風が襲った日。

11月半ばにあるイベントの演奏会場の下見をさせてもらった。
主催者のY子さんが、その日の17時だったら会場が空いていて下見が出来る、つきましてはお食事などもご一緒にいかが?と言ってくださったので、ありがたく便乗した。
心配していたけれど、さほど雨脚も風も強くなく、無事到着。
地下鉄を出て歩道を渡ればすぐのところに玄関。
殆ど濡れないでメインロビーへ。

会場は広さも音響も申し分なく、コンシェルジュの行き届いた対応はさすが。
Y子さんのテキパキとした質問にもよどみ無く答え、当日のお食事担当のシェフも交えて打ち合わせ終了。
ここ帝国ホテルは、私が若い頃さんざん仕事をさせてもらったけれど、当時のままの雰囲気がまったく変わらない。
懐かしい。

ホテルの仕事は私たちにとって、とても楽しかった。
若かった私は華やかな雰囲気が好きだった。
それでも帝国ホテルで結婚式というと、時には企業つながりの政略結婚みたいなときもあった。
そういう結婚式では主賓が40分もしゃべったり、乾杯のグラスを掲げているのにそれからの挨拶が長かったり、うんざりすることもあった。
結婚式自体の雰囲気が暗くて、当の新郎のことは一切語らず、お父様が・・・お祖父様がという話ばかりのときもあって、これでいいのかなあなんてことも。

結婚式でこのホテルに来たのは今から数年前のこと。
その時は仕事ではなくゲストとして。
友人の息子さんのハレの日。
400人のゲストで新郎新婦は、はるかかなた。
元総理大臣が主賓だったけれど、私達のテーブルは旧知の間柄の人がいて、堅苦しくなくおおいに楽しんだ。
お肉が美味しかった。
今回のイベントでは、とても美味しいお肉が出るというので、楽しみにしている。

打ち合わせが終わって、和食レストランの「なだ万」へ。
私はいつもは夕食の量が少ない。
あまりたくさん食べると、眠れなくなる。
それで少しで良いのよと言いながら、結局あれとコレと注文したら結構な量になった。
日本酒に前菜の盛り合わせ、豆腐のカニあんかけ、サンマの塩焼き、ご飯、赤だし。
こういうところは上品にほんのすこしの量だからと思っていたら、豆腐はたっぷり、サンマは丸々。
まるで私が横たわっているような。

食べ始めると箸が止まらない。
ここで私は猫になる。
ワタからすっかり頂いて、頭が少しと綺麗に身がなくなった骨だけとなった。
お皿は猫またぎの状態。
このサンマだけど、とても身離れがいい。
箸で簡単にほぐれていくのは、焼く前になにか下調理がしてあるのだろうか。
訊いて見たかったけれど満腹になったら忘れてしまった。

プロの技術は簡単に教えないこともあるけれど、以前帝国ホテルのランチで食べたキノコ料理がとても美味しかったので、調理法を訊いてみた。
一緒に行った友人が、そんなこと教えるわけがないと言うけれど、大きなシェフの帽子をかぶった人がニコニコと教えてくれた。
きのこは火加減が強くないと水分が出てしまうので、ということで、素人の家庭のキッチンではやはり無理なのかもしれない。
家に帰ってやってみたけれど、やはり雲泥の差となってしまった。

ちょとした恥ずかしいこと。
赤坂のプリンスホテルでもよく仕事をした。
ちょうどランチタイム。
仕事の合間にランチをと思って、演奏者4人でレストランへいった。
テーブルに座ってお水を飲んでお手拭きを使ってメニューを開くと・・・
おやおや、ランチにしてはとてもいいお値段。
少し考えてからやめることにした。
ウエイターを呼んで「お水も飲んだしお手拭きも使ってしまったけれど、私達の生活レベルでは少しお値段が高いようなのでやめてもいいでしょうか」と訊いたのは私。
こういうことを言える神経の持ち合わせは、他の人にはないようなので。

嫌な顔をされると思ったらウエイターが「ああ、お気に召すメニューがございませんでしたか。それでは又の機会にぜひどうぞ」と言って、あっさりと無罪放免。
これがもう少しランクの下のレストランだとおもいっきり嫌な顔をされる。
さすが赤プリ。

サンマを食べて日本酒を飲んだら地下鉄で寝込んでしまって、車掌さんに起こされた。
この方がもっと恥ずかしい。





















4 件のコメント:

  1. nekotama様らしいというか、すがすがしいくらい正直でいいですね。
    ホテルの人もこれだと反対に、対応しやすいでしょうね。
    ところで大衆魚のサンマをnekotama様が猫マタギするほど美味しく焼くなんて、なだ万ってやっぱりすごいんですね。行きたくなりました。

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  2. nyarcil様は博学だからサンマの下ごしらえのやり方もご存知かも、ということでお訊きします。
    箸でほぐした時にスッと身が骨から離れるのはなにか隠し技があるのでしょうか。それとも焼き方でしょうか?
    ご存知なら教えてください。

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  3. nekotama様
    すみません、うちで生魚焼いてことないので知りません。
    ネットで「さんま、塩焼き、下処理」で検索すると、クックパッドでたくさん出てきますよ。そこで出てくるもので試してみては。
    私だったらこれ↓やってみようかな。
    サンマの塩焼き、下処理して綺麗に食べれる
    https://cookpad.com/recipe/4087894

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  4. なるほど。切れ目なんかはいっていたかなあ。
    美味しくて夢中で食べたので骨になってから、あら?って思ったんですよね。私は下処理はウロコ取りと塩振りして10分おくのみ。食べるときは原始的に箸と指を縦横無尽に使ってという野蛮な食べ方していました。
    ありがとうございました。

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