2018年2月10日土曜日

兄は危うい

去年の春、京都・奈良を一緒に旅した友人からメールが入った。
「今奈良に居ます」だって。
室生寺の階段登ったとか有名なかき氷やさんに行くとか、羨ましい。
私は冬はもっぱらスキーに勤しむ。
別の友人からのメール。
この冬もnekotamaさんは日銀に招かれていると・・・えっと??
「日銀」?なんのこっちゃ!

よく見たら「白銀」だった。
読み間違えたと返信すると彼女から
さすがnekotama財閥!「日銀」とは!庶民とはわけが違う!と返信があった。
視力(知力?)が衰えているからこうした読み間違え、数知れず。

私のすぐ上の姉が、去年脳梗塞で倒れて施設に入ったので御見舞に行こうと、長兄から連絡が来た。
姉は手術直後は右手足に麻痺が残り、言葉も出なかった。
ようやく一命とりとめてリハビリ病院へ転院、その後今の施設へ。
そこはどんな施設かわからなかったけれど、とにかく行ってみようと言うことで訪れた。
兄は愛車のBMWを売ってしまって沢山お金が入ったので昼飯ご馳走するよ、と餌で釣られて私の車で行くことになった。

かつて兄は、かなりの頭脳の持ち主だった。
勤勉で真面目だから出世もしたのに、今や支離滅裂。
特に去年連れ合いを失くし、一人暮らしになってガンを患い治療中。
非常にきれい好きなので一応身奇麗にはしているものの、言うことがどうもおかしい。
施設に到着して姉としゃべっていても、トンチンカン。
私の11歳年上だから無理もないとは思うけれど、自分の将来を見せられているようなのだ。

そうか、11年後にはこうなるのね。
姉は倒れた直後よりはずっと言葉も出るようになって、麻痺した右足が僅かに動かせるようになった。
なにか言おうとするけれど、中々言葉が出ない。
ゆっくり聴いてあげようと耳をそばだてていると、そこへ兄が急に横槍を入れる。
せっかく姉が話をしようとしているのに。
一方的に兄が言葉をかぶせてくるから、そこで姉は話す機会を失ってしまう。

それでも久しぶりに家族に会えて、嬉しそうに笑っている。
私たちはとても仲の良い兄弟だった。
「日銀」に呼ばれるような財閥ではなかったけれど、母の苦労のお陰で分け隔てなく育てられた。
それでも兄弟間で運不運があるようだ。
この姉は病気がちだった。
兄弟の日陰に当たるポジションに居たようだ。
上の3人は大切に育てられ、次の二人はかなり放任で、末っ子の私は好き放題。
下から2番目のこの姉は我儘も言わず、かなり我慢していたものと思える。
諦めたような笑顔で私達を迎えて、なんとか話をしようとする。
空気を読めない兄はお構いなしに話しかける。

病気は姉の運命とは言うものの、なにかやってあげなければと考えている。
私は病人の面倒を見るのは、意外や意外得意なのだ。
猫の世話だけでなく、人間の世話だって出来るのだ。
兄弟で車の運転をするのは私だけになってしまったので、車を出すことで役に立ちそう。

なんだか姉に悪いみたいに思えるけれど、私は来週又「白銀」の世界へ。
元気でいられる内に遊んでおかないとね。
私が最後の時には、兄弟はとっくに居ないと思うから、自分の身は自分で守らないといけない。

奈良から再度メールが。
かき氷美味しかった、ですって。
この寒いのに?なんでかき氷なの。
この季節なら善哉でしょうが。
おお、さぶっ!





















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