2025年10月16日木曜日

アルバートホール

今朝のニュースで、大相撲のロンドン場所がロイヤル・アルバート・ホールで始まるというニュース。懐かしいなあ。吾が友、美智子さんとロンドンアンサンブルのメンバーたち。

もう、10年以上前にもなるかしら、ロンドンアンサンブルのピアニストの美智子さんが 「イギリスに遊びにいらっしゃいよ」と誘ってくれたので、ホイホイと遊びに行った。散々ロンドン市内はもとより、コツオルズやイングリッシュガーデンなど遊び歩いて最後の夜はかの有名なロイヤル・アルバート・ホールで夏のコンサート、なんと言ったかなあ、なんか名称があったのだけれど・・・

アルバート・ホールはやはりコンサートの殿堂として有名なので、行かないで帰るわけにはいかない。帰国前夜の当日の演し物はイギリスの作曲家の作品、例えばマックス・レーガーの合唱曲など、日本ではとんと聞かない曲だから非常に面白かった。素晴らしい曲が並んでいたので申し分なく楽しめた。

散々道に迷ってホールにたどり着いたのは開演時間間近だった。さてチケットはどこで?アチラコチラに行列ができている。ここに並んでいて開演に間に合うのかどうか心配ではあったけれど末端にならんでいると、ニコニコしながら近寄ってきた男性、いかにも人が良さそうだけど海外では油断大敵。チケットを二枚見せながら売りたいと。ラッキーだけどなんで私達に?友人と二人にこりともしないで身構える。海外では日本人女性はとても若く見えるし騙されやすいし。(わかくみえたかどうか、無理だったかも)

それはどうでもいいけれど、おじさんが持っているチケットは果たして本物?差し出しているチケットを受け取って、別の行列に行って並んでいる人にチケットを見せてもらった。やはり本物みたい。値段も同じ。チケットはどうやら何も問題はなさそう。しっかりと二枚のチケットを離さないで値段の交渉。値段はプレミアムなしでいいという。なおも迷っていると、おじさんは交渉を諦めてチケットを取り戻そうとする。そうはさせじと私達。ついに両者ともに笑いだしてしまった。

日本人女性は慎ましく遠慮深いとでも思っていたかもしれない。けれど中年すぎると美徳は影を潜め太っ腹になる。どこへ行っても遠慮しない。交渉成立、チケットを手に入れた私達は入場客の行列にならぼうとした。チケット売のおじさんはこちらへ来いと私達をいざなって建物の脇に連れて行ってくれた。そこは出演者たちがたむろする場所で、楽屋口?だったのかもしれない。するとこちらへ来いとおじさん。なんのストレスもなく会場に入ってしまった。

おじさんおじさんと書いたけれど、もしかしたら出演者だったのかもしれない。もしかしたら私達より20歳くらい若かったのかもしれない。それならお友達になっておけば良かったかも。オーケストラはBBC管弦楽団だったから、美智子さんのお連れ合いのリチャードさんの古巣。あんなに疑わなければもう少し友好的になったかも。でもおじさんも笑って楽しんでいたようだから、ま、いいか。

大変素晴らしいコンサートで大喜びでの帰り道。良さげなレストランというかパブというか、違いがわからないのだけれど、イギリス最後の晩餐を楽しんだ。帰りのバスでまたすったもんだに巻き込まれる。美智子さんは私達がよほどしっかりしていると思っていたのか、はたまた、本人はわかりきったことなので私達もそうだと思ったのか、バス停の名前をいい加減に教えてくれたので、途中で乗ったり降りたり、乗り越して帰りのバスに戻ったりと散々苦労して家にたどり着いた。

夜中だったのに美智子さん夫妻と下宿している女性と3人で起きて待っていてくれたのだった。今日は最後の晩餐だったから美味しいラム肉を用意して待っていたのよと言われ、私達はひたすらあやまった。すでに美味しい食事を済ませてきたし、そのラム肉が果たして残されているかどうかもわからないので、その日は遅くまでお話をして過ごした。

楽しい思い出は後に美智子さんとのお別れという悲しい結果になったけれど、今でもイギリスでの楽しかった日々をなつかしく思い出す。

コツオルズの金曜日の夜のパブで出されたステーキが噛み切れないで食べられなかったこととか、本当に靴底のようなお肉を体験したり、イングリッシュ・ガーデンの素敵だったこと、何よりもコツオルズの田園風景がすばらしかったことととか。寂しいお墓のそばのパブで寒さに震えながら開店を待ったり、やっと温かい飲み物にありついて幸せになったりしたこととか。私はホットブランデーに蜂蜜を入れてもらったこととか。

本当に自然に振る舞える不思議な外国でした。車の運転も左側通行で楽だったし。もう一度行きたい国。私はイギリスの映画や小説が好き。

そのアルバート・ホールでの相撲の初日は大入りだったそうで、考えたら私は外国のオペラやコンサートはよく行くのに相撲を見たことがない。これはやはり多少外国かぶれかも。日本の素晴らしさをもう少し認めないと。やはり応挙と若冲を早く見に行こうと思う。


















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