2018年6月24日日曜日

やっぱりベートーヴェンはすごい

久保田巧さんが某サロンで演奏するから聞きに来ませんか?と、サロンのオーナーからお誘いを受けた。
久保田さんのお名前は存じ上げていたけれど、演奏を聴くのは今回が初めて。
東急沿線の静かな住宅街の一角にそのサロンがある。
50人ほど入れそうなホールと続きに控室。
個人的な愛好家の家庭的なコンサートにはうってつけの場所として、仲間たちが良く集う。

久保田さんは6月30日(土)午後2時
すみだトリフォニー・小ホールにてリサイタルを行う。
そのゲネプロを兼ねて、皆さんに楽しんで貰おうと企画されたらしい。
そのコンサートのプログラム全曲は弾くわけではなくて、1時間ほどの抜粋ではあったけれど非常に楽しかった。
まずベートーヴェン:ソナタ8番の1,2楽章。
この曲は明るくて楽しくワクワクするようなG durの分散和音から始まる。

数年前、樫本大進のリサイタルで1曲めに持ってきたのがこの曲だった。
樫本は見事に最後のG音を外したので笑った。
あんな上手い人でもコンサートの初っ端は緊張するらしい。
久保田さんは冷静に音は外さない。
そして2楽章。
彼女が深く深くベートーヴェンの懐に入り込む姿を見た。
見事な2楽章だった。
感銘した。
この2楽章は本当に音の動きは単純で、なんの飾りもないけれど、今日改めてすごい曲であると思った。
骨格のしっかりとした格調ある演奏だった。
彼女はこの曲が本当に好きなのだなあと思った。

非常に張りのある音は小さなホールで聴くのはやや辛い。
大きなホールで聴きたかったけれど、あいにくリサイタル当日は予定があって聴きにいかれないのが残念。

ベートヴェンと言えば、私はオーケストラの入団テストにベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を弾いた。
そしてテスト翌日、当時のコンサートマスターのお二人から非常にお褒めの言葉を頂いた。
でも当時は私はキャピキャピギャル(この言葉古い?)だったから、おじさんたちのお世辞と聞き流していた。
でもつい先日、その時テストに立ち会った団員の一人から思いがけなくきいたのは「今まで沢山のベートーヴェンをきいたけど、あんなに人の心に寄り添うような演奏は初めてだった」と言われた。

もう半世紀以上前のことなのに、そこまで覚えていてくれる人が居るとは思わなかった。
それでは当時褒めていただいたのもお世辞ではなかたのかしらと、嬉しかった。
私は人よりも遅くヴァイオリンを始めて、まさかヴァイオリン弾きになるとは夢にも思わなかった。
なぜか運命の導くままにいつの間にか音楽を志し、基礎的な素養にも乏しくただがむしゃらに演奏を続けてこんにちに至っている。

結局道は最初から敷かれていたようだ。
そうと知っていたらもっとちゃんと基礎的なことを勉強するのだったと、後悔しきり。
家族は全員理系で、電子工学や理論物理学、機械、医学、薬学など、全く無縁な分野の人ばかり。
其の中で音楽を生業とすることなど夢にも思わなかった。
私は今でも、もし2度生きられるなら、次は数学か物理だなあなんて考えている。

でも子供のときに見た将来の夢は、絵描きか小説家。
結局芸術方面から離れられないようだ。
身体能力も低い、手先は不器用、なんで楽器の中でも特に繊細なヴァイオリンを、人の中でも特に不器用な私がやっているのだろうか。
不思議でならない。
来世はもう少しマシなヴァイオリン弾きになりたい。
おや?まだヴァイオリンから離れないつもり?
いい加減おやめになったら、nekotamaさん。

ずっと母に言われ続けてきた。
いい加減ヴァイオリンなんてやめなさいと。

明日はクロイツェル・ソナタ。
冒頭部分がうまく行けば良いけれど、心配ばかりしている。
とにかくベートーヴァンの心に寄り添うような演奏だったら・・・・。
そして明後日はベートーヴェンの呪縛から逃れて、追分へ。
木々の精気をもらってきます。
いつ来るの~と北軽井沢の住人から電話が来たから、そちらにも顔を出して。




























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