2023年7月8日土曜日

まっしぐら2

 やっちまった!!

今日は手帳を見たら日曜日。帝国ホテルでバイキングをごちそうになる日。えっと、なにか着るものあったかしら。ずっと以前から着ている一張羅しかないけれど、ま、いいか。バブルの頃に買ったライオンのイヤリング。あれをつけよう。などと準備万端、雲の様子が怪しいから車で出かけよう。アルコールは飲めないけれど、最近はノンアルコールのシャンパンまであるからお酒でなくても楽しめる。

時間の読みが的中してホテルには開宴の15分前に到着。日曜日だから駐車場が混んでいるかと思ったけれど、すんなりと停められた。宴会場の建物に入ると人気があまりなく、随分静かで、でも宴会の時間が迫っているからみなさんもう会場に入っているのかな?

帝国ホテルはかつて私の仕事場だった。結婚式の音楽を担当、大抵は弦楽四重奏での注文が多かった。こういう老舗のホテルだから品の良い方たちが結婚するとなると、弦楽四重奏の調べに合わせて新郎新婦登場、最後の参加者が会場からいなくなるまで演奏する。ときには乾杯の音頭をとる主賓の話が長すぎて披露宴が延びに延びるということもあった。一番ひどかったのは4時間過ぎてまだ終わらない。チェロが次の仕事に間に合わないので途中から他の人に来てもらうなどということもあった。

その頃はいつも宴会場は次々に披露宴に訪れる人達で沸き返るようだった。花嫁がロビーで何人も見かけられた。それが今日は日曜日だと言うのに静かすぎる。しかも会場の前まで行っても扉も開いていない。時間間違えたかしら?ドアのそばにいた男性に尋ねたら今日はこの部屋ではイべントの予定はないというではないか。

はい?だって今日は軽井沢在住のY子さんのお父様の思い出の会が開かれる日。私の手帳にはちゃんと書き込みがあるのよ。ごちそうが食べられるからお昼も抜いてちょうどお腹が空いてきているのよ。オロオロして先程の男性にもう一度尋ねる。「今日は9日ですよね?」返ってきたのは「いいえ、8日です」「8日?土曜日ですか?」連絡されていたのは9日の日曜日。どうしてこんなことになったのか、ツラツラ考えるにすぐに原因はわかった。

私の手帳は週の頭が月曜日から始まるようになっていて日曜日が尻尾。レッスン室においてあるカレンダーは日曜日が週の頭で土曜日が尻尾。一瞥したときに確認しないと時々間違えることがある。やっちまった!!

言っておきますが仕事で日付や時間を間違えることはなかった。もとより遅刻も絶対にしなかった。季節の変わり目にステージ衣装の色が変わったりするときも間違えなかった。それなのに今こうして間違えるようになったのは緊張感がないから。やはり仕事は死ぬまでやらないといけないらしい。

がっかりしたかというとそうでもなかった。帰る前に帝国ホテルの食品売り場に行って買い物をしようと思って廊下を歩き始めたら、今日新しくおろした靴がわずかに指の曲がったところに当たって痛い。我慢できるかな?ところが昔の記憶でホテル内の売り場「ガルガンチュア」に向かうと移転していて距離がわからないから諦めた。行ったはいいけれど、帰りに指の皮がむけたりしたら歩けなくなる。

それにせっかく明日は本当にごちそうが食べられるから、今日は食べなくてもいいじゃない。それで車を走らせていると、なんだかドライブが楽しい。コロナ感染で仕事もなくなって都心へ車で行くことも減った。車は主に北軽井沢に行くときに高速道路で使うだけ。

都心のドライブは仕事で出かけるときには渋滞されるとイライラするけれど、こうしてなんの縛りもなく走るのはすごく楽しい。都心の道は長年仕事で走り回っていたから事情はよく知っている。時間が来ると、突然中央ラインが変わったり右折車が多いと信号のいくつも前から左によっていないといけないとか。それに合わせて車線変更の予測をしたりする。時々予想が外れることもあるけれど、あたると、してやったりと思う。ゲーム感覚で走っている。

ふと去年から今年はじめのうつ状態がなくなっているのに気がついた。昨年一年間すごく不快な年だった。人間不信になった。膝が酷く痛み始めたのもその頃から。胃腸の具合が悪く、絶えず胸焼けがするのにドカ食いが止まらず肥満になった。肥満するとますます足が痛い。肌の色が時々嫌な灰色になった。それを見てまた落ち込んだ。

まだ問題解決はしていないけれど、何かが変わってきた。風向きか自分の意識かわからないけれど。随分長い間笑顔が消えていたような気がする。田舎ののんびりした生活もいいけれど、都心のこの気忙しさも捨てたもんじゃない。蘇ってきた楽しさは大事にしよう。元々私は楽天的で陽気。それが眉を顰め周りの人に敬遠されて、それでますます落ち込んでいやなやつになっていた。一昨日、昨日と古い仲間とアンサンブルをやったのも気分転換になったらしい。まだ脆弱だけれど、蘇ったぞ、私を不死猫と呼んでください。











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