2017年10月21日土曜日

色の話

昨日は11月のコンサートの肝試しに友人二人に、私達の演奏を聴いてもらった。
荻窪の閑静な住宅街の素敵なお宅。

玄関を入れば別世界。
美術品と高価な調度品にかこまれ、外からの音は遮断され、庭を眺めてのお茶タイムは、ゆったりとした時間が流れるようだ。
ブリーダーで繁殖用に飼われていたチワワ。
去年この家に貰われてきたときは、なんとなくやさぐれて顔色も優れなかった。
今までの人生(犬生)はケージに閉じ込められて、子犬を生む道具として扱われてきた。
ところがひと月経ちふた月を越え、すっかり美犬に変身。
きれいなミルクティー色の毛艶も濃くなり、なによりも顔つきが幸せそうになってきた。
こんなに表情が変わるとは思ってもみなかった。
貴婦人のようになってきた。

プログラム全曲弾いてもいいと言われたけれど、流石にそれは迷惑だろうし、私達も疲れるから、モーツァルトとフランクだけ聴いてもらうことにした。
当日、ここに来る前にピアニストの家に寄って練習した。
ふたりともボロボロ音を取りこぼす。
緊張から集中しないこと甚だしい。
やはり友人と言ってもその道のプロフェッショナルだから、単に音が取れていればいいってものではない。
定見を持っていないと見透かされる。

緊張して演奏した。
それでも前に弾いた時よりも良くなったよと、優しいお二人。
本番前だから、いたわられてるのかな。

とにかく終わったその後が楽しい。
ワンちゃんも皆の間を嬉しそうに回ったり、飼い主の腕にまったりとくつろいだり、私たちが思っているのは「この家の犬になりたい」

その日私は珍しくピンクのプルオーバー。
襟と胸に植物の刺繍、前と後ろに可愛いポケットがついている。
なぜピンクを着ているかということを皆さんに説明した。

私はずっとブルー系が好きで、なんでも目に付くのは青い色。
シャツ類もブルーが圧倒的に多い。
ところが、最近急に色の好みが変わった。
しかもその日に着ていった服は買う運命にあったようなのだ。

私の家近くの商店街には、店を持たず時々催し物スペースに出店する常連の人達がいる。
その一つの店に顔をだすと、いきなりピンクの服を勧められた。
ピンクはねえ~・・・イマイチ乗り気ではないけれど、デザインはわるくないと思った。
しかし、私の年齡で着るには少し可愛いすぎる。
なんでこんな服すすめるのかなあ?
次の日も通りかかると、同じように勧められた。
う~ん、可愛いけどねえ、ちょっと若作りじゃない?
お店の人はとても残念そうに諦めてくれた。
それでとても印象に残っていた。

その後ひと月以上たって、品川駅近くの小さなお店を覗いた。
初めて入ったので色々珍しく眺めていたら、なんと、あのピンクの服があった。
しかも又、そこの女性スタッフから強力に勧められることになろうとは。
その上、後から入ってきた女性客まで買え買えと大合唱。
ついに折れた。
これは運命なのだ。
この服は私に着られるために生まれてきたのだ。
買ってみたもののクローゼットのお飾りになっていた。
ここ数日寒い日が続いて、衣替えをする必要に迫られている。
それで一回も袖を通さないでしまうのもバカバカしいから、着ることにした。
驚いたことに、皆が似合うと褒めてくれた。
そのうちの一人はピアノと占いのプロ。

彼女が言うことは、人は節目ごとに他人との関わりや、色の好みなどが変わるのだという。
ある時突然、今まで付き合っていた人が消えたり再会したり、それは星に左右されるのだそうで、私も何回か今までにそういう体験があったから納得した。
気が付くと、長い間お付き合いしていた人が急に疎遠になったり。
若い頃はこういう時期にひどく寂しい思いをしたけれど、最近は、ああ、波がやってきたなと思うようにしている。
ご縁があれば又会えるし私は気が変わらない方だから、再会すればいつでも同じようなお付き合いが出来る。

最近買う服の色が明らかに明るくなっている。
これは本人の気持ちが明るいからではなくて、気分が沈むのを明るい色で元気付けているようだ。
特に最近は今までになく赤いワンピースを買ったり。
年齡不相応の大曲のプログラムを並べて、ヒイヒイ言っている自分をなんとか鼓舞しようと、赤いドレスに助けを求めているようだ。
しかもそういうときには、着ているものが顔色に良く映えるようになるのが不思議。

ひどく落ち込んだ時、デパートで見つけた真っ赤なコート。
後先考えず買ってしまったのは15年ほど前。
もともと赤はあまり好みではないので、2,3回着たら飽きた。
飽きると不思議と似合わなくなる。
友人に赤の似合う人がいたから差し上げてしまった。
今は赤ではなく、ピンク。
赤とは同類かと思うとそうではない。
暖かく優しい色。
好きな曲が弾けて幸せなのかもしれないけれど、気持ちが沈むこともあって、良くわからない。
色っぽい話ならいいけれど・・・





















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