今日はフルート奏者が新たに参加。
同級生のAさん。
彼女はピアニストたちと同様優等生だった。
学生時代はN響でエキストラで演奏していたから、卒業後は華々しく活躍すると思っていたら、卒業と同時に結婚してしまった。
お相手はトランペッター。
彼は第一線で活躍していたので彼女は内助の功に徹していたけれど、時々私達とアンサンブルで仕事をした。
私たちは学生時代から仲良しで、学食の奥がなぜか管楽器のたまり場となっていた。
主に木管楽器、フルート、クラリネット、オーボエなどの中に私がいつも紛れ込んで一緒にアンサンブルをしていた。
この場所はドアで仕切られていたとは言え、音は筒抜け。
学食の人たちからよくも苦情が出なかったと思う。
誰彼となく楽譜を持ち寄って、気が付けば音をだしていた。
勿論Aさんも居て、中心的存在だった。
彼女とはラヴェル「セプテット」を一緒に弾いた。
ハープと弦楽四重奏、フルート、クラリネットの編成で、ハーピストの先生であるヨゼフ・モルナールさんのレッスンに行った思い出話で盛り上がった。
モルナール先生は特に女性はあまりお好きでは無いから、厳しかった。
ハープというのは見かけの優雅さに比べ、ものすごく手足の重労働。
手はいつもアルペジオなどを美しく奏でているけれど、足は絶え間なく転調のためのペダル操作をしている。
こんな複雑な楽器は中々見当たらない。
それで生徒さんが間違えると、先生の手が彼女の手を叩く。
「この手、いけません!」
ペダルを踏み間違えると足が出て蹴りが入る。
「この足いけません!」男性にしてはとても優雅な方なので、私たちは目を丸くして見ていた。
帰りの電車で新宿から国立までずっと笑い転げて居たのが、Aさんと私だった・・・らしい。
私は電車で笑ったことまでは覚えていなかった。
そんなお付き合いだったので、数年前の三軒茶屋でのSさんと私のコンサートにご案内をしたら、当日入場者が多すぎて席が足りずお帰りいただいてしまった。
お花まで頂戴したのに。
あとでお詫びの電話をしたら笑って許してくれたけれど、本当に失礼なことをしたと恐縮した。
去年のSさんと私のデュオ・コンサートはそれもあって、客席数が倍の会場にして、もう一回ご案内。
その時は無事に聴いてもらうことが出来た。
その時のプログラムのひとつがプロコフィエフの「ソナタ第2番」
この曲は元はフルートのために書かれた曲なので、彼女はそれを聴いて自分も演奏したいと思ったという。
そして今日、研究会に初参加となった次第。
ピアノはSさん。
私と先日弾いたばかりなのでお手の物。
春ですね~!
相変わらずピアニストたちの意欲がすごくて圧倒される。
なぜ、この人達ってこんなに真面目なのか。
爪の垢煎じて飲まないと追いつけない。
私の爪の垢を煎じて飲ませれば、もう少しナマケモノになってくれるかなあ。
ピアノ3人、ソプラノ歌手1人、フルート1人、そしてヴァイオリン(のようなもの)を弾く私、計6人が集まった。
Aさんは久々に会う同級生たちに興奮したのか、元々明るくておしゃべりだから大いにはしゃいでる。
声が良く通る。
管楽器の呼吸法の成果かもしれない。
私はタルティーニ「悪魔のトリル」を弾いた。
最近ずっとSさんと合わせていたけれど、彼女は今回フルートと合わせるので、もう一人のNさんにお願いして合わせてもらった。
気心知れているから、練習は2回通して終わり。
Nさんには10年ほど前、オペラシティーのリサイタルホールでのコンサートに出演をお願いした。
その時彼女と一緒に弾いたのがショーソン「ヴァイオリンとピアノ、弦楽四重奏のための協奏曲」
難曲だったけれど合わせに合わせ抜いて、細部まで徹底的な練習をしたので、本番はとても安心して演奏できた。
とても素晴らしい想い出になった。
もう一人のピアニストのOさんとは一昨年、リヒャルト・シュトラウスの「ソナタ」を合わせてもらったけれど、次はモーツァルトの「ソナタ」のどれかを合わせてみようかと密談中。
モーツァルトを弾くのは人生最大の楽しみで、Oさんの機知に富んだ演奏はモーツァルトがそこにいるかのように聞こえると思う。
考えたら、こんな贅沢して良いのだろうかと思う。
これはすごいことだわ。
演奏も3人3様、それぞれ個性豊かで一緒に弾くのはとても楽しい。
音楽的に啓発され続けている。
さて今日初参加のAさんの演奏を聴いていたら、やはりプロコフィエフのソナタはフルートのために書かれたものだと思った。
今を去るうん十年ほど前、当時来日したフルートのランパルの演奏を聴いた。
その更に前、ヴァイオリンのレオニード・コーガンの演奏を聴いた。
コーガンの演奏があまりにも良かったので、私はそれ以来この曲はヴァイオリンの方が向いていると思っていた。
けれど、客観的に聴いてみるとフルートのイメージが強いと思った。
今日これをフルートで聞けたのは幸せだった。
次回、この曲を弾くことがあれば、フルート的な要素を取り入れてもいいかなと。
レオニード・コーガンの演奏を聴いた時、私は中学生だった。
最初の音があまりにも素晴らしく全身に鳥肌が立った。
本当に若い頃に味わった感動は、いつまでも忘れられない。
Aさんにはフルートとヴァイオリンのデュオを合わせようと誘われた。
こうして私の音楽人生は、素晴らしい友人たちに支えられている。
0 件のコメント:
コメントを投稿